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プロローグ3
「待ってたぞ」
「ね、猫が喋った?っていうか立ってる!」
思わず後退ずさり。
「ま、待ってた? あ、あの…もしかして、君が僕に話しかけていたの?」
「違う。だが、導かれてきたのだろう?」」
悠真が驚きと戸惑いを込めて言うと、猫はゆっくりと歩み寄り、その額を悠真の脚に軽くすり寄せた。そして、まるで合図のように悠真を導く視線を送りながら、一言、低く鳴いた。
(すり寄ってくるのってなんだっけ。信頼だったかな。しゃべるような猫が初対面で?)
「そうなんだ。あのさ、ここはどこなのかな。僕、神社にいたはずなんだけど……」
「ついてくるんだ」
会話もそぞろに、黒猫は歩き出した。
「ついていくしかないか……。こんなに暗くて、どこかわからないところじゃ怖いし」
この瞬間から、悠真の異世界での冒険が始まる。彼にはまだ、この地に何が待ち受けているのか、何も分からなかった。しかし、心強い仲間となるこの猫と共に、新たな使命を背負い、彼の物語は幕を開けたのだった。