第4話。もう一人の私と俺。
『エリザベス、少し話しを聞いてほしい』
『俺の話しだけは聞け、錯乱してる事は分かる』
『俺は相手の心が分かるんだ、奴らを信用するな』
『エリザベス……?聞いてるのか?エリザベス!』
エリザベスは徹底的に空耳を無視する事にした。きっと時間が経てば消えてなくなる。エリザベスはそう思い前向きになる。
すると一人の貴族が近寄ってくる。微笑みながらエリザベスを見つけめていた。
「そこに居るのはエリザ姫?どうしたのですか!?」
「こ、これは!?閣下、誠に申し訳ありません」
エリザベスは立ち上がり、ドレスのスカートを摘んで片足を斜め後ろの内側に下げる、もう片方の足の膝を軽く曲げて腰を曲げて頭を深く下げた。
この挨拶は女性のみが行う礼法である。カーテシーとも言う。
(※カーテシー。貴族階級の女性が社交。男性の貴族の目上に対しての挨拶礼法である)
「はは、謝らないでほしいなぁ、友だろ」
『おっ!?あだ名で呼ぶて事は親しい奴なのか!』
「アレクサンドル殿下、どうして、こちらへ?」
エリザベスは微笑み、名前で呼ぶのであった。
王子アレクサンドル。王国の次期王。エリザベスに好意を持つが、彼女の本心に気づかず、誤解されてる。アレクサンドルは17歳の若さながら、王族の風格を漂わせる堂々として身長は185cm。
スラリとした体型。彼の肌は透き通るように白く、健康的な血色が感じられる。髪は光沢のある濃い金髪で、肩までやや長めに整えられ、自然なウェーブがかかってる。前髪は軽く流し、目元を優しさに満ちてる。
目は深い青色で、きらりとした瞳は、知性と優しさを兼ね備え、誰にでも親しみやすい印象を与えていた。
「エリザ姫、私の事はアレクで良いと言っただろ」
『なるほど、これは本物のイケメンて奴なのか』
「アレク殿下、この最近、空耳は聞こえるかしら?」
「空耳?私はエリザ姫の空耳が聞こえるのさ!」
『マジかよ〜ナンパとか辞めてください、王子』
「私は空耳が聞こえるのです、悪魔の囁き声が」
「なんと!?魔術師の連中か……エリザ姫!?」
「大丈夫ですわ、後でお祓いに行きますの」
『違うぞ!俺は悪魔じゃないからな!エリザベス』
「あぁ、アレク殿下!必ず、悪魔を追い払いますわ」
エリザベスはアレクに抱きつくのであった。エリザベスの香水がアレクを刺激する。まるで誘われてるかのように……。
『『ならぬ……アレクよ!精神を保つのだ!!』』
『おーい、エリザベス、アレクが発情してるぞ』
「し、失礼を致しました、アレク殿下……!!」
「はは、エリザ姫よ、わ、私は構わさぁ」
「そ、そろそろ行きますわね、アレク殿下」
「そ、そうだな!私も用事があるので……」
2人は貴族礼法して去って行く。エリザベスは途中で止まり、振り向く。アレクを見つめていた、アレクが遠退いていく。
『今の所、唯一無二の味方だぞ、エリザベス』
「……」
エリザベスはゆっくりと移動を始める。するとピタリと足を止めるのであった。
目を閉じる、そしてもう一度目を見開く。そして独り言を語りかけるように話しだした。
「あなたは悪魔なの?私を殺しに来たの?」
『もしも殺してたら、最初から殺ってるぞ』
「そ、そうですわね、あなたは誰なの?」
『俺は人間だ、いや、元人間になるのかもな』
「人間!?どこにいるのですか!?」
『手を胸に当ててみろ……君のそこにいる』
エリザベスは驚くのであった。怯えてる。
『エリザベス、ここは賭けをしょう』
「賭け?どんな賭け……」
『俺が誰かの心を見透す、それをエリザベスに伝える』
「分かりましたわ、もしも行動が当たれば……」
『おっ、その通りだ、チャンスは3回だな』
「一回だと、ただの運……」
『もし俺が負ければ永遠に黙っておく』
こうしてエリザベスは初の賭けを勝負するのであった。
次回、第5話。心を視る力。