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第11話 旅立ち その3


ーーー 第11話 旅立ち その3 ーーー


 その夜、3人は安全と思われる場所を選んで野営をすることにした。焚き火を囲みながら、悠真は地図を広げ、次のルートを確認する。


「初日から魔物に遭遇するとは思わなかったな。レアグレスまでは遠い。道中に何があるかわからないから、休む時は休む。戦闘の準備、警戒などやることはしっかりやるぞ。」


「わかった。でも、なんていうのかな、旅はサバイバルって感じなんだね。僕のいた世界だと歩いて10日ってことは、東京からだと300km程度と考えると岐阜県辺りだから……車があればなぁ」


「トウキョー? クルマ?  何をおっしゃっているのですか?」


「いやね、僕の世界には高速で移動する手段があって、レアグレスまでなら2時間とちょっとで着く乗り物があるって話」


「何!? それはホントにゃ!?」


「そんな速い乗り物この世界にはありませんわ」


「クルル、猫語になってるよ。やっぱり高速移動できる乗り物はないんだね。でもこっちには魔法があるから、どっちもそれぞれの便利さというか良さがあるから、頑張って歩くよ」


「ふん、うるさいぞ悠真。黙って歩けばいいんだ」


 ツッコミを入れられて不貞腐れているクルルをミズキと笑った。その後、日本という国について少し話していたが、いつ戦闘が起こるかもしれないと、悠真とクルルは武器の手入れを、ミズキは魔力を補充するための瞑想を行なった。

 夜が深まるころ、森の中からまたしても異様な気配が近寄ってくるのだった。




 焚き火の光に照らされる悠真の影が揺れる。突如、クルルが低く唸り声をあげた。


「来たか……。起きろ2人とも。群れが近づいている」


「昼間のやつ、最期の雄叫びで仲間を呼んだのかも」



 森の暗闇の中、目を光らせるシャードウルフが次々と姿を現す。5体。いや10体はいそうだ。悠真たちを完全に包囲されていた。


「クルル様、囲まれてますね……どうしますか?」

 


「まだ視認できる距離じゃないし冷静に動こう。まずは場所を変えたい。ここは狭すぎる」


 悠真は周囲を観察し、木々の間に月明かりが差し込む比較的広い隙間を見つけた。


「あっちでどう? クルル」


「いいな、行くぞ」


 悠真が指示した隙間にクルルが突進し、2体のシャードウルフを引きつける。鋭い爪で1体の顔面を切り裂き、混乱を招く。

 ミズキが水魔法「ウォータースラッシュ」による範囲攻撃で敵の動きを分断。魔物の硬い皮膚には魔法の効果が弱まったが2体は倒せた。


「大きいのは群れのボスだ。こいつは俺に任せろ」


 クルルはボスウルフに接近戦を挑んだ。悠真はミズキのサポートを受けながら分断された少数から各個撃破していった。

 残ったシャードウルフは、ボスウルフの後ろに引いてミズキの魔法に怯んでか近寄ってこない。


「こいつに専念しよう。いいかなクルル」


「おお、一気に片付けるぞ!」


「援護は任せてください! ウォーターボール!」


 足元に牽制の魔法を放たれ、飛び退いた先に悠真が剣を突きつける。だが、素早さはボスウルフの方が上で、間一髪さらに跳躍して避ける。


「かかったな」


 鉤爪一閃。左後ろ足を切り落とした。それでもボスウルフはクルルに襲いかかった。


「ちぃ、浅かったか」


「まだだよ、エンチャントライト!」


クルルのガントレットが光に包まれ、ボスウルフはその光に目を奪われた。


「ナイス、アシスト!」


急な光にウルフは視界を一瞬奪われた隙にクルルの渾身の一撃。硬い鱗がない内側を狙うため超至近距離に入り込んでの攻撃に足をやられている状態ではなす術もなかった。


「ニャーッ!!!」


 ガッツポーズを取るクルルの後ろでは、喉元から大量の血が噴き出し、ボスウルフが地面に倒れた。それをみた残ったシャードウルフたちは逃げ出して行った。


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