第3話。私の空耳から声が聞こえます。
『『あいつか、親の名誉で成り上がた、女かよ』』
『『ふん、所詮は金の為に王様を利用してるのよ』』
『『あの第二王女、いつか暗殺か毒殺されるわね』』
『『チッ!血が王だけで、ここまでの優遇だとはな』』
『『この女を利用して貴族を狙えるな、ふーむ』』
『もの凄く嫌わてるだな、エリザベスは』
『どうやら、間違いない、俺は転生したのか』
エリザベスは王の間から庭園に移動していた。庭園は貴族たちの憩いの場でもあった。かなりの広さである。ゆうに奥まで距離は70メートルはある。
そして奥に行くと「ガゼボ」がある。
(※ガゼボ。柱だけで外の空間は開いており、周りから見れば天井付き八角形の形をしている。貴族たちが雨避け、休憩場所として使用していた)
エリザベスは広大な庭園を、のんびりと歩く。
すると数人の男女の貴族(令嬢)が素通りする。素通りした貴族と令嬢から……。
『『貴様のせいで我が娘はけなされた、許さん!』』
『『堂々と歩くのだな、この恥さらしめがっ!!』』
『『辞めてよ!あっちに行ってちょうだい!』』
『まぁ、どの時代もク◯野郎は居るって事だな』
「ん?何か?おっしゃいましたか?」
「これはこれは、何も、おっしゃておりません」
貴族の男性は一礼して深く頭を下げる『『今だけだからな、覚えておけ!』』
エリザベスも深く頭を下げる。そして奥のガゼボを目指す。するとまた声が聞こえてくる。
『あんな奴らに頭を下げるな!騙されるな!』
エリザベスは一瞬だけ「ピタッ」と足を止める。それを見てた先程の男女の貴族と令嬢たちは「ビクッ!」となるのであった。
「ううん、気のせいよね、気のせい……!!」
エリザベスは己のほっぺを両手で叩くのであった。それを見てた貴族と令嬢たちは慌てて去っていく。
エリザベスはガゼボに到着した、ガゼボの真ん中に洋式テーブルと洋式椅子が置いてある。エリザベスは椅子に座り、青空の空気を思い切り吸うのであった。
「なんて風が気持ちいいの、全てを忘れたいわ」
『エリザベス、それが一番の幸せなのかもな』
エリザベスは驚いて「ガバッ!」と立ち上がる。キョロキョロと周りを見渡すのであった。しかし、周りには誰も居ない。
もう一度、落ち着いて座る、エリザベスであった。右手を胸に当てて「気のせい、気のせい」と呟く。
『エリザベス、もう分かってるだろ?』
もう二度、驚いて「ガバッ!」と立ち上がる。次はゆっくりと周りを見渡す。自分以外に誰も居ない。
空耳がますます酷くなる。エリザベスは両手で耳をふさぐのであった「聞こえないわ、何も、私は」
『エリザベス、よく聞くんだ、これは現実なんだ』
「違うわ、疲れるてるのよ!お願いだから消えて……!」
エリザベスは瞼を閉じて強く両手で耳を抑える「お願い、お願い、お願い、消えて」
『言わせてもらう、お前の周りは敵だらけなんだよ』
「違う……違う……違うわ!私は愛されてるもの!」
エリザベスはこの宮廷内では一番若い「令嬢」になる。王女だが、年齢が15歳であった。王はある若いメイドを「妊娠」させてエリザベスが生まれた。
メイドは口封じに追放されてしまった。もしも、この事が国中に広がれば……。
それがエリザベスの秘密であった。
次回、第4話。もう一人の私と俺。