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錬金術師アルジェの災難、受難、苦難の行く末

作者:秋栗稲穂
錬金術師のアルジェは、祖父から受け継いだ古めかしい魔法結晶と、滑らかな肌を持つ女型人形を前にしていた。
彼の目的はただ一つ、錬金術の秘術をもって、その人形に生命を吹き込み、ホムンクルスを誕生させること。
代々受け継がれてきた特殊な技能と技術の粋を凝らしたその瞬間は、しかし、予期せぬ闖入者によって塗り替えられることとなる。

神々が住まう高次の領域、神界。その広大な宇宙には数多の神々が存在し、その中には、多様な種族が共存する人間界に強い興味を抱く者たちがいた。彼らは、自らの存在の根源たる魂の一部を切り離し、霊魂として人間界へと降臨する。それは、器となり得る生物に憑依したり、あるいは物体に宿ることで、人間や他の生命体としての実体を獲得するための術だった。

新たなるものを生み出すことをその存在意義とする“創造神”の霊魂もまた、相応しい器を求めて人間界を彷徨っていた。その神の魂が、まさにアルジェが秘術を施すその場所へと導かれるとは、誰が想像し得ただろうか。

錬金術の秘術が発動し、魔法結晶が淡い光を放ち始めたその時、思いもよらない出来事が起こる。
近くを漂っていた創造神の霊魂が、秘術の渦に引き寄せられるように、アルジェの身体へと入り込んでしまったのだ。

“一つの肉体に二つの魂は存在し得ない”

それは、神が定めた絶対の理。
たとえ神であっても、その理に抗うことはできない。
創造神の霊魂とアルジェ自身の魂は、定められた理に従い、一つの魂へと融合を始めようとしていた。

もしこのまま完全に融合してしまえば、肉体は確かにアルジェのものであったとしても、そこに宿る魂はもはやアルジェの魂とは呼べないものになる。それはつまり、アルジェという存在そのものが、この世界から消滅してしまうことを意味していた。

己の存在が消え去るというあまりにも唐突な危機を、創造神自身から告げられたアルジェ。
彼の脳裏に浮かんだのは、人間界に降臨している神の一人、知恵と知識を司る女神の存在だった。彼女ならば、この未曾有の事態を解決する手立てを知っているかもしれない。

かくして、ちょっぴりおバカな神との遭遇によって、錬金術師アルジェの運命は予期せぬ方向へと大きく舵を切った。自らの存在をかけた、異色の旅が始まる。

様々な出会いや困難が待ち受ける旅。彼らの行く末は、果たしてどのようなものになるのだろうか。
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