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第13話 ギルド


ーーー 第13話 ギルド ーーー



 月影亭の朝は早い。魔物の問題があり、レアグレスを訪ずれる者は商人とその護衛や冒険者くらいであり、朝市やギルドでクエストを取りに行くために悠真たちが朝食を食べているころには8時に宿泊客はほとんどがいなくなっていた。


「あんたは、ゆっくりさんだねえ。冒険者じゃなかったのかい?」


 女将さんの料理はとても美味しく、都市で評判になるほどの腕前だ。40歳くらいだろうか、割腹のいい体型に、人当たりは明るく、どこか愛嬌のある容姿もまた宿を人気にさせているのかもしれない。昨夜もこの都市ならではの肉料理に舌鼓を打ったのは言うまでもない。


「おはようございます。まだ冒険者ではないんです」


「どういうことだい? まだって何さ」


「僕はエノコ村から村の所用で来たんだけだったんですが、冒険者登録を守備隊のヴァリス隊長から進められて今日登録しようかと思ってはいます。それにしても、みなさん朝は早いんですね」


「だいぶ遠くから来たんだね。それに隊長が勧めるってアンタ、将来楽しみってことじゃないか。今後ともウチを贔屓に頼むね」


 女将は、これ以上の詮索はしちゃいけないという感じで厨房へ下がっていった。

 さて、今日の朝食はパンにスープにキッシュに似た卵料理。村の料理や自分の料理とは違った美味さがある。隊長の紹介がどうとかは関係なく、この美味しさはリピーターになりたい。あまりに美味しそうに食べていたのが表情に出すぎていたのか、サービスだとフルーツが一品追加された。


「未来の冒険者さんのお名前は?」


看板娘として人気の女将さんの娘さんがそのサービス品を持ってきた。


「え、えと。おはようございます。悠真と言います」


「ギルドに登録する際に実力を測る実技もありますからね、頑張ってくださいね。猫ちゃんたちも戦うんですか?」


「アイシャ、この子たちは猫神様の眷属さ、そそうのないように。滅多にお目にかかれないからね。ウチはラッキーさ」


「悠真さんって、実はとてもすごい人?」


「そんな、全然凄くも何ともないですよ、すごいのはこの子たちです」


 猫は古今東西、いや古今異世界? 誉められるのが嬉しいらしい。ふふ〜ん、と人間だったら言っていそうな感じだ。これって猫のドヤ顔かな?



 しかし、クルルたちのこの世界での存在は目立つ。レアグレスの人たちに、どんなふうに思われているのか気になる悠真であった。あまり詮索されても異世界から来たとも言えないため、もっと話したそうにしていたアイシャを尻目に早々に朝食を済ませて部屋に戻った。

 毛繕いをするクルルとミズキを見ながら、実技という情報に若干の緊張と期待感が高まり、悠真は装備をつけていく手に力が入っているのを自覚していた。


「さて、冒険者になりに行こうか」

ふたりから元気のいい「にゃー」をもらって出発した。


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