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【序章】ー1ー
季節は冬。
風が冷たく頬を突き刺す。
服をいくら着込んでも、その寒さから逃れることは出来ない。
小学五年生の少年、三日月在真は、ランドセルを背負い自宅への道を歩いていた。
常に下を向いているため表情は分からない。
一緒に帰る友達はいなく、周囲に人の姿はない。
しかし、そんなことはどうでもよかった。
この季節になると思い出す、あの時の記憶。
いくら忘れようと努力しても無駄だった。
―どうして、どうして僕は望んでいなかったのに
―どうして僕の大切なものを神様は奪っていったの?