第12話 会談 その2
ーーー 第12話 会談 その2 ーーー
新たなる使命
悠真は自分の心に問いかけていた。
エノコ村を守るために召喚された自分が、果たしてこの国全体の問題にどこまで関与すべきなのか。だが、目の前の困っている人を放っては置けないと決意を固めた。
「分かりました。できる限り力を貸します。ですが、私一人では力不足ですし、村にも戻らなければなりません。猫神の眷属のたちの助けを借りながら、まずは村を落ち着かせたいと思います。ご協力はそのあとでもよろしいでしょうか。」
「君の協力は心強い。それに君がそう決めたのなら、まずは村に戻るといい。その後エルドウィン・ピークスに向かってもらいたい。そこには魔物の群れが巣を作っているという報告がある。準備も必要だろう。さらに詳しい情報は、現地の駐屯地で隊員から聞いてくれ」
ヴァリスは満足そうに会談を終わらせた。
悠真たちが守護隊本部を後にし、街の中を歩き始めると、彼らの目に飛び込んできたのは、先ほど見た避難民街に座り込む大勢の人々だった。
子どもを抱えた母親、疲れ切った老人、そして顔に疲労の色を浮かべた青年たち。みな薄汚れた服をまとい、ほとんど食べ物も持っていない様子だった。
悠真は一人の青年と目が合ったので足を止めて声をかけた。
「ここにいるみなさんはどこから来たのですか?」
青年は疲れた声で答えた。
「俺は北の村から逃げてきたんだ。魔物の群れに襲われて、家も家族も失った…。レアグレスなら安全だと思って来たが、街も手一杯らしくて、ろくに支援も受けられない状態だ。ほかにもいくつかの村が同じような状況のようだよ」
悠真は言葉を失った。難民たちが置かれている状況はやはり思わしくない。予想よりも状況は悪く、これだけの都市でも十分に支援できない大規模な被害状況があることを突きつけられた。
「エノコ村はクルルたちがいたし、あれだけ強い自警団があったから守れたんだ。これは他人事にはできない。つい数十分前に困っている人を助けたいと思ったばかりなのに何もできないのかな」
「悠真、守備隊も動いているようだし、1人で何かしようと考えすぎるな」
「悠真様、落ち着いて状況を整理するためにも、ひとまず今日の宿をお決めになりませんか?」
「ありがとう2人とも。そうだね、ヴァリス隊長のおすすめの宿に行ってみようか」
1人と2匹は、街の中心街にあるという「月影亭」に辿り着いた。