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その瞬間、周囲に突然突風が吹きつけた。木々も激しく横に揺さぶられている。
クレアも例外ではなくバランスを崩し、転倒しそうになった。
突風は一瞬で止み、クレアは再び空を見上げる。
その目には信じられない光景が映っっていた。
「これは…一体何が起こったの?」
一面に覆われていた雲は円状に穴が空き、そこから太陽が顔を覗かせていた。
彼がしたことは空に向けて指を弾いただけ。
そこに開いた大穴。
クレアは理解が追いついていないようだった。
「俺は特別なことはしてないよ、空に向かって指を弾いただけ。魔術とかそういう類でもない。純粋にパワーがありすぎるために起きる衝撃波だ。まともに戦えば仲間を巻き込んでしまう…だから一緒には行けないんだ。」
ダンツは桁外れの怪力の持ち主だったが、有り余る力のせいで制御ができない。
日常生活でも一歩間違えれば破壊しかねないのに、どう力になれというのか。
彼女もこの現実を見て諦めたに違いない。
そう考えていたのだが、彼女は予想とは違った反応を見せた。
クレアはダンツの手を握り、顔を上げる。
「驚きはしましたが、私はこの力が無意味だとは思いません。それに、あなたが心優しい方だということがとても良く分かりました。この力を踏まえた上でお願いします。一緒に旅に出てくれませんか?」
ダンツはその真剣な眼差しのせいか、その偽りない言葉のせいか、手を握られたことによるものかは不明だが、胸の鼓動が速くなっていることを感じた。
彼女と一緒ならもしかすると…だけど…。
ダンツの心は右へ左へと揺れ動くのだった。




