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贖罪の獣人-怪力自慢が魔術師を目指すそうです-  作者: 金熊
3.光の王女と闇の魔術師
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3-1

襲撃してきた魔獣も去り、ダルムの森に静寂が戻った。


左腕を負傷したダンツはクレアの回復魔術により治療を受けている。


「ごめんなさい、回復魔術は簡単なものしか覚えてなくて時間がかかるんです…。」


「いや、自力ではこの腕は治らないだろうから助かるよ。ありがとう。」


時間はかかってはいるが、次第に左腕の傷跡がふさがってきている。



しかし、魔術というのはなんでもできるんだな。


攻撃だけでなく回復できたり服を取り繕ったりできる。


使いこなすことができれば…だが。


正直なところ、上手くいくイメージが全くわかない。



「俺にも魔術が使える日が来るのだろうか…?全然上手に扱える自信はないんだが…。」


「そうですね…すぐにとはいかないかも知れないですね。さて、腕の治療が終わりましたよ。」


  

ダンツは己の左腕を見る。あんなにエグれていたのに元通りになっている。


やはり魔術というのは素晴らしい。



「さて、ここで1つダンツさんに大事な話をしないといけません。」


そう言うとクレアは近くにあった切り株に腰をかける。


「ダンツさんが魔術を使いこなせないのは訓練していないということもあるんですが、もう一つ大きな問題があると思うんです。」


「大きな問題?」


「それは能力のバランスの問題です。」


能力のバランス…一体どういう意味だろうか。


ダンツには全く理解ができない。



クレアは話を続ける。


「冒険に出る時って基本的にパーティを組むことになるんですが、1番の理由は役割分担をするためなんです。剣士や魔術師などがそうですね。でも、剣術も魔術も極めていればそんな必要ないと思いませんか?」


「それは確かにそうだな。」


「でもそれが無理なんです。何故ならどちらも極める事は出来ないからですね。例えるなら武術が【動】で魔術が【静】のイメージですかね…真逆の能力だからどちらも極めようとすると中途半端になってしまうんですよ。」


その言葉にダンツは俯いた。


自分は言うならば武術に全振りしているに等しい。だとすると、魔術の上達は見込めないのではと…。


それを察したクレアはダンツの肩をポンと叩く。



「でも、私はダンツさんには可能性があると思うんです。」


「可能性…?」


「そう、ダンツさんってそもそも実践経験がないですよね?まぁ私もそうなんですが…。要はまだ伸び代が残っている可能性があるんですよ。」


「伸び代…か。」


「あくまで可能性の話ですけどね。それが違ったとしても他の手を考えています。そのためにはとりあえず近くの村に行きたいんですが…。」


近くの村…ダンツの頭にまず浮かんだのは森を西に抜けたところにあるリアス村だった。


そこは昔1度足を踏み入れた例の村ということもあり、あまり気は進まなかったが他に思い当たる節もなかった。


「それなら1つ知っているぞ。俺が案内する。」


「本当ですか?ありがとうございます!」



2人は一通り荷物を纏めると、西の方角に向かって歩き出した。

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