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おそらく必要なのは攻撃魔術ではなく補助魔術。
ただ、光属性は味方に対して防御力上昇などのバフを付与するものがほとんどでこの状況を切り開くには心許ない。
いま欲しいのは相手に妨害、もしくはデバフを付与する魔術。
その時、クレアの頭に1つの考えが浮かんだ。
しかし、なかなかその答えに辿りつけない。
いや、「辿りつきたくない」が正確かもしれない。
「そろそろ気づきましたか?ここで必要なのは闇属性の魔術なのです。」
「わっ!…なんだ、レイさんでしたか。」
ふと気づくとクレアの真後ろにはレイが立っており、真っ直ぐこちらをみつめていた。
しかし、改めて考えるとレイには不思議な部分が多い。
見知らぬ旅人を突然助け、黒龍となり空を飛び、クレアの属性を完全に把握している。
そんな偶然が起こり得るのだろうか。
…いや、今はそんな事を言っている暇はない。
クレアが有効打を与えられないせいで戦闘がダイキ任せになっている。
そのダイキも、そう長くは持ちそうにない。
「レイさん、私は闇魔術はほとんど分からないんです…。この場面に有効な魔術はありますか?」
「もちろんありますよ、あの巨人相手にはぴったりの魔術が…。」
そういうと、レイは巨人を見つめニコリと笑った。
「待ってました」といわんばかりの顔である。
「巨人は体重が重いので、足元を不安定にさせる魔術が有効です。ちょっと私の技の出し方を真似してもらっていいですか?これを使えば足元に闇の沼を作り出すことができます。」
「は、はい。わかりました。」
クレアはレイの手元を見つめる。
魔術を使う場合、手元で魔法の陣を描き、そこから魔術が飛び出す仕組みなのだが、闇魔術はなんというか独特な手の動きをしている。
例えるなら蛇のような…。
ただ、その動きはそこまで難しいものではなく、クレアにも再現可能なものであった。
「さて、陣はこんな感じです。再現できそうですか?」
「はい、大丈夫そうです。」
そういうと、クレアは巨人に向かい手をかざした。
そして、レイの先ほどの動きに習い手を動かす。
すると、クレアの手元に黒い魔法陣が浮かび始めた。
その漆黒の魔法陣は禍々しさがあり、使っている本人ですら恐怖を感じる。
本当に使っても大丈夫なのだろうか?という気持ちも少しあったが、もう後戻りはできない。
「お願い…成功して…!!」
クレアは強い願いを込め、魔術を解き放つのだった。




