第20話 南門の英雄 その2
ーーー 第20話 南門の英雄 その2 ーーー
「アルナ、ありがとう。それから、はじめまして。」
「いえ、こちらこそはじめまして。アルナです。悠真様でよろしいんですよね?」
「うん、そうだよ。様も敬語もいらないよ、僕らはみんな仲間だからね。ミズキはやめてくれないけど」
「分かったわ、悠真。私も敬語とか苦手だから助かるわ。それに助けてもらったのはこっちの方なんだ。向こうで群れを見つけて戦っていたら魔物が逃げてね、追っていたところだったの。」
「なるほどな、そういうことか。ひとりで相手にしていい数じゃないだろ。相変わらず強気に攻めるな」
「ごめんなさい、クルル。でも、途中で会えてよかったわ」
アルナもミズキのように各地に散っていた眷属のひとりで、ロレインに会って悠真の情報をもらい、力になってやってほしいと言われてレアグレスを目指していたのだという。
「ロレインに感謝しなくちゃね、ミズキ」
「そうですね、でも黙って応援を呼んでるなんてホントやることがキザなんですから」
(素直じゃないなぁ。ロレインは何をしたらこんな扱いになるんだ、まったく)
ミズキのちょっと照れくさそうな表情と、クルルもあのバカ猫もたまには気が利くと言っていることに失笑してしまい、失礼ですわとツッコミを入れられた。
「改めまして、私は火の属性を得意とする眷属。この後エルドウィン・ピークスに向かうんでしょう? 役に立てると思うわ。同行させてもらっていいいかな?」
「いいも何も、よろしく頼むよアルナ。あの火球を跳ね返した魔法陣カッコよかったよ」
「ありがとう。あれは火の属性魔法じゃなくて魔法力を利用するものなの。悠真にもできるはずだから、あとで教えようか?」
「本当に? ありがとう。強くなるためには何でもしたいんだ、色々と教えてくれるよ嬉しい」
「あはは。ロレインから聞いていた通りだ」
アルナは快活でオープンという感じで、何となく「クルルより」なのかもと感じられた。さっきも戦いの後にクルルと叫びならハイタッチしていた姿を思い出し、またも体育会系の匂いがすると思う悠真だった。
「だけど瘴気を纏った魔物が、ここまで来てるなんて。急がないといけないね。前より早く移動しよう「
「ああ、月晶のレガリアがいつまでも無事とは限らないしな」
新たな眷属をパーティーに迎え、再びレアグレスを目指して出立した。ハイタッチがあったことはいうまでもない。