第7話 汚された水源 その3
ーーー 第7話 汚された水源 その3 ーーー
瘴水魔獣3体。クルル、クバン、悠真にそれぞれ向かって突進してきた。巨大な体と鋭い牙が悠真の目の前に迫る。そして予想以上に速い。
「くそっ魚のくせになんて速さだ」
クバンは剣でなんとか受け止め跳ね返した。悠真は腕伸ばしバックラーを突き出し、前足の攻撃を受け止めることができたが、重くのしかかってくるのを払うことができず、魔物を両手で支えるような形になってしまった。
「くっ……」
受け流したいが、ずっしりとのしかかられてしまい、身動きが取れなくなってしまっていた。
「悠真さん!」
すかさずリットの矢を放ち、悠真を襲ってきた魔獣の後ろ足に突き刺さり、魔獣はたまらずのけ反り数歩下がった。
クルルは魔獣を超える速さで横から魔獣に飛びかかり、鋭い鉤爪で首筋に深い傷をつけ地面に叩きつけていた。クバンも魔獣の攻撃を跳ね返した後、胴を斬りつけ下がらせていた。
しかし、深傷だと手応えを感じた攻撃だったが、魔獣たちが纏っていた瘴気により傷が再生されていく。刺さったリットの矢も回復とともに地面に落ちた。
「おい、これどうすんだよリット」
「私に聞かれても分かりませんよ、まずいんじゃないですか、自己回復なんて」
クバンは距離をとって防御の姿勢を取る。リットは次の弓をつがえたが、矢を放っても意味があるのかと打つことができなかった。
「油断するな悠真。こいつら、やはり瘴気のせいで普通の攻撃じゃ倒せない…」
「クルル、どうしたらいい?」
(考えろ、何か手はないのか?)
各自、魔獣の攻撃を避け、受け止め、斬り返すなどをするが一向に致命的なダメージを与えることができず、クルル以外は疲労の色が見え始めた。
「そういや、悠真。今朝猫神様と何かやってただろ。何か言われたんじゃないのか?」
「あ!」
クルルの一声で悠真はハッとし、朝のお祈りのときに言われたことがあったのを思い出した。猫屋敷の
『あなたに一つ、新たな力を目覚めさせます。きっと助けになるでしょう…‥』
「やってみるよ」
「頼むぜ、相棒」
祈りの言葉を思い出し、イメージする。すると、悠真の手元に微かに光が集まり、全員の武器が白く清らかな光が宿る。剣を持った手をかざした。
「エンチャンテッドウェポン」
「悠真、武器が光ってるぞ? なんだよ、これ」
「すごいですよ、悠真さん猫神様の加護じゃないですか」
クバンもリットも驚きを隠せない。だが、武器に魔法の力が宿っただろうことを感じていた。
「よし、みんなやるぞ!」
「おう!」
「にゃー!!!」