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第11話 旅立ち その4


ーーー 第11話 旅立ち その4 ーーー


 夜の静寂が戻る。悠真は剣を握りしめながら言った。刀の刃に映る焚き火の炎は、まだまだ弱さのある自分を写しているようだった。


「ダメだな、まだ戦うのは怖いし、訓練とは違う。でも、少しずつ戦えるようになってきた気がする」


 クルルは悠真に近づき、肩に手をやった。


「お前、悪くなかったぞ。十分戦えるようになってきた。それに怖さを持っているのはいいことだ。慎重になれる。油断もしない。怖がり過ぎてもいけないが、怖さを忘れると蛮勇になり、死を招くこともある。今のままでいい」


 とても勉強になる。ゲームの中のような世界だけど、ゲームじゃない。命は1つしかない。癒しの魔法もきっと万能じゃない。クルルの言葉を忘れないようにしよう。

 そのやりとりに、ミズキも微笑みながら声をかけてきた。


「悠真様の観察力は素晴らしいです。あの大きなシャードウルフは、もっと苦戦していてもおかしくありませんでした」


「2人がいてこそですよ」


「はっはっは。いいパーティーになりそうだ」


 本当に眷属の2人は頼りになる。戦いの高揚感の余韻も誉められて嬉しかったのもあり、悠真は見張りを買って出た。


「いつかは自分がタンクの役割もできるようになれば、もっと戦い方に幅ができるよな。でも、もう一人いてくれたら……」


 焚き火に薪をくべながら、戦い方の図を地面に書いてどう戦えばもっと効果的だったのか考えていた。

 一対一の戦い、少数対多数の戦いの違いはなんだろう。魔物の特性と人の戦い方の違いは短期間だけど教えてもらった。どういう時、どう剣を使ったらいいか、バックラーの使い方は他に何かないだろうか。また出稽古の時に隊長に聞いてみよう。悠真の分析と想像は交代の時間が来るまで終わることはなかった。





 エノコ村を出て6日目。

 遠くからでもわかる堅牢とわかる城壁が見えてきた。この間、毎日昼食後に修行の時間を作ってもらい、クルルに剣術。ミズキに魔力操作の基本を教わっていた。浄化魔法をいつでも使えるようになりたい。イメージだけでなく、魔力の操作をしっかり習得しておきたいと思ったのだ。

 シャードウルフほどの魔物に出会うことはなく、順調に旅路を進めていた。レアグレスに近づくと旅人の姿が見られるようになった。中には大きな荷物を抱え集団で向かっている人たちもいた。


「ミズキ、あの人たちは一体……」


「きっと難民だと思います。またどこかの小さな村が襲われたのかもしれません」


「これは、俺たちが思っている以上に多くの地で異変が起きているのかもしれないぞ」


 丘陵地帯に入り、前の方から争いの音が聞こえてきた。


「この先で何かが起こってる。行くよ」


「わかった、走るぞ」


「はい」


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