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苦手な方はご注意ください。

「ヴィラ」戦闘記

作者: コケのこけし

本作品は人間世界及び魔世界間における世界大戦(人魔大戦)調査証言書シリーズの設定をもとに制作された短編です。

もしよろしければ人間世界及び魔世界間における世界大戦(人魔大戦)調査証言書を読んでみてください

ドイツ第四神聖帝国 ネッセルバング近郊山中 PM11:43


「あぁ、戦士の雄叫び、AKの音、手榴弾の爆発音…。もうサイコォよぉ」

「イリーナさん、もしかして突っ込むとか言い出しませんよね?」

「あら、もしかしてシャルティアは突っ込みたいんですか?」

「疑問を疑問で返さないでください!それに私は突っ込みたくありません!」

「そうですか、それは残念」

そう言って彼女は腰にある鞘から短剣を二本取り出した。

「さぁシャルティア行きますよ」

「わかりましたよ…。でも聖歌隊には襲いかからないでくださいね!」

リュックからMP5を取り出しマガジンを装着させ、腰の拳銃にマガジンを装着する。

「それくらいわかってますよ。それにもし斬っちゃったら後片付けがめんどくさいですし」

「こっちも準備できましたよ」

「では行きましょうか!」

そう言い彼女は崖から飛び降りた。

「ちょっとまってくださいよー!」


「おい、マルティ敵の人数はわかるか!?」

「いや、わからん。敵の正体も不明だ!」

「銃声からしてドイツのSTGだが、たまにガバメントの音がする!」

「ココ、本当か?」

「俺の耳が間違えることはない」

「くそ、偽装してやがる」

「はは、俺らと一緒だな!」

「ここは笑う場面じゃないぞ。スティーブン、本部に連絡は取れたか!?」

「はい、取れました!」

「なんて言ってる?」

「このまま戦闘を続け敵を撃滅されたし、と言ってます。」

「ではバカ本部にクソ喰らえって言ってやれ!」

「ジョンさんよ、そう怒んなって」

「ココ、この状況で怒らないってほうが難しいぞ」

「たしかにそうだな」

前から光が約10、こっちの倍か…

練度はバラバラだが、無理な相手じゃないな

「全員聞け!目的は達成しているからさっさとずらかるぞ。スティーブンから若い順に下がれ!」

「「「「了解!」」」」

よし、これでいいはずだ…

なにかおかしい、敵の銃声がだんだんと…

どうやら敵さんも同じ判断を取ったらしい。

完全に銃声が止んだ。

「よしいまのうちだ!はやく後退しろ」

なにかがおかしい。なぜ一斉に銃声がやんだんだ?

なぜ撤退の援護射撃すらないんだ?

なぜ動く音すらないんだ?

まぁいい。こんなこと考えても無駄だ!

とりあえず、撤退をさせ

その時だった。

後ろから銃声とともに一人の叫び声がした。

「おい、スティーブン。おいスティーブン返事をしろ!」

そう叫んだが一切の返事がない。

同時に一人の声が聞こえてきた。女の声、いつかオペラを聞いた時に聞いた歌声にそっくりな声だった。


「スティーブン、彼の名前はスティーブンというのですね。そうでしたか、残念です。

もう数年していれば立派な兵士となっていたでしょうに。まぁその彼もすでにいないのですが」

私が追いついたとき、すでに彼女は一人仕留め敵達とお話をしていた。

「はぁ、はぁ、イリーナさん、早すぎますって…」

「あらシャルティア、こんなんで息切れですか?もう少し鍛えたらどうです?」

「いやイリーナさんがおかしいだけですから」

「あら、敵さん撃ってきましたよ」

「そりゃ撃ちますよ!」

「さっさと片付けましょうか」

そういって彼女は走り出した

「まってくださいよ~」


あいつはやばい。俺の感がそう言っている。

「おい、ジョンあいつはなんだ!?」

「ココ、俺もわからん。あんなやつは初めてだ!」

「マルティ、そっちはどうだ!」

「一緒にいたもう一人の方を見失った。」

「クソ!とりあえずあの化け物女を先に仕留めるぞ」

「わかったぜ」

クソ、あいつはなんなんだ。狙いが定まらん。

「手榴弾!」

「マルティ、わかったぜ!」

くそ、とりあえず手榴弾で麻痺させたあとに一斉射撃すればなんとかなるだろう。

「ココ、マルティ手榴弾が爆発したら掃射するぞ。」

「わかったぜ!」

「よし、投げ」

その時、MP5の発砲音とともに爆発がマルティの頭上で起こった。

「ココ、なにがあった?」

「狙撃されたんだ!」

「まさか投げた手榴弾を狙撃したのか!?」

「どうやらそうらしい」

クソ、あの少女の存在を完全に忘れていた。

しかし、手榴弾をMP5。しかもさっきちらっと見えた時にはサイトすらついていなかった。

アイアンサイトで手榴弾を狙撃ってどいう神経してりゃぁそんなことができんだよ…

「おい、ココ」

「なにも言わなくてもわかってる、急いで逃げるぞ」

「とりあえず、そっちから先に逃げてくれ」

「わかったぜ、ジョン。」

よし、まずは一人。クソ、なんでこうなったんだよ。

「ココ、後ろに下がったら本部に無線で応援を呼んでくれ!」

「わかったぜ!」


「おじさん、背中向けて逃げちゃだめだよー。よいしょっと」

おじさんの背中に標準をあわせ、引き金を引いた。

MP5の音が鳴り響く。

「マガジンを撃ち切ったけれども、まだあのおじさんいきてるのか…」

後ろからもう一人の男の声がする。

「おい、ココ。どうした!返事しろ!」

しょうがない。楽にさせてあげよう。

手に持ったMP5を放り投げ、腰のホルスターからコルト・ガバメントの標準をあわせる。

引き金を引いて、1、2、3、4,5,6、7。

「やった全弾命中した!」

おじさんはその場にバタリと倒れ、ピクリとも動かなくなっている。

「おい、ココ!返事してくれよ!おい!」

後ろにいたもう一人の男が叫んでいる。

「あら、余所見をしちゃだめよ」

男が一瞬こちらを見た瞬間、イリーナさんが背中を斬りつけ血を吹き出しながら倒れた。

まだ男はかすかに息があるようで、イリーナさんになにかを訪ねている。

「オタクはどちらさんだ…?ドイツ、日本、それとも“教会”?」

男は私達の正体についてある程度予想がついているようだった。

「あら、あなた教会について知っているのね。ということはわたし達についても」

「あぁ、知ってるさ。ハァハァ、あんたら“聖歌隊”だろ?」

「そう、知ってるのね?では、祈りは必要?」

「ふっ、教皇の犬共の祈りなどいらんわ」

「そう、ではせめて一撃で締めてあげるわ」

そういって彼女は彼の首を跳ねた。

「ふぅ、流石に疲れましたね」

「もう突っ込まないでくださいよ!」

「てかそんなこと言ってる暇あったらこの人達の身元を調べてくださいね」

「言われなくてもやりますよ!」

イリーナさんが一番最初に仕留めたスティーブンという兵の死体を漁る。

ズボンのポケットはなにもなしと。装備しているライフルは大ロシア制のAK、ボデイーアーマーは米軍の…。

となると、米軍か…?おっと靴の中になにか…

これはとりあえずフランスで確定かな。認識番号は、と。

対外治安総局か。

ふーん、これは裏にアメリカでもいるのかな…?

装備がやけにアメリカよりだ。

一応本部にも報告しとこ

「イーリーナーさーんー、こいつらフランスの対外治安総局でしたー」

「あら、フランス…、とりあえず後始末は後ろの部隊に任せて私達は帰りましょうか。」

「わかりましたよ。じゃあヘリを呼びますね。」

リュックから無線機をとりだし、ヘリを呼ぶ。

なんか無線機から文句が聞こえるが無視しとこ。

全部勝手に突っ込んだイリーナさんが悪い。そうだ。全部イリーナさんが悪い。

最後に敵の所属と装備について伝え終わり、無線機を切ってリュックの中にしまい込む。

「イリーナさん、あと4分でヘリが到着します。そのあとは本部にそのまま連れて行かれるそうですー!」

「わかったわー!」

ちょうどその時、月明かりが血のついた剣とその返り血を浴びたイリーナさんを照らしなんとも妖艶な雰囲気を漂わせている。

「あら、ヘリが来たみたいですね。」

そういって空を見ると所属と機体番号が隠されたUH-1が近くの平原に着陸しようとしている。

ヘリに乗った私たちは現地に残った“教会”の戦闘隊を後にしミュンヘン郊外の“教会支部”へ輸送された。




ミュンヘン郊外 聖歌隊第31支部 地下9階  AM1:13


あー、これは怒られるやつだ。

基地に到着するなりいかつーい装備をした方たちに囲まれ武器を取り上げられたあと支部隊の隊長室に連れて行かれた。

先にイリーナさんが部屋に入ったが中から支部隊長の怒声とイリーナさんのやる気の無い声が聞こえてきた。

そしてイリーナさんが出ていったあと次に私が部屋に入れられた。

部屋の中にはそうとう怒鳴ったのだろう。

ぜぇぜぇと息を切らしながら水を飲む支部隊長がいた。

「ハァハァ、シャルティア少尉、彼女はどういう神経をしているんだね!?いくら君たちが直属の部隊とはいえ勝手をし過ぎだ!」

「ジャクリティー大佐、心中お察しします…」

「まったく…。ほんとうにそうだよ!君は彼女を止めるのが仕事だろ?」

「私ではイリーナさんを止めることは無理ですよ」

「それもそうか…。君の苦労も察するよ。それで次の仕事だ。」

「あのー、ジャクリティー大佐、早すぎませんか…?」

やばい、せっかくの休みが消える…

どうにかしないと

「私達も先の戦闘である程度損害がでまして…」

「イリーナ少佐は損害は0、このまま連戦できると言っていたが?それにこれは本部からの命令だ!」

イリーナさんなにしてるんですか…?

それに本部からの命令って…

せっかくの休みが、映画が、高級ソーセージとビールがぁ…

もう、あきらめよう…

こうなったらせめてもの作り笑いで聞いてやろう。

「では一等神佐、次の任務はなにですか…?」

「三等神尉官、顔が笑ってないぞ。もう少し上手く作り笑いしたらどうだ。まぁいい。

まずこの写真を見てくれ。」

「はい、わかりました。」

そこには二隻の輸送船が一隻の米海軍の最新式の駆逐艦、キッド級ミサイル駆逐艦一隻と

またもや最新式のO・H・ペリー級二隻の護衛を受けながら航行している写真だった。

「この船がどうしたんですか?」

「この船は米軍の最新装備の設計図、並びに核関連技術を搭載していると本部が睨んでいる。」

「フランスってもう核持ってませんでしたか?」

「ああ、たしかに持っていたが更に強力な、向こうの世界の技術とか諸々が詰められていて更に強力になってるやつだ。」

「それがフランスにはいる前に襲っちゃおうってわけですか?でも最新のミサイル駆逐艦とかが護衛してたら厳しくありませんか?」

「いや、もうフランスのシェルブール海軍基地に入港している。」

え?てことは…

「もうすでに米海軍の艦艇は帰路についていることを確認した。いま物資を船から積み下ろししている最中だ。」

あ、これってもう確定じゃん…

「警備が比較的薄いいましか襲撃するタイミングはない。ということで、いまから君たちには輸送機でドーバーにいる空母まで飛んでもらう。そのあとはで対空レーダーをうちの情報隊とかがジャックするからその間に海側からヘリで強襲。君たちが一通り片付けたあとは聖歌隊の一個中隊が後続として突入。核関連技術をかっさらったあとは船もろとも爆破して証拠ごと港に沈める。」

うわ…。ハードすぎませんか…

「わかりました…。装備についてはこちらで決めても…?」

「わたしも悪魔じゃない。それぐらいは許可する。」

「はぁ…。わかりました。それでは退出します。」

「わかった。それでは、君たちに神のご加護があらん事を」

そう最後に言われ私は部屋を退出する。

もうやだ…。こんな職場、さっさと辞めたい。

でも、辞める時には記憶処理受けるからなぁ…

そんなことを考え武器庫へ行く。

門番には話がついているらしく中に通させてくれた。

中に通らせてもらうと中には最新式から旧式の武器まで揃っている。

門番曰くこの中から好きなものを持っていっていいらしい。

というわけで好きなのを選ばせてもらった。

まずベレッタM9を2丁左右のホルスターにしまった。次にリュックの中にMP5Kと二マガジンと一緒にしまった。それとスモークグレネードを3つ。それにM16A2をちょいっとカスタムしてフルオートで撃つことができるようになったのとそこに乗せるスコープ、最新式のボディーアーマーにマガジン3つを入れる。そしてグレネードを腰に2つ。そして最後にリュックの横にUZIとそのマガジン3つを差し込んだ。おっと腰と太ももにナイフを差し込むのを忘れてた。

「これで以上です。」

「ずいぶんと、重装備ですが…」

門番が驚いた顔をしている。

「ええ、まぁ激しい戦闘になると思うんで。」

そういって私はイリーナさんを迎えに行った。

彼女は待ちくたびれいていたようで多少文句を言ってきたが、関係ない。

さっさと仕事を終わらせてビールだけでもいただくんだ!

私達は輸送機に詰められ、ドーバーに向かった。




ドーバー海峡 聖歌隊所属空母エッセン 航空甲板 AM3:22


あー、水兵からの視線が痛い。そりゃ小火器で武装した少女と短剣二本を抱えた年頃の女がいるんだ。そりゃーみんな見るよ。

うう、早くヘリに乗って仕事場へ行きたい…

提督の話ではどうやら後続部隊の到着が遅れているらしく、あと出発までに30分はかかるらしい。

ほんとに恥ずかしい…

なんかイリーナさんは食堂を物色し始めて副長から怒られたし。

まじで最悪だ…




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM3:42


「あぁー、ひまだ」

「ジャックマン、それでいいじゃないか。暇なことで結構。」

「ボイル、そりゃそうだがなんかいまいちなんだよな」

「でもよ、こんな警備任務に俺たちグリーンベレーがでる必要あると思うか?」

「そうだが、こんな楽な任務はアラビアの一件以来久しぶりじゃないか!それにミケにも聞いてみろよ。あいつも絶対にこっちの任務の方がいいって言ううぜ」

「そういえばあいつは?」

「ああ、隊長のところへ行ってたぞ」

「そうか。それにしてもこの海軍基地、警備はまぁまぁいるがどいつも動きが素人だ。まともに戦闘訓練されてないだろ」

「しょうがないじゃないか。彼らはあくまでも水兵で船の上で働くのが本業さ。陸の戦闘とは無関係だよ」

「たしかにな。まぁ戦闘にはならないと思うからな。というか上の連中なにに警戒してるんだ?こんな厳重な警備あんまりみないぜ」

「あの輸送船の積荷すら俺らには知らされてないからな。隊長ですら中身を知らないらしい」

「まぁ、大した積荷じゃないだろ」

「そういうことにしとくよ」

とはいえ、積荷の正体がわからないのは不気味だな…




ドーバー海峡 聖歌隊所属空母エッセン 航空甲板 AM3:55


後続部隊がどうやら準備できたらしい。

提督が作戦開始の合図を出した数分後、カタパルトから数機の戦闘機が出撃した。

どうやら私達は戦闘機の爆撃後その混乱の中ヘリから降ろされ基地を制圧することになるらしい。

てかなんで作戦要項共有されてないんですかね…

あとから苦情言っておこ。

で、戦闘機が出撃して十分後私達はヘリに乗せられ海軍基地へ向かった。




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM3:42

あぁ、ずっと暇な時間が続いている。

このまま終わればいいんだが…

ん?あれは戦闘機か?

フランス空軍か海軍が練習飛行でもしてるんだろうか?

フランス海軍は最近原子力空母を保有しようと躍起になってるし…

それにしても飛行高度が低くないか…?

「おいボイル、あの戦闘機編隊見えるか?」

「あぁジャックマン、見えるぞ」

「なんか飛行高度低くないか?」

「たしかに低いな…」

「ん?なにか発射した…?」

「発射したな…」

「やばい、あれはミサイルだぞ!」

「なんで撃ってきたんだよ!」

「とりあえず伏せろ!」

なんでミサイル撃ってきたんだ?

というか敵機ならなんで対空砲は一発も撃ってないんだよ!

ミサイルが四発頭上を通過した。

一発は石油貯蔵施設、もう一発は艦隊司令部、もう一発は発電施設、そして最後の一発は通信アンテナに命中した。

基地は混乱しているようで対空砲すら動いていないようだった。

敵機は高度を上げた。そのとき見えた機種は大ロシアのSU-22と目を疑ったが合衆国のF-14だった。所属を示すマークはなにも書いてなく、しかも塗装すらない。

正体は探れなかった。

そして高度を上げた敵機は次に爆弾八発を投下した。

三発は停泊していたフランス海軍のフリゲートと駆逐艦、それに建造中の一隻の潜水艦。

二発は警備隊詰め所と武器庫。そして一発が地中貫通爆弾だったらしく地下司令部をぶち向きやがった。そして最後の二発は物資集積地と車両駐車場に命中し最新式の対空砲ならびに通信設備と指揮能力を喪失した。

そして俺は、衝撃波により意識を失った。




シェルブール海軍基地 第2係留所 AM4:00

真っ赤に燃えている基地がヘリから見える。

「あら、真っ赤に燃えていますね」

「そうですね。どうやら奇襲が成功したみたいですね」

「あと2分でポイントに到着。降下用意!」

機長が大きい声でこっちに向かて叫ぶ。

「とういうことらしいのでシャルティア、行きますよ!」

「はい、わかりましたよ」

腰の拳銃とUZIにマガジンを装填する。

「降下よーい!」

機長の声が聞こえる。M16の安全装置を外す。

「降下!」

そう聞こえた瞬間、イリーナさんはヘリから飛び降りた。

ざっと5メートルはあるのによく飛び降りるなぁ…

それにもう走り出したし

私もさっさと降りよ…

「行きます!」

「神のご加護を!」

ヘリの搭乗員にそう言われヘリをあとにする。

さぁ、仕事の始まりだ!




シェルブール海軍基地 第1係留所 同時刻

意識を取り戻したようだが、ないやら騒がしい。

ひとまず物陰に移動しよう…

近くにボイルがいる。彼にひとまず状況を説明してもらおう

「おい、ボイルどういう状況だ…?」

「目覚めたのかジャックマン!?状況か?最悪だ!奇襲を受けてうちの上官と数十名の隊員、そしてフランス海軍のおえらいさん方全員と数百名、そして通信設備全部に車両全部と対空砲数門が吹っ飛んだ。石油貯蔵タンクも燃えて今現在生き残った指揮官が消火活動中だ!」

「そうか、最悪だな…。そういえばミケは?」

「あいつは死んだ!司令部を吹き飛ばされたんだ。もう生きていないよ。お前はとりあえず休んでろ。俺は消火活動の方へ行ってくる。」

「わかった。ボイル」

「なんだ?」

「死ぬなよ」

「ああ、わかっている」

そういって走り出していくボイルを見た後、俺は少し休むことにした。




シェルブール海軍基地 第2係留所 同時刻


さーて、お仕事しますか。

「イリーナさん、さきに始めないでくださいよー!」

「あら、あなただってさっさと終わらせたいでしょ?」

「そうですけど、ペースが早すぎますって…」

「あら、新手よ」

「もう話をそらさないでくださいよ」

そう言いながら敵に向けてM16の照準を合わせる。

射撃モードは単発。

標準があった。

M16の引き金を引く。

ただ無心になり引き金を引く。

敵を制圧しおわったらしくもう敵の姿はない。

「あら、シャルティア。いつもより早いわね」

「そりゃイリーナさんのペースが早いからそれに合わせてるんですよ」

「そうだったのね。じゃつぎの場所に向かいましょうか」

そういって彼女は走り出す。

「ちょっとまってくださいよ!それにそっちは目的の方向と違いますって!」




シェルブール海軍基地 石油貯蔵タンク 同時刻


くそ、襲撃を受ける前一体何人がここに居たんだ?

焼死体がたくさん転がっていて

焼き焦げた匂いに石油が燃える匂いが混ざって最悪な匂いを生み出している。

消火活動は継続しているが人手がどうもたりないらしい。

火の勢いが収まらない。

「おい、指揮官さん。これは消火するの厳しくないか!?」

「あんたは?」

「アメリカ軍だ!」

「あんたらか!正直厳しい。他のタンクにも引火するおそれがあるから全員退避させる!」

「わかった!」

そう返事した時、炎の中からなにかこっちにむかってくるのが見えた。

銃を構えた瞬間、数名が血を吹き出して倒れた。

「どうした!」

指揮官がそう叫んだ瞬間、次にその指揮官が倒れた。

一体どこに隠れたんだ?照準が定まらない。

どうやって迷っている間にもまた一人、また一人と倒れていく。

ほんとにどこへ消え上がった!

「生き残っている奴らはこっちへ来い!固まるぞ!」

そうやって生き残っている水兵がこっち集まってきた。

これだけ集まれば死角もなくなるはず…

その時だった。

上からなにかが舞い降りてきた。

それに気付いた瞬間、周りにいた数名が切りつけられ血を吹き出しながら倒れていた。

クソ!上からか!

急いで銃の照準をあわせる。早すぎて間に合わない!

また三人殺られた!

クソ!また消え上がった!

クソ、クソ!

次は…

背中になにか痛みが走った。

なにかが刺さる痛み…

あぁ、俺刺されたのか

「ちょっと、イリーナさん!こっちじゃないですよ!」

なにか少女の声がする。

寒い。

出血が止まらない。

クソ!なんでこんなところで…




シェルブール海軍基地 石油貯蔵タンク 同時刻


「イリーナさん!方向逆です!だから勝手に進まないでって言ったでしょうが!」

「まぁまぁそんなに怒らないでくださいよ。それよりもこの方の身元を調べてくれませんか?」

「いいですけど、どうせフランスの水兵じゃないんですか?」

「いや、水兵にしては動きがよかったものでね」

「ふーん、調べてみますけどもってこれ米軍の正式装備ですよ!しかもこの記章はグリーンベレーじゃないですか!」

「あら、やりがいのある相手…。シャルティア目的の場所の方角は?」

「あっちですよ」

第1係留所の方向へ指を指す。次の瞬間また走り出した。

「ちょっとまた走り出さないでくださいよー!」




シェルブール海軍基地 第1係留所 同時刻


ふーう、息も落ち着いたし動けるようになった。

よし、消火活動の応援にいくとするか…

ん?なんであの水兵達は機関銃を設置してるんだ?

「おい、お前!なんで機関銃なんか設置してるんだ?」

「はい!敵の襲撃がありこっちに向かっているとのことですので防衛体制を整えているのであります!」

「わかった!というかその機関銃はどこから持ってきたんだ?」

「近くの見張り所においてあったものを取ってきました。」

「分かった!」

空襲の次は奇襲か。いったい何人の部隊なんだ?

というかボイルはいまどういう状況なんだ?

無線で聞いてみるか。

「おい、ボイル応答しろ。おい、ボイル。聞こえてるのか?」

ちっ。

こんな時に限って不調かよ。

まぁいい。騒動が落ち着いたあとゆっくり話せばいい。

石油貯蔵タンクの方向からなにか走ってくるものとそれに対し射撃する水兵数名が見えた。

女?なんで女がいんだ?てかあいつの手にあるのって、短剣…。

どのみち襲撃者はあいつで間違いないようだな…

そう認識したときだった。

その女が短剣で周りに居た兵士全員を切りつけたのが見えた。

そして兵士は皆血を吹き出しながら倒れていった。

あの女はやばい。俺の直感がそう告げている。

そして俺は機関銃を構える若い水兵に短剣を持った女を撃つように指示する




シェルブール海軍基地 第1係留所 同時刻


敵がこっちにむかって機関銃を撃ってきた。

「まったく、これじゃ進めませんね…」

向こうの物陰からなにやら聞こえてくる。

「言われなくてもやりますよ!」

そう言って物陰からM16 の銃身とスコープを覗かせる。

機関銃はあそこと、あそこ、それにあそこの3か所か。

まずは1つ目の銃座から。

1つ目の銃座を捉えたスコープの中には私とさほど歳が変わらない水兵が機関銃を怯えながら撃っているのが見えた。

照準を彼の脳天に合わせる。

次の瞬間引き金を引く。

機関銃の射撃音が続く中、一つの違う銃声が鳴り響いた。

どうやら彼の脳天に弾は命中したらしく、1つ目の銃座が止んだ。

続けて右側に居た給弾要因の兵士に照準をあわせる。

彼も機関銃を射撃していた若者と同様に見た感じ私と同じ歳の青年だった。

照準に合わせ、引き金を引く。射撃後すぐにスコープを通して死亡しているのを確認した。

射撃位置がバレたらしく、他のFAMASを装備した兵士達がこちらに対して弾幕を浴びせてくる。

どのみちこの位置からだと他の銃座を狙えないから移動するとしよう。




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM4:22


くそ、銃座が2つ潰された!

銃声と銃座の射撃が止んだ順からしてどうやら敵は一人で機関銃を潰したらしい。

この薄暗い中、しかも一瞬だけ見えたがあの少女がだ。

残った機関銃の銃座は後ろの一つだけだ。

「弾が残り少ない!」

その機関銃の銃座から悲痛な叫びが聞こえた。

いま機関銃の制圧射撃が止んだら先程殺られた兵士のようにあの短剣女に殺られる。

しょうがない。

「俺が他の銃座から弾を取ってくる!」

そう宣言し、先に潰された銃座2つへ向かい走り出す。




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM4:29


「あら、わたしあの方を追いかけますね」

「え?ちょっと待ってくださいよ!」

イリーナさんの我儘がまた始まった。

「あなただったらあのぐらいの人数片付けれないことはないですよね?」

「たしかにできますけど…。なんであの人を追いかけてくんですか!?」

「あの方、おそらくですがグリーンベレーです。たぶんこの中だと一番強い」

「イリーナさん、わかりましたよ…」

今回の我儘はまだちゃんとした理由があるらしい。

「では、一通り終わったら目的地点で」

そう言ってイリーナさんは闇の中に消えていった。




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM4:31


さて、一人で潰すことになったけどもなにが『あなただったらあのぐらいの人数片付けれないことはないですよね?』だよ。敵の数多すぎますって!ざっと40人近くはいるじゃないですか!もう分かれてしまった以上文句を言ってもしょうがない。

まずはあの鬱陶しい銃座を潰すとしますか…

M16の照準を銃手に合わせる。

照準があった瞬間引き金を引く。命中。

右の給弾要因に照準をあわせる。照準が合い、引き金を引く。命中。

二人とも頭から血を流しながら倒れているのが見えた。

おっと、どうやら位置がバレたらしい。

兵士達が一斉にこっちに向かって発砲してきた。

しょうがない。

M16をフルオートにし、スモークグレネードを投げる。

フルオート射撃で牽制しながら場所を移動する。一度闇の中に入れば見つけ出すのは厳しいだろう。

闇に紛れ、見失ったのだろう。

射撃が止んだ。

今のうちにマガジンを装填する。途中スコープに敵弾が命中したらしく使い物にならなくなっていた。あとから装備担当の人に謝ろう…

スコープをM16からはずしアイアンサイトにする。

さっきの銃撃戦で何人殺った?

手応えがあったのは銃手と給弾要因を除いて4人ほど。

こっそりと物陰から除くと敵の数は予想よりも減っていて約40名から30名ほどに減っている。

これならいけるか…

近くの物陰まで走る。途中で敵に見つかってしまい銃撃を受けたが止まったら被弾する。

なんとか損害なしで物陰までたどり着けた。

銃撃してくる敵に対し撃ち返す。

照準をあわせる暇もない。手榴弾を使うか。

右に敵の兵士が5、6人ほど固まっているのを確認してそこに手榴弾を投げ込む。

数秒立って爆発音と男たちの絶叫が聞こえる。そこに対しM16のフルオート射撃をぶち込み確実に仕留める。

敵がこっちに激しい射撃をしてくる。

またスモークグレネードを投げ、姿を隠し、位置を移動する。

敵はどうやらさっきの攻撃を見て同じような攻撃を避けるべくある程度分散し射撃をしている。

M16のマガジンを確認する。いま装填しているマガジンの中には弾がなく、ボディーアーマーに入れておいたマガジンも残り一つを残しすべてを使い終わった。

とりあえずM16にマガジンを装填して射撃し終わったあとはUZIで近接戦をするか…。

あ、あとリュックから使った分のスモークを出さなきゃ。

ふーう、水を一口水筒から飲む。

息も整ってきた。よし、いこう。

M16のフルオートを腰撃ちで撃ちながら走り出す。5、6人が倒れただろか。その時についにM16の弾が付きたらしく引き金を引いても弾が出なくなった。

さっさと使えなくなったM16を放り投げリュックからUZIを取り出す。

姿勢を低くし、他の敵が撃てなくなるほどの至近距離にはいりUZIの引き金を引く。

このやり方で12人ぐらいを殺った頃だろうか。

少しおかしいことに気付いた。数人ほど練度が高いのがいる。

ひとまず先に雑魚から片付けよう。

そのあと7人を片付けたあとやはり練度が比較的高い5人が残った。

「おじさん達、動きからして水兵じゃないね。どこの所属なの?」

「うーん、お嬢ちゃんの所属を教えてくれたらいいよ。」

「じゃ無理か」

とりあえず動きが甘いあの二人を仕留める。

こいつらこの間の対外治安総局と似たような部隊か?

とりあえず聞いてみるか。

「ねぇおじさんたちってジョンっていうフランス人の特殊部隊員の人知ってる?」

一瞬後ろにいる2人がかすかに動揺したのが見えた。

「うーん、知らないなー。誰だいそれ?」

このおっさん、やるな。なにも反応がなかった。

「でもおじさん達って対外治安総局の人たちでしょ?」

「なんでそう思ったんだい?」

まじでなんも反応しないんだけど…。

絶対に強いよねぇ…

まぁいいか。次は後ろの雑魚二人を仕留めるか。

スモークを投げ、移動する。

スモークが投げられた瞬間、後ろの二人は銃を構え警戒するがあのおっさんは銃を構えはしたが警戒をほぼしていない。スモーク越しに後ろの二人を狙撃する。

バタリと倒れるおとが聞こえたあと物陰に隠れる。UZIのマガジンを取り替えMP5をリュックから取り出しリュックをその場に置く。あのおっさんはなにもしてこない。

なんでだ…?

「おーいお嬢ちゃーん!少し話をしようじゃないか」

おっさんが話しかけてくる。めんどくさいからさっさと終わらせたいから無視しよう。

「お嬢ちゃん達って聖歌隊でしょ?きみたちの練度からしてもしかして教皇直属の部隊なの?」

どうやらあのおっさんは私達の正体を知っているようだった。

しょうがない。返事するか。

「そうだよ、おじさん。ということで死んでね!」

そういってグレネードを投げる。

「おぉっと怖い。でも死ぬわけにはいかないんでね。本気でやらせてもらうよ」

おっさんは走り出しグレネードを投げ返してきた。

よし、ここまでは想定内。おっさんと数メートル開け遮蔽物越しに撃ち合いをする。

おっさんの装備はFAMASと腰のホルスターの拳銃一丁。UZIの弾すべてをおっさんの持っているFAMASにむけて全弾撃ち込む。

おっさんもこっちに向かって撃ってきていて頬を数発かすめた。

UZIの弾は狙いどおりFAMASにあたりおっさんのFAMASは使い物にならなくなった。おっさんはFAMASを投げ捨てて腰のホルスターから拳銃を取り出した。

こっちのUZIも弾切れになり放り投げMP5をとりだしおっさんに向けた瞬間MP5に数発おっさんの拳銃の弾があたり弾かれる。

「お返しだよ、お嬢ちゃん」

あのクソおやじ…

そう思いながら腰のホルスターにあるM92を二丁取り出した。

「お嬢ちゃんもしかして二丁拳銃?よく持てるねぇ…」

「えぇ、あなたより若いもんでね!」

あーイライラする。

しっかりと分析しないと…

おっさんの拳銃はガバメント、予備のマガジンは見当たらない。

ということはいまの装填数は6発か。よし。

走り出す。その時一発撃たれた。のこり5

「おい、また走るのかよぉ。少しは年寄りをいたわってくれ…」

煩い!とりあえず返事のかわりにお返しの銃弾を数発撃つ。

また2発撃ち返してきた。残り3

どうやら残り三発で仕留めるつもりらしい。

もっているM92に向かって2発、それは見事命中しベレッタが弾かれた。

やばい…!逃げなきゃ!

そう思った瞬間、ガバメントの銃声とともに足に激痛が走った。

「あれー、頭を狙ったんだけどなー」

どうやらかすっただけらしいが痛みが強くうまく走れない。

おっさんが近づいてくる

「ガバメントの予備マガジンとナイフないから申し訳ないけど君のナイフを借りるよ。」

そう言って腰にあるナイフを引き抜こうとする。

いましかない。そう思い太ももに差し込んであるナイフをおっさんの首に刺し、抜く。

おっさんの動きが鈍くなった。もう一度首に刺す。おっさんの意識はあるようでなにかいいたそうに口をパクパクしているが関係ない。近くに落ちていたベレッタを広い照準をおっさんの眉間にあわせる。そして弾切れになるまで撃ち込む。

弾切れになったあとベレッタを投げ捨てもう一丁のベレッタを拾い、適当にちぎった布を傷口にあて目的地点へ向かう。

「イリーナさん、ちゃんと終わってたらいいんですが…」




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM4:30


後ろからかすかにだが足音が聞こえてくる。

数は1、手慣れだな。

短剣を持っていた方の女だろう。

おそらく接近戦になるな。

ポケットからM7銃剣を取り出しM16に装着する。

できれば遠距離で仕留めたいが…

腰をかがめ後ろを確認する。

足音からしてあの方向…

フルオートを選択する。

一見なにも見えないが、一瞬人影が見えた。

人影が見えた位置に向かって撃ちまくる。

一マガジン撃ちきった。すぐにマガジンを交換する。

ちっ!20発のマガジン2つしかない。

とりあえず装填するか。って足音どこいった?

クソ!消え上がった。

とりあえず物陰に隠れなきゃ…

とにかく銃座の物陰に隠れ、周囲を観察する。

ていっても周りは暗くてよくわからんし足音すらしない。

うん?あの方向になにかいる?

大きさからして人…

あの女だ!

こっちに詰めてきてやがる!

とりあえず位置を変えなければ

腰撃ちで弾をばらまきながら移動する。

あの女、全部避け上がる!

ほんとになんて動きしてんだ!

タンクの裏に隠れる。

弾切れになりやがった。マガジンを装填する。

その時だった。背後からとてつもない悪寒を感じた。

恐怖の対象の正体はだいたい察した。

やばい。

すぐにタンク裏から走り出し、恐怖の対象から間合いをとる。

「あら、気づかれてしまいましたか…。」

初めて敵の姿をはっきりと見ることができた。

その恐怖の正体は20前半の美人だった。こんなところいなきゃ女優かモデルとしてもてはやされただろうに。手には顔に合わない二本の短剣となぜか修道服を着ている。てか修道服であの速さだったのかよ…。やっぱりバケモンだ。

「ハハ、あんだけ殺気立ってたら嫌でも気づくよ」

M16の照準をあの女に合わせる。

「残念だわ、お話しする気も無いね」

「いや、なにを話すんだい?お互いの故郷についてでも話すか?」

「それもいいわね。私の出身はイタリアのサンマリノ特別区よ。あなたは?」

「サンマリノか。俺は、察していると思うけどアメリカのヒューストンだ。」

「ヒューストン、まだアメリカにはいったことはないわね。」

「ふーん、そうかい。まぁいいや」

M16の引き金を引く。

女は走り出し、距離を詰めてくる。照準が追いつかない。

弾切れか!

弾切れになった瞬間、距離を詰めてきた。

短剣を使いきりつけてきた。

銃剣を使い受け流す。金属がぶつかり合う音がする。

後ろにさがり間合いをとる。

「あなた、中々やりますね」

「近接戦はまだ得意な方なんでね」

嘘だ。受け流すだけでも相当厳しかった。

こっちからはなにも手出しできない。ただ防戦一方だ。

また詰めてきた。次は銃身を使い受け流す。

一歩下がりまた間合いをとる。

そしてまた詰めてきた。つぎも銃身で受けるか。

なにか体制が違う。は?

剣を投げてきた。もう一本の剣で刺そうとしてきている。

やばい。

反応が…

なんとか避けれたか…

女は太ももに隠していたナイフを取り出す。

「まだ隠していたのか」

「ええ、そうよ。というかあなた今のを避けれるのね。そろそろ本気をだそうかしら」

その瞬間、空気が変わった。あの女が周りの生気を吸い取るような雰囲気をだしている。

嘘だろ…。これが本気か…。

あの女の目が恐ろしい物になった。あの目は獲物をかる狩人の目だ。

そして俺は獲物の小鹿ちゃんか…

そう思った瞬間、目の前から姿が消えた。間合いを詰められた。

もう、間に合わな…

腹に冷たい金属の感覚が伝わる。

体が重い。

俺、死ぬのか?

体から金属の感覚がなくなり腹から血が溢れ出すのが見える。

体から体温が消えていく。

「少しは楽しめたわよ」

女が俺の返り血を浴びながらそういう。

「そうかい、よかった」

「あなたの名前は?」

「クリス・ジャックマンだ」

「クリス・ジャックマン、あなたに幸があらんことを」

「ありがとう。最後にあんたの名前を教えてくれないか?冥土の土産にさせてもらうよ」

「イリーナ。イリーナ・シェイクよ」

「イリーナか。ずいぶんと可愛らしい名前じゃないか」

血を口から吐き出す。

「ジャックマン、もう無理をしないで目をつむりなさい」

「そうさせてもらうよ」

そう言い目をつむる。だんだんと意識がなくなる。

もう、いいか…




シェルブール海軍基地 第1係留所 AM4:53


先に集合地点についた。

イリーナさんは、まだ来ていないのかな…?

いや、イリーナさんのほうが先についていたようでなにかの箱に腰掛けながら暇していた。

「イリーナさん、こっち終わりましたよ。」

「シャルティア、遅いですよ」

「無茶言わないでくださいよ!こっちは数十人を相手にしてたんですから」

「まぁまぁ、あとからなにか奢ってあげますから…。あら、ヘリの音。後続の部隊が到着したみたいですね」

「イリーナさん、その言葉忘れないでくださいね!それと後続の部隊はさっき無線で呼んできました」

「流石シャルティア。やっぱ頼りになります」

「おだててもなにもありませんから」

まったくもう…

そうしているうちに大型ヘリ一機とUH-1が三機着陸してきた。

大型ヘリから後続部隊の隊長らしき人物が降りてきた。

「第2戦闘隊のシャルティア少尉はどこにいる!?」

おっと、隊長だったらしい。おそらく現状説明のために呼ばれた。

「はい、シャルティア少尉であります」

「第三特務戦隊隊長のミクロ少佐だ」

「ミクロ少佐、目標までのルートは確保済み。敵も殲滅済みです。それと少佐、なんで私が呼ばれたのでしょうか…?イリーナ少佐もおられますのに…」

「イリーナ少佐には話が通じないと聞いたもんでな」

「いったいだれに聞いたのですか?」

「ジャクリティー大佐にだ」

少佐は苦笑いする。

あのおっさんか…。しっかりと文句はあとから言わせてもらおう。

「では我々はこれで」

「それでは」

敬礼をし、少佐が目標へ向かい歩いて行くのを見送る。

見送ったあとイリーナさんのところへ戻る

「イリーナさん、帰るからヘリに乗りますよ!」

「わかったわシャルティア」

こっちに向かいイリーナさんが歩いてくる。

一番端に駐機している機に向かいイリーナさんと並んで歩く。

「さぁーシャルティア、空母に戻ったらビールを飲みまくるわよー!」

「もちろんイリーナさんのおごりですよね?」

「さらっとあなた怖いこと言うわね」

「でもさっき奢ってくれるって言いましたよね?」

「さぁ、言ったかしら?」

「ちょっと!忘れたふりしないでください!」

こんな会話をしているうちにヘリに付き、中に入る。

外では輸送船に突入している第三特務戦隊の隊員とそれを指揮するミクロ少佐が見える。

これで今日の仕事は終わった。

そう思うと緊張の糸が切れて意識が遠くなる

その時ヘリの機長がこっちを向いた。

「シャルティア少尉、本部からの通信です」

ヘリの機長がヘッドフォンを渡してくる。

なんか嫌な予感がする。

『はい、こちらシャルティア少尉です』

『はい、はい、は…い。わかり、ました…』

通信が一通り終わりヘッドフォンを機長に返す。

「どうしましたシャルティア?」

涙目になりながらイリーナさんにいう。

「イリーナさん、本部が!本部が戻ってこいって!」

「てことはもしかして、イタリアにもどるの?」

「はいそうです…」

「ということはビールはお預けね。」

「そんなぁ…!」

いつもの日常。

ローマ教皇直属第2戦闘隊「ヴィラ」にとっての日常が始まる。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

ぜひよければ評価の方などをお願いします。

それとまだ休止期間は続きますので...

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