第19話 剣 その2
ーーー 第19話 剣 その2 ーーー
「みんなの話からすると、解読できる眷属がいるってこと何だね。それにみんなの里か……行ってみたいけど今はいかなきゃいけないところがあるし、自分のことなのに申し訳ないけど、お願いするよロレイン」
「守護者くん。これでもね、僕は君を気に入っているんだよ。来たる災厄のために強くなってもらわなくちゃこの地上全員が困るんだ。僕とハニーの将来のためにもね」
「誰が誰の将来ですか!」
「ははは! まあ、こっちの件は僕に任せてくれたまえ」
話は終わりだ、というようにロレインはミズキに追いかけられ広間を出て行った。クルルは以前黙ったままだったが、フローラは何か言いたそうな、少し申し訳なさそうに悠真に近づいてきた。
「私は、この屋敷とこの奥の間を守るためにも動かない方がいいと考えますので、旅に同行できません」
「フローラが村にいてくれるから安心して旅に行けるんだ。いつも色々と支えてくれてありがとう。村を頼むよ。僕もできることを頑張ってくるよ」
「おい、ロレイン、フローラ。悠真が見るものって何だ?」
気づけばロレインが広間に戻ってきていた。その後ろには疲れきり、壁に手をおいてもたれかかっているミズキが見える。悠真とフローラ、クルルが苦笑した時、もはや重たい空気は広間にはもはやなく、悠真に関連する石碑の話に全員が冷静に臨める状態になった。とはいえ、ミズキの疲労はすぐには回復しなかったが。
全員でロレインが悠真に見せたいという石碑のようなものの前にある台座のある場所へ移動してきた。
「守護者くん、これは君がなぜここに召喚されたかの理由を知る鍵ではないかと思っている」
そこには封印と思われる護符のようなものが縄紐で結ばれた古びた剣と、古文書があった。縄紐は朽ちかけ、手に取れば崩れてしまいそうに見え、古文書も何か書いてあるようだが文字が擦れてしまっており、何の文字なのかも悠真には分からない。
「中には、猫神様、守護者、剣士、月、光という言葉があるのは何とか私にも分かりましたがそれ以上は……。ですから、先ほど言ったように里のものの協力が必要だということです」
「それで、僕はどうしたらいいの?」
「もし、悠真と関係があるというロレインの仮定からすると、手にとってみたらいいんじゃないか? そうだろ?」
「筋肉バカも今日ばかりは冴えているじゃないか」
「ふん」
「それで、剣を持ってみればいいんだよね。とりあえず護符はそのままに持ってみるよ」
恐る恐るだが、自分がこの世界に来た意味はずっと知りたかった想いがまさった。唾を飲み込み、ゆっくり剣に手を伸ばした。