第15話 レアグレス攻防戦
ーーー 第15話 レアグレス攻防戦 ーーー
門は完全に破壊され、魔物が破壊された門の瓦礫の向こうに現れ、守備隊との戦いが始まっているのが見える。魔物の数も多く、大型のオーガの前に近くの兵士たちが薙ぎ払われていく。これでは門を囲うようにバリケードが設置されているがおそらく意味を成さないだろう。
「クルル、あのバリケードの内側で戦うしかないと思うけどどう?」
「街の中で自由に暴れられるわけに行かないからな、そこしかない」
「ミズキ、バリケードの外側から援護を頼むよ!」
「承知しました!」
バリケード内に入り、押し寄せてくるゴブリンを切り倒した。次々と向かってくる魔物の群れに、ただただ必死だ。バリケードを破ろうとするゴブリンを広く見つつ、多数に囲まれないよう気をつけていた。
それでも悠真の戦闘力不足、経験不足は否めない。何とかミズキが攻撃魔法で補い戦線を保っている。悠真は改めて2人の凄さを感じていた。
「悠真、まだいけるか?」
「うん、大丈夫」
そうは言ったものの数が多い。3人で食い止めるには無理がある。更にどういうわけか魔物たちからも鬼気迫るものを感じていた。
(何かがおかしい。このままではまずい)
途中で考えてしまうのは悠真の悪い癖のようだ。1匹のゴブリンが悠真の隙を襲う。
「しまった!」
振り下ろされた石斧が悠真の頭上に迫る。
シュッ!
ぎゃっ! という風切り音とゴブリンの悲鳴が耳元で聞こえた。倒されたゴブリンの頭には矢が刺さっていた。
「にゃにゃー!」
頭上から現れたのは、弓矢を持ったヒョウ柄の毛に身を包み、ハットを被った猫だった。
「クルル、苦戦しているようだな。私が助けてやろうか」
「げ、ロレイン!」
「君は!?」
「ふっ、我こそは眷属屈指の弓使いロレイン。危ないところであったな守護者よ」
「あ、ありがとう。助かったよ、ロレイン」
全員動きは止めずに自己紹介を済ませた。悠真は、シルバーの虎柄、こんな時にも陽気に接してこれる高い社交的なところや物おじしていない様子は、アメリカンショートヘアだなと感じたが、それ以上にロレインが羽をつけた帽子を被り、革靴を履いて弓を持つ姿はロビンフッドを彷彿させ、何かこう憎めない猫だと思っていた。
(こっちにも、ロビンフッドみたいな人? 猫? がいるのだろうか)
気づくと、ゴブリンたちが門近くで止まって動こうとしない。気づいてみれば4人で倒した数は20近くにも登っていたので、ゴブリンたちも体勢を立て直そうとしていた。
「ロレイン様に恐れをなしたか小鬼どもよ」
「バカ言ってないの、ロレイン。あれ、オーガでしょ、来るよ」
「この僕に向かってご挨拶だな、ミズキ。久しぶりの再会なのに連れないじゃないか」
「みんな、終わってからだよ。ゆっくり話すのは」
「「にゃー!」」