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第9話 浄化の力


ーーー 第9話 浄化の力 ーーー



 悠真とクルルは水源での戦いと浄化を終え、ミズキと共に村へと戻り、フローラとミズキの女子会を無理やり終わらせ、クバンとリットとは後日また訓練場で会おう、と別れた。頼もしく楽しい2人だったなと手を振って見送り、村長の元へ向かった。

 途中の広場には村長のシバ、タヤン神官、アシュ隊長や村の老衆たちがすでに集まっており、ねぎらいの言葉をもらった。



 しかし、ミズキが瘴気を吸い込んだ水晶を取り出すと、集まった人の表情は一変した。


 シバが困惑した様子で言った。


「悠真、その様子を見ると調査だけでは終わらなかったということじゃろうが、その猫が持っている水晶はなんじゃ?」


 悠真は申し訳なさげに頷き、事態の報告と水晶について話した。


「まあ、それはよしとしよう。じゃがの、その猫が持つ水晶の中に見える瘴気は只事ではなかろうて。村に、というよりも外に悪影響を及ぼすことはないのか?」


「現状問題はないのですが、この瘴気を今後どうするかが問題で」


 返事をしつつ、水晶の中で微かに揺れ蠢く黒い瘴気を見つめた。


「このまま放置しておくのは危険かもしれません。何か良い方法がないかと考えています」


 クルルも神妙な顔で言葉を継いだ。


「瘴気の量が多すぎる。どこか安全な場所で瘴気自体を浄化する手段が必要だろう」


 水晶を見たフローラが静かに口を開いた。


「クルル、悠真さんよろしいでしょうか。私にも浄化の力には限界があります。しかし、猫神様のお力を借りることができれば、完全な浄化が可能かもしれません。」


「そうですね、その通りだと思います。神託を授かれればあるいは」


 タヤン神官が猫の社の奥に普段入らない祠があると案内してくれた。猫の家にある簡易的なお祈りの場とは違う、いわゆる神聖な場所があるという。ここで対応できなくても、何かきっかけになることが起こることを期待して一行は向かった。

 道中は誰もが何も話さずにいた。物がとても物騒なだけに、なかなか言葉が出せないと感じ、静かな行列となってしまっている中、村長だけがぶつくさ言っているのが聞こえた。



「ワシらも眷属たちと会話できればいいんじゃがの。なんでタヤンだけなんじゃ」


「まあ、シバ殿らしくないセリフですわね」


「親父、わがまま言うな」


「シバは自分ができんと気が済まんのだろう?」


 シバの声に、一行はようやく口を開くことができた。シバなりの気遣いで悪態をついたのかもしれない。


(でも、話せるかどうかって猫神信仰の深さってことなんじゃないのかな……と言ったら修行が倍とかになりそうだし黙っておこう)


 当の猫たちは、意に介さず村の者たちの後をついて歩いている。


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