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なろうラジオ大賞4

ポーカーフェイスで戦うだけで勇者たちが勝手に絶望する

掲載日:2022/12/05

 余は魔王である。

 今まさに勇者たちと戦闘中である。


「おのれ魔王! これでもくらえ!」


 勇者が繰り出した必殺技が脛に当たる!

 めっちゃ痛い!


「くくく……この程度か、勇者よ」

「ゲェッ⁉ まったく効いてない⁉」


 絶望する勇者。

 余が表情を一切変えないので、効果がないと思っているようである。


 実のところ、死ぬほど痛い!

 泣き叫んでのたうち回りたくなるくらい痛い!


 でも余は表情を変えない!

 魔王だから!


「今度は私が! ホーリブラスト!」


 聖女が魔法を発動。

 浄化の光が余をつつむ!


「くくく……日光浴のようで気持ちがいいぞ」

「うそ! ノーダメージ⁈」


 そんなことはない。

 全身を酸で溶かされたように痛い!


 でも余は表情を変えない。

 魔王だか――


「死ねよ魔王!」

「くたばれ魔王!」


 武闘家が顔面に飛び膝蹴り!

 戦士が股間にこん棒をフルスイング!


「ククク、痛くもかゆくもないぞ」

「だめだぁ!」

「歯が通らねぇ!」


 通ってる、通ってる。

 めっちゃ通ってますがな。


 あと一発殴られたら余は死ぬぞぉ!


 余は我慢強いだけで、戦うセンスとかマジでゼロ。

 ポーカーフェイスで敵の攻撃を受け続けるしかない。


「貴様らの力はこんなものかぁ!

 その程度でよくも余に戦いを挑む気になったなぁ!

 とっとと出直せ! この雑魚どもがぁ!」


 余はもう限界。

 でも諦めたら魔族たちが全滅する。


 魔王が死ぬと何故か他の魔族も道づれになるという、謎の法則があるらしい。

 だから負けたらダメなのだ。


「うう……無理だったんだぁ。

 俺たちが敵う相手じゃなかったぁ!」


 勇者が絶望した。

 聖女や他の仲間たちも次々と戦意を喪失していく。


「ようやく自分たちの立場が分かったようだな。

 お帰りはあちらだ、安全に城の外へ出られる」


 余はそっと魔王の間にある出口を指さす。

 緑色の人が脱出する絵が目印だ。


 勇者たちはすごすごと出口から退散。

 すると隠れていた魔族たちが現れ、余の周りに集まって来る。


「さすが魔王様!」

「魔王様すごい!」

「かっこいい!」

「すき!」

「大好き!」


 人外たちにもみくちゃにされて勝利をお祝いされるが……正直、彼らの期待が重すぎる。


『魔王様ばんざーい!』


 勇者撃退を民衆に知らせると、何万もの民が一斉に余を褒めたたえ万歳三唱。

 彼らの命を余が一人で守らないといけないと思うと、正直気が重い。


 つらい。

 くるしい。

 胃が痛い。


 でもポーカーフェイスで平静を装う。

 それが魔王のあるべき姿。


 本当の自分を知っているのは自分だけでいい。

お読みいただきありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 重荷を背負う魔王、カッコイイ。 [一言] いいですね。カッコよさに痺れました。
[良い点] これは、胃潰瘍でお亡くなりになりそうです。 [一言] 読ませて頂きありがとうございました
[良い点] なんと!! なんとーー。 魔王様、武士!!武士だね。 武士は食わねど高楊枝ってね。 素晴らしいね。武士道!! [気になる点] いやー、頑張った。 魔王様、アッパレ。
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