第15話 レアグレス攻防戦 その2
ーーー 第15話 レアグレス攻防戦 その2 ーーー
全員身構える。何体ものオーガが出てきた。守備隊と防衛ラインの一角に悠真たちも加わり応戦する。
オーガは大きな棍棒や斧を振り回し、守備隊の長槍や大楯を物ともせず薙ぎ払っていく。悠真たちのところにもすぐ迫ってきた。
「どれくらいいるんだ、見えるだけでも数百はいるんじゃ」
「ざっと500くらいでしょうか。守備隊さんたちと私たちだけではとても……」
「悠真、エンチャントは使い所を間違えるなよ。ミズキの魔法だって無限じゃないんだからな」
「わかった。ミズキも長期戦になりそうだから回復7、攻撃3くらいで頼むよ。ロレイン、君の弓矢はどれくらい持ってるの?」
「わかりましたわ」
「あと14本だね。僕の矢は貴重だよ、守護者くん」
「OK、ロレイン。ミズキを守るのを最優先にしてくれる? あと、僕もクルルと前衛だから後ろから指示を頼む」
「はっはー。わかってるじゃないか。ハニーのことは安心したまえ」
「誰がハニーよ、このバカ猫。あなた攻撃魔法もあるでしょ、非常時なんだから頼みますよ」
「ハニーの頼みとあれば」
「よ、よしっ、来るぞ。行くよ!」
凄まじい雄叫びと共に斬撃と打撃が悠真たちを襲う。手当たり次第破壊しようという攻撃に防戦一方になる。
「くそっ、反撃のタイミングが……。数が多すぎる」
「ここニャ」
ロレインの弓が一閃。オーガが密集したところを狙って先頭のオーガの目に矢が刺さった。仰け反ったオーガが後ろのオーガにぶつかり、一瞬複数のオーガの動きが止まった。
「ナイス、キザ猫!」
クルル舞い、鉤爪がオーガを切り裂く。続けて悠真が他のオーガの足を薙ぎ払い動きを止める。
「行きます。避けてください! ウォータースラッシュ!」
密集していたオーガたちは鋭い水刃に切られ倒れた。砂埃が立ち、防衛ラインと魔物の群れに距離が生まれた。
「一度引け、守護者くん。距離を保て」
「わかった」
全員が、これで終わっていないことを理解していた。瓦礫が崩れて行く音、負傷した守備隊や魔物の苦悶の声が聞こえるくらいに静けさが生まれ、緊張感を生み出した。
「な、なんだあれ」
悠真は、砂埃の向こうに更に多くの魔物がいるのを確認した。守備隊の兵士も必死に立ち上がってバリケードの中で戦おうと集まってきたが、それでもこの守備の人数では封鎖ができないと瞬時にわかる。
「やるしかない、出し惜しみできないぞ」
「ああ、やるしかないな。矢を使い切ったら白兵戦に混ざれよロレイン」
「何を言ってる、この僕が白兵戦だなんて!」
「そんな場合じゃないでしょ!」