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贖罪の獣人-怪力自慢が魔術師を目指すそうです-  作者: 金熊
3.光の王女と闇の魔術師
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3-2

その道中、ダンツは近づいてきた小鳥や動物になにやら話しかけている。


どうやら何か指示を出しているようだ。



「あの、一体なにをしているんですか?」


「この森の中の動物達はみんな仲間なんだ。だから、怪しい気配を感じたら伝えるようにお願いした。これで少しは安心して進めるだろう。」


「なるほど、それは頼もしいですね。」



動物達の監視のおかげもあってか、クレアは少し緊張が和らいだように見える。



「そういえば、魔術は【静】の力って話だったよな?それってどんなイメージなんだ?」


ダンツの質問に、クレアは口元に指を当てて少し考える。


「そうですね…。色々な方法があるんですが、ダンツさんの場合はこの森の自然をイメージするといいかもしれないですね。」


「なるほど…今度からちょっとイメージしてみるか。」


「そんなに焦る事はないですから、少しずつ成長していきましょう。」


「おう!」


少しずつでもいいから、クレアの力になれるように頑張ろう。


ダンツはそう誓うのだった。






2人が歩き始めて1時間ほど経った頃だろうか。


東の方角で、突然鳥達が空へと飛び立ち一目散に逃げていった。


鳥達は危険を感知するのがとても早い。


ダンツは脅威が近くまで迫っていることをすぐに察した。



「クレア、敵が近づいてきているようだ。少し開けたところに移動しよう。」


「わ、わかりました。」



2人は少し西に進んだところにある丘へと移動した。


ここなら木々もなく身動きが取りやすい。


相手の狙いがクレアだと分かっているので、彼女は近くにある木の裏へと隠れさせた。





それから1分も経たない内に、丘の上に何者かが降り立った。


ボロ雑巾のようなローブで顔は隠れてはいるが、その異様な見た目はこの世の者ではないと感じられる。


何より身体を纏っている禍々しいオーラを見れば、魔族である事は一目瞭然だった。



しかし、何かがおかしい。


身体はそこにあるはずなのに存在感がまるで感じられない。


よくよく見ると、身体が少し透けているような風にも見える。

 


敵はダンツには目もくれず辺りを見渡すと、突然生い茂った木々に向かって黒い槍…否、槍とも取れる一線の魔術を放った。


その魔術は、奇しくもクレアが隠れている1本の木へと向かっていた。


「しまった!!」


ダンツは慌ててクレアが隠れている木の前に立ち塞がり、その一撃を両腕で受けた。


槍という表現は正しく、1点に集中した攻撃は相当の威力だった。


攻撃を受けた両腕が痺れる。



「だ、大丈夫ですか!?」


「大丈夫だ!全然問題ない!」



クレアを心配させまいと気丈に振る舞っては見せたが、そう何度も受けられるような攻撃ではないことは明らかだった。


しかも、相手はクレアの位置がある程度把握できるとなると、あまり時間もかけていられない。


こちらからも仕掛けなければ…。

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