第6話 訓練、訓練 その2
ーーー 第6話 訓練、訓練 その2 ーーー
エノコ村近郊での魔物との戦闘から数日が経った。この間はシバは現れず、クルルと訓練を行っていた。村では瘴気の汚染対策にめどが見えてきたので、明日にでも水源調査に向かえるという。
「まだまだこれじゃ足手まといだ。早く強くなりたい」
クルルはその言葉にじっと耳を傾けたあと
「悠真、焦ってはいけない。強くなりたいのなら、諦めずに日々鍛錬を続けることだ。訓練の相手は務める、任せろ」
と静かに語りかける。悠真だけに聞こえるその言葉は、クルルの真摯な決意が感じられるもので、悠真の心に響いた。
「クルル、ありがとう。」
「まずは身体の動かし方を鍛えることだ。お前の動きはまだまだ鈍いし。少しずつ覚えていけばいい」
クルルの言葉に従い、悠真は早速村の郊外にある開けた草原での訓練を始めることにした。そこは見晴らしが良く、足場もいいので初心者の戦闘訓練には適した場所だった。
「今日は俺から攻めるから避けてみろ」
悠真は構えを取り、クルルの動きを目で追う。
(実際にクルルの動きを目の当たりにすると、こんなにも早いのか)
左右に自在に動き迫ってくるクルルに対応しようと何度も試みたが、対応することができず、当身を喰らってしまうことが続いた。
「悠真、焦るな。まずは体の重心を意識しろ。動きたければ足の指、付け根を意識しろ。無駄な動きが多すぎる」
クルルは悠真の動きを厳しく指摘しながら、何度も訓練を繰り返すよう促す。徐々に悠真は体の動きを制御する感覚をつかみ始め、クルルの動きにもわずかに反応できるようになってきた。
木剣を盾のように使い、両腕でなんとか防ぐ、剣を使って軸足を中心に回転して流すを試行錯誤の上で見つけ出した。
「いいぞ、少しずつだが、進歩している」
(やはり目がいいんだ。不思議なやつだ)
クルルの指導はうまかった。的確な指示に強度。しかしきつかったのは、止まってくれないことだった。心肺機能の限界までやる。
インターバルも短い。
「疲れている時こそ、動け。敵は休ませてくれるのか?」
と、何度も言われた。確かにその通りだろうと食いしばり続けた。
「さあ、スピードを上げるぞ。ついてこれるか?」
「え、えー、嘘でしょ!」