この世の終わりとナギサ③
カラスの鳴き声が遠くから聞こえた。
薄暗い廊下に響く教員と生徒たちの声。
ナギサを探すのはいいけど一体どこにいったんだろ?
「ナギサー?どこいったの?」
他の人から見ればただの変人だがこうするしか見つける方法はないだろうな。
隣のクラスのニシムラカップルめ。
授業中もああやってイチャラブしてんのか。羨ましい限りだぜ。
ジャーーーーーー。
ん?今女子トイレから水を流す音が聞こえたような。
「ナギサー?どこにいるの?」
だが返事はない。もしかしたら赤の他人だったりして。いやめっちゃハズイ。
でもここにいなかったらホントどこに行ったんだよ。こんなに探していないんだったらもはや怖いんですけど。あの噂が本当だっていう可能性もあるな。
しかたがない。一回クラスに戻って女子でも連れてこよう。
事情をクラスに帰って説明してナカヤマさんを連れて女子トイレへ向かった。
「じゃあとりあえず見てみるね」
「うん。頼んだよ。」
ナカヤマさんがトイレに入ってから数秒間ボーっと突っ立ってた。次の授業何だっけ?そんなことを少しばかり脳裏に浮かべながら。
「キャー!!!!!!!」
ジャーーーー
「おい!大丈夫か!」
ナカヤマさんの悲鳴を聞いてから己のプライドを捨てて女子トイレへ駆け込んだ。
先ほどナカヤマさんが身に着けていたヘアピンが落ちている。
だが、ナカヤマさんの姿が見えない。俺は今まで味わったことのない恐怖に襲われた。
声が全くでない今のこの状況。どうすればいいのか。
足を震わせながら恐る恐る洋式便器の中を覗き込んだ。
ジャーーーーー
水が流れた音と同時に視界が七色に包まれた。
あまりの光量に思わず目を瞑ってしまった。数秒が過ぎたとき、ふと目をあけた。
するとそこにはナギサが立っていた。