目を覚ませば
第二話の投稿。以外に閲覧者が多くてビックリしました。不定期ですが更新していきたいと思いますノノ
「おい、おきねぇかおい!」
誰かが俺の身体を揺らしている。耳元で大声を出されているせいかその声は酷く頭に響くのだった。
「死んじまってるのかぁ」
声の主の手がとても熱く感じる。ゆさゆさと俺を揺さぶる手を掴んだ。
「生きてるから揺らすのはやめてくれ、気持ち悪くて吐きそうだ」
昨晩飲みすぎたせいで二日酔いになってるのか酷く頭が重い。道路で寝てしまっていたのか身体に感じる感触も硬く、節々も痛む。
目を開ければ雲ひとつない空が広がっている。こんな天気の良い朝は久しぶりな気がした。
「お、起きたかぁ。こんな所で寝てたら馬車に轢かれちまうど」
馬車って何だよ。そんなもの見たこともないと思いながら声の方に目を向けると緑色の顔がこっちを向いている。
「うわぁああ!」
彫りの深いその顔はそんじょそこいらのヤクザ顔負けの迫力を醸し出している。そして何よりその異質な肌の色に驚いて思わず声をあげてしまった。
「お前さん人の顔見て驚くなんて酷くないかぁ」
ムっとした表情を見せてくれるが恐怖しか感じない。痛む身体を無理矢理起こし回りを見渡す。
「どこだここは?」
ぐるりと回りを見渡してみるが、まるで見たことのない場所であった。綺麗に舗装された石畳の広場のようだ。すぐ隣には木の小屋のようなものが建っている。その近くには映画でしか見たことのないような二頭立ての馬車があった。少し遠くには石材で出来たような建物も見える。俺が唖然としていると後ろから肩を叩かれた。
「おい!せっかく起こしてやったのに無視するかぁ」
後ろに振り返ると緑色の巨人がいた。俺も身長は180cm程あるがそんな俺よりも頭3つ分以上のでかさだ。何よりその身体はとても分厚く筋肉がこれでもかというほど詰まっているのが一目で分かる。
「すいません。起こして頂いて有難うございます」
これ以上不機嫌にさせてはならないと思いとっさに謝り頭をさげる。
「おうおう良いってことだぁ!ここは馬車の停留所だから危ないから寝るところじゃないぞぁ」
ニカっと笑顔を見せてくれる緑色の巨人は思ったより良い人のようだ。日本語が通じるのに疑問を感じるがとりあえず現状を把握したい。
「俺は遠月壱といいます。ここがどこか教えて貰っても良いですか?」
彼は少し困ったような顔をしている。
「トォーツ・キーチ?俺は冒険者のグレンだぁ!どこってここは北区の馬車の停留所だぁ。酒の飲みすぎで忘れちまっただか?」
「キーチじゃなくてイチです!そうじゃなくてここの地名を教えて欲しいんです!」
「そんなの聖王国アドルフの都オーランドじゃねぇかぁ!」
俺は全く知らない国の名前に愕然とした。ここは間違いなく日本では無い。それどころか地球では無いとも。なぜなら隣に止まっていた馬車から出てきた人?は山羊の様な頭をしていたり蜥蜴の様な身体をしていたからだ。コスプレでは出せない圧倒的本物の気配がそう確信させたのだった。
「俺どうしたら良いんだよ」
この先どうしていけばいいのか全く分からない。不安で胸が押し潰されそうだった。
最近読みたい小説がなくなってきてしまったので稚拙ながら筆をとってみることにしました。読む側から書く側になるのも新鮮で良いですね!