表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Select Journeys  作者: 杉山 ゆー
1/8

いつもの帰路

 結局は「最悪だった」としか言いようがないだろう。


 全ての国が死んだと思えば、全ての生きるものが死に、挙句の果てに空間すら残らなくなったのだから。

 あの可愛い女の子だって、八百屋の兄ちゃんだってきっと存在すら消えてるんだもんなー。努力して嫌になってまで手に入れたものをあんな一瞬で亡くすことになるなんて思ってもみなくて。でももう旅路を選ぶことすらできなくなっちゃって。


 5つの国が遥か昔1つの国だった時。神は国の民に「妬み」という情を与えた。全てが公平にバランスよく保たれていたのにたったそれだけの情ですべてが壊れてしまった。国の老いた民、生まれてきたばかりの民でもその情を忘れても手に入れてすらいなくても、その常識が変えられてしまったのではもうどうしようもなかった。


 光、炎、水、闇、木の5つの人間ではない別の生き物がこの妬みで溢れた世界を正した。


 生きる意味、道先をすべてにおいて結果をしっている光。いらないもの、憎たらしいものを消す炎。小汚い人間の感情を正す水。相手を邪悪な感情で狂わせ、襲う闇。そして滅びた生き物_木。


 それぞれの国、即ち生き物にそれぞれ正しい人材を送った。その結果、戦乱は世界や国々からは消え去り妬みの情などは人間は再び忘れ、手に入れてすらもいなくなった。


☆☆☆☆


 「あーあ。また今日もしくじったぜ。」


 そうだよまた今日も女子更衣室覗き見したのチクられたよ。なんだよちくしょう。


 「レイタまたやったわけ~?あきれたー。」


 俺のことを誰が嘲っているかと思えば、いつもの通り幼馴染のナギサだった。

俺の事なんでも知ってるからって人のパーソナルスペースにぐいぐい入ってくるし、嘘が見抜けないとわかってて、財布ないフリして人の金でラーメン食いやがるし。

 取柄はただスタイルがいいだけだろこの野郎。


 「あーまたあたしの事でなんかグチグチ心の中で言ってるでしょー。気味悪い。」

 やめろ!その気持ち悪い笑顔!!


 「今日の事レイタのパパママにチクられて欲しくなかったらアイス奢りなさい!」

 うわー。出ましたナギサのクソみてえなところ。

 でもまぁ、()()()()を思い返すと今回の件とは関係なく、恩を返したいなんて思っちゃうんだよな。


 夏のモクモクせまる入道雲を見上げながら、いつも通りの帰路を歩いていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ