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第18話 対策 その2

ーーー 第18話 対策 その2 ーーー



「なんとあの小僧どもが隊長にギルドマスターにのぅ」


(あの二人を小僧呼ばわりかぁ。本当に若い時どんなだったんだろう)


 大笑いをするシバを見るのも久しぶりだったが、笑いが収まったら表情が一変し、悠真にも緊張が走る。


「レアグレスの襲撃が人為的である可能性……のぅ。悠真よ、魔法具の行方を追うつもりじゃな?」


「はい。ですので、村の対策にしっかり協力してから旅立とうと思います」


「何か考えがあるようだな。いいじゃろう、思うように行動するがよい」


「ありがとうございます」


「ではの、教えておかねばならん」


 



 この世界は、現時点他国との争いは起きていない。古来の邪神戦争以来、各国の王家はそれぞれに月晶のレガリアと同様の魔法具を持ち、互いに侵略せず、微妙なバランスを取り、平和な世界が500年以上続いている。

 各国の結界に魔法具が使用されているのは周知のことであるが表向きに公表しているものにすぎない。月晶のレガリアをはじめとする魔法具には邪神を封印する役割があり、最悪の場合には写真が復活し、伝承にある邪神と猫神の戦いに発展しかねない事態になるかもしれない。

 月晶のレガリアの真の力を知り、利用しようとしているからこそ破壊せず奪ったのだとすれば、賊はどこかの国か「奈落の邪神教団」だろうという。アルタリア王国を侵略したいだけならば破壊し、王国内の結界は弱め混乱を引き起こせばいい。

 世の変化と猫神の守護者や眷属の活動を考慮すると、因縁の関係がある奈落信仰の教団もしくは、この各国のバランスを崩したい者しか考えられないということになる。

 教団は邪神を崇め闇の力を信仰し、世に隠れて活動しているに過ぎなかったのが何故だと疑問はあるが、月からの魔力を使い魔物を操り瘴気を各地にばら撒いていることが教団の仕業となればスジが通る。

 もう一つ、決して大きくないはずの教団が動くには裏に何者がいるのか調べる必要があるという。

 

 アルタリア王国国境付近のエルドウィン・ピークスには、言い伝えでは邪神封印の柱の一つがあるという。詳細はシバもタヤン神官も知らないという。ニップ村はその入り口にあたり、何らかの繋がりがあったと考えると壊滅させられたのはもはや偶然ではない。


「そんな、月晶のレガリアにそんな秘密が……その力を悪用されれば、この国が危険にさらされるじゃないですか」


「その通りじゃ、悠真。お前たちには、ニップ村の跡地を調査し、レガリアを取り戻さねばならん。猫神の守護者として」


 村長の話を受け、悠真は落ち着けと、自分に言い聞かせようと目を閉じ、静かに長い息を吐いた。


「教団の可能性は高いとして、どこかの国が動いている可能性はないのですか?」


「いや、数ヶ月間にあったコングレスも無事に終わっているということだ。どこかの国が動いている可能性は低いじゃろう」


 コングレスは3年に一度各国の代表が集まり、国家間の取り決めや相互監視のもとにバランスを維持している会議である。今年はその年にあたり、特に大きな問題はなく円滑に終わったと公式な知らせが来ていた。


 しかし、悠真からすれば数ヶ月という日数は一番油断する時期だと思い、国と教団が繋がっている可能性も考慮すべきでは、と思うのだった。



「僕にできることは限られていますが……クルルたちと全力で対処します」


 シバがその決意を認めるように頷いたとき、クルルが一歩踏み出し、鋭い声で言った。


「にゃー」

(任せろ)


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