14-6
「うおおおおおおお!」
先に攻撃を仕掛けたのはダイキ。
【クリムゾンファスト】で加速したダイキは、ロイの右側から回り込み、その左腕に牙を向ける。
しかし、この攻撃は読まれていたようで、その牙が届く前に拳で弾き返された。
「まだまだぁ!」
それに続くはダンツ。
ダイキと時間差で左から回り込み杖を突き出す…が、これも反射的に塞がれた。
その後も立て続けに連撃を加えるが、硬いガードを突破することができない。
しかし、何かがおかしい。
いくら翼をもがれ慣れない地上戦をしているとはいえ、明らかに動きが鈍い気がする。
その時、クレアの【今しか出来ない】という言葉を思い出した。
(もしかして、疲弊してる…のか?)
ロイは、撃ち落とされる前、この闘いに終止符をうつ為にかなりの魔力の量を溜め込んでいた。
その反動が来ているのだろうか。
そう考えると、魔術も温存しているようにも感じる。
2人が舐められているというのもあるだろうが、何にせよこれはチャンスである。
「ダイキ!俺達の魔術で畳み掛けるぞ!」
「オッケー!」
奴が魔術を使えない…いや、使わないのであれば掻き消される心配はない。
間違いない、ここは攻め時だ。
ダンツは、神樹の杖の先に魔力を貯め、それを球状にしロイに向け放った。
ダイキもそれに合わせる形で、火球を飛ばす。
…カッ
その2つの球がロイの手前で重なったその時、それは一瞬で膨張し…大爆発を起こした。
「「デュアル・プロミネンス!!」」
ドゴーーーン!!
爆発により、広場はまるで昼間の様に明るくなった。
しかし、ロイは不意を突かれる形にはなったものの、ダメージとしては不充分のようだ。
ただ、攻勢はまだ終わらない。
「相手の目が慣れる前に追撃するぞ!」
「任せろ、ダンツ!」
2人は呼吸を合わせると、同時に魔術を詠唱し始めた。
すると、2人の足元からそれぞれ赤と緑の光が現れ、それは地面を伝うようにロイの足元へと向かっていく。
そして、2つの光が交わった時、魔術が発動した。
「「ブラスト・ハリケーン!!」」
ブワッ!
足元から炎を纏った竜巻が巻き上がり、その姿を丸ごと飲み込んだ。
爆発の光により視覚を奪っていたこともあり、ロイを閉じ込めることには成功。
しかし、効果が薄いのかロイは力ずくで竜巻から這い出そうとしていた。
「このままじゃダメだ、もっと魔力を送るんだ!」
「任せろ、やってやんぜ!」
ダンツの指示により2人が魔力を強めると、その竜巻は倍以上に大きくなり、再度ロイを包み込んだ。
そして、2人とロイの我慢比べが始まる。
「「うおおおおおお!!!」」
2人は魔力を惜しげもなく注ぎ続ける。
そう、全てはクレアの作戦完遂の為に。
それに対し、ロイは苛立ちを露わにしていた。
「くっ…こんな魔術で私を閉じ込めれると…思っているのか!」
ブワッ!
業を煮やしたロイは、温存していた魔力を解放し、ダンツ達の魔術を弾き飛ばした。
ただ、少し無理をしたのか、疲れが顔に出ている。
それはまさに、千載一遇のチャンスであった。




