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激戦を終えたダンツは、クレアから治癒魔術の施しを受けていた。
「ふぅ、傷がこの程度の深さでよかったですね。」
「そうだな…、まぁこの傷も勝利の一因であるし名誉の負傷ってところだな。」
「でも…もうあんな無茶はしないでくださいね。」
「あ、あぁ…気をつけるよ。」
ダンツは強がろうととしたものの、涙腺の緩くなっているクレアの目を見ていると、申し訳なさが優ってしまい素直に謝るしかなかった。
(前も無茶して泣かれちゃったからな…これからは気をつけよう。)
「オイ…オマエ…俺タチヲ殺サナイノカ…?」
ダンツが治療を受けていると、近くで倒れていたアンガラが話しかけてきた。
どうやらまだ息はあるようだ。
「その様子だともう戦うのは難しいんだろ?それに、お前たち魔族の情報を少しは入手しておきたいからな。」
「ナルホドナ…ククク…」
ダンツの言葉にアンガラは不適な笑みを浮かべる。
「何がおかしいんだ?」
「イヤ、オ前達の実力デ魔王様ヲ倒ソウト考エテイルノガ可笑クテナ。」
「なっ!?」
その煽り言葉に思わずダンツの顔が強張る。
「オ前達ニ忠告シテオイテヤル。俺ノ力ハ魔王様の足元ニモ及バナイ。更ニハ、魔王様ヲ守ル幹部も2人存在シテイル。今ノママデハ…傷一ツツケラレズコロサレル…ダ…ロウ…。」
「おい!幹部がなんだって!?」
ダンツの問いかけに、アンガラの言葉は返ってこない。
どうやら既に息絶えているようだ。
「おい、アイツの言ってることが正しいなら、この先もっとヤバい戦いが待ってるかもしれねぇな…。」
「ああ、このままではまずいのかもしれないな。」
ダイキも死に際の言葉を耳にしていたようで、珍しく少し弱気になっていた。
それはもちろんダンツも同じ気持ちだった。
今のままでは勝つどころか傷一つ付けられないとなると、更なるパワーアップが必要である。
しかし、そんなにのんびりとレベルアップしている時間はない。
城にはクレアの父…王様が捕えられているのだから。
ダンツが1人悩んでいると、誰かが肩をポンと叩いた。
振り返るとそこにはクレアの姿があった。
「大丈夫ですよ、父はとても心が強い方ですから。それより、急ぎすぎて魔王討伐を失敗する方が問題です。」
「クレア…。」
彼女は強いな…いや、強くなったな。
出会ったばかりの頃の彼女からは見違えて見える。
彼女が1番辛いはずなのに…、やるべき事を真っ直ぐと見据えている。
それならやるべきことは一つだ。
「わかった、では【出来るだけ早く、確実に魔王を倒す】というプランでいこう。」
「ふふ、ちょっと矛盾してますがいい方針ですね、賛成です。」
「俺も!俺もそれに賛成だぞ!」
敵は強いが決して勝てないわけではない、この3人ならきっと行ける。
3人は拳を合わせ、決意を新たにするのだった。




