表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

嫁バカ武神と呼ばれた男

作者: 3児のパパ
掲載日:2021/08/18

死ぬまで武術家も嫁には敵わない

ワシは幸せじゃと思う


いや幸せじゃった


こうして布団をひいた畳の上で、子や孫、沢山の弟子達に見守れながら最後の時を迎えれるのだから


こらこら、弟子達よ

そんなゴツい大男達が、皆して涙や鼻水まみれで大声で名前を呼ぶんじゃない、見っともない


息子達よ

いつまでも子供だと思ってたのに、こうして見ると立派に大きくなって‥

それぞれ家族を大切に、道場と皆の者は、お前達に任せたぞい


めんこい孫達

目に入れても痛くないとはこの事かと、お前達を見て本当に思い知ったわい

最近は腰が痛くて、あまり抱っこ出来ずに、すまんかったのー


あぁ、幸せじゃ

本当に幸せな人生じゃった‥


ただ、一つだけ、心残りがあるとするなら‥


人生を捧げた武術を極めたかった



世間では『武神』とまで言われておったワシじゃが、本当の武の神様の爪先が見えてきたのが60代半ばを過ぎ去ってからじゃった


もうその頃には、全盛期からすると身体は衰え、感覚は鈍り、極めるのは絶望的じゃった

それでも贖い続け何とか神様の指先が見えた所で限界じゃった


自分の才能の無さが恨めしい


生来、身体的にに乏しいこの体が恨めしい


人間の寿命の短さが恨めしい


若い奴らが恨めしい



あぁー  このまま死にたくは無いの‥








‥‥‥はっ!いかんいかん


ワシとしたことが、このような女々しい気持ちで、あの世に行ったら、先に旅立った嫁に殴られるわい


あの嫁の事じゃ出会った途端、笑顔で

『死んだぐらいでメソメソ隙を作る貴方が悪い』

とか言って、殴って来る‥

いやいや、そんな甘い嫁じゃ無い、連打からの目潰しフェイントの金的ぐらいはありそうじゃな


死んでもより気を引き締めなくては。

勝って兜の緒を締めよとかなんちゃら、二度も死ぬのは勘弁じゃ


ハハッ

今まで好敵手と戦い死にそうになった事は何度もあるが、本当の死の初体験で弱気になってたようじゃな

居なくても死ぬ時まで、ワシの心を諌めてくれる

あの嫁は、なんて良い女なんじゃ


ワハハ







‥‥まあ‥さてと


心構えも出来た事だし、そろそろ世界一の嫁に会いに行くとしようかのぉ

待っとれ嫁よ。10年以上待たしてしもうたが、今行くからの









布団に横たわる老人は、枯れ枝の様に細く震える手を出し

小指から順に折り曲げてゆく。最後に親指を重ねて全ての指を引き締め拳を作った


それは長年の鍛錬の為、歪に骨は折れ曲がり、ボロボロの古傷だらけで無骨そのもの。しかし死にかけの老人とは思えない力強さと美しさがあった。


そして、稽古の時を思い起こされる、大きく鋭い息吹を鼻から吸い‥‥






故91歳


武神と呼ばれた男は、愛する者達に見送られながら、武に捧げた人生に終わりを告げた













『聖岩流』と言われた古武術


後の先を得意とし、精神性に重きを置きながらも、目潰し金的や刃物、果ては飛び道具を想定した常時戦場の実践的武術であり

さまざまな流派に影響を与えたという


しかし

後の先と捌きの習得の難しさにより、今では継承する者は居ない



伝説では、この武術を修め武神と呼ばれた男が、刃物を持った大男を圧倒し、拳銃の弾丸さえも捌ききったという話があるが、本当の事かどうかは分からない



駄文お読みくださり、ありがとうございました。

処女作、初投稿です。


現実世界に時間があれば、連載しようかと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ