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第14話 接近 その2


ーーー 第14話 接近 その2 ーーー


レアグレスは、アルタリア王国の南の交易所としての機能があるため四方に門がある。魔物の大群は北西から迫っており、北門、西門、南門は広々とした平野のため侵攻されやすい地形になっている。東門は進撃方向から遠いだけでなく、大きな川があり侵攻されにくい作りになっている。

 そこで、東門付近へ住民、難民の避難区域として場合によってはそこから脱出するとしていた。防衛は、主力が北門、次いで西門に配備され、南地区付近の住民と難民の避難が新人冒険者に任され、門はもともと警備についていた守備隊に任されることになっている。


 南門付近の難民区域になっている広場では、多くの人々が不安そうにしていた。その時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


「あの、あなたは…この前助けてくれた方ですよね!」


 振り返ると、数日前に街の外れで出会った難民一家の少年が立っていた。彼の両親と妹らしき少女も後ろにいる。


「君たちもここにいたんだね! 大丈夫かい? これからギルドの指示で安全な場所に誘導するから、僕たちについてきて。」


「わかりました。でも…母さんが足を痛めてて、早く歩けないんです。」


 少年が心配そうに母親を支える姿を見て、悠真は迷わず肩を貸した。


「大丈夫、無理しないで。僕が手伝うから。」


 悠真は母親を父親と支えながら、他の避難民たちとともに南門から東門へ向かい始めた。そこが避難路として指定されていた。

 だが、彼らが南門区域を抜け掛かった時、轟音と悲鳴が響き渡った。





「くそっ、こっちは数が少ないって話じゃなかったのか?」


「門が破られる!魔物が来るぞ!」


「何としても街に入れるな!」


 門の向こうから、巨大なオーガと複数のゴブリンが押し寄せてきているらしい。守備隊が応戦しているが、勢いを止められない。門を内側から何人もの守備隊兵が抑えているが、門に亀裂が入っているのが見えるほどだ。周囲は一瞬で混乱に包まれた。


「まずいぞ…!」


 悠真は母親と少年たちを庇うように立ちふさがり、必死に状況を見極める。


 クルルが鋭い声で鳴き、悠真の前に飛び出した。


「悠真、しっかりしろ! このままじゃ難民が危険だ!」



 魔物の数は守備隊やギルドの予想を超えていた。どの門も応戦中で余剰戦力はないという情報が飛び交っている。


「わかってる…でも」


 後ろを振り返る。不安そうに南門の方を見ているこの家族を置いていくのかという迷いが一瞬頭をよぎったが、彼は深く息を吸った。


「わかった。まずは門を守らないと! ここで、足止めしてみます。他の人に何とか付いていけますか?」


「妻は私が、お前たち走りなさい!」


 父親も怪我を負っているはずだが、自分たちのことは自分たちで何とかすると街の奥へ向かっていった。


 悠真は左手にバックラーを、右手に剣を抜き、決意を固めた。


「よし、行くぞ!」


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