プロローグ
初めまして、作者の秋栗稲穂です。
この作品が、初投稿となります。
文章力がつたない箇所もあるかと思いますが、ご容赦ください。
【作品ジャンル】
異世界ファンタジー、王道バトルものとなっております。
【みどころ】
・『合成魔法』や『メイド流戦闘術』など、特殊な能力を有したユニークな登場人物たちの活躍を中心に、物語は進んでいきます。
・機転を効かせた戦闘シーンやギャグ要素も散りばめており、読者に飽きさせない内容を心掛けたつもりです。
『合成魔法』や『メイド流戦闘術』という言葉に、少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ読み進めてみてください。
どうぞ、よろしくお願いします。
数多の世界の片隅に、魔法と魔物、そして精霊や神々さえもが息づく場所があった。
その名はオルタルト大陸。
いくつかの島嶼と広大な陸地が広がり、さらに、濃密な負の魔力に常に蝕まれ、瘴気が蔓延する未開の地《魔界》と陸続きになっている。この大陸には、いまだ多くの謎が残されていた。
オルタルト大陸の西端から中央部にかけては、南北に大陸を二分するかのように、巨大な山々が連なる《セイクレド山脈》がそびえ立つ。
この山脈を境に、北方領土を主とするガルマン公国、南方領土を主とするソルシア王国が睨み合う。さらに山脈の東側、ガルマン公国に隣接する北からソルシア王国に隣接する南にかけて点在する都市国家群が統合され、マーベル連邦国が誕生していた。これら三国が、オルタルト大陸を三分する三大国である。
その三大国の一つ、ソルシア王国の首都である王都ソルシアから、南西へ馬車で二日。深い森の入り口に、ラグール村はひっそりと佇んでいた。
村の北には、広大な森が広がっている。
狩猟や薬草の採取など、限られた目的のために人々は森へ入る。
だが、奥深くへと足を踏み入れる者はほとんどいない。
慣れない者が迷い込めば、道を失い、魔物の餌食になるからだ。
その森の奥深く、人の気配がほとんど届かぬ場所に、ぽつりと一軒の家屋が建っている。
外見は古びて控えめなそれだが、内部には――異様な静けさと、何かが「終わった」空気が漂っていた。
家屋の地下には、四方を石壁に囲まれた広い部屋がある。一方の壁の中央には長い梯子が取り付けられ、その先には一人分の幅しかない扉が隠されていた。梯子を降りた先の床には、ちょうど足を置くであろう場所に、古めかしい文字が刻まれている。
梯子から向かい側の壁、その左隅には、開かれたままの書物と、何かの記録が記された紙、そしてペンや墨汁といった小物が散乱する机が置かれていた。
机から少し離れた右側には、三段の棚が備え付けられている。ところどころ空きがあるものの、そこには数多くの多種多様な書物が並べられ、動物の骨や皮、薬品の入った小瓶、植物など、実に様々な物が雑然と置かれていた。
左右の壁、それぞれの中央に近い天井には、三叉の槍先のような形状をした燭台が備え付けられている。燭台の底の部分には円を描くように文字が刻まれ、部屋の四隅にも同様の燭台があった。梯子を降り、床に刻まれた文字を踏むと、自動的に蝋燭に火が灯る仕組みになっているようだ。
蝋燭の火は、時にゆらゆらと揺らめきながら、部屋全体を明るく照らし出す。
そんな部屋の中で、何よりも目を惹いたのは、中央に描かれた直径3メートルほどの円形の魔法陣だった。それは難解な文字と模様で構成され、その中心には、うなだれるように木椅子に腰掛けた女性型の人形が置かれている。人形の胸元には、拳ほどの大きさの青い宝石のような塊が埋め込まれていた。青く煌めくその宝石からは、目に見えるほど濃密な魔力が放たれているのが見て取れる。
その人形が置かれた魔法陣のすぐ横で、男は倒れていたーー
序盤は物語の世界観や主旨など、説明的な箇所もあるかと思いますが、物語を読み進めていくにつれ、盛り上がっていきます。
このまま、お付き合いいただければ幸いです。