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脳~ブレイン~  作者: 示豆 麤麤 ぺけペケ
13/14

脳~ブレイン~ 十三話 【能力名】


せめて今、右腕があれば_____






おかしな感覚だった。  断続的に骨が折れるような音がしたが、身体に不調はない。

むしろ傷が高速で癒えるような感覚でもあった


そして、何よりも。右腕に空気を感じた。


「っ__ああああああ!!」

突如として戻った感覚に身を任せ、ひたすらにそれを振った。



「っ!?」

顔がなくとも驚いていることは分かった。だがそんな視覚的な情報は瞬時として消えた。

俺が放った一撃が、彼の体を吹き飛ばしたからだ。



した斜めに放たれた一撃は重く、ロードルが地面に打ち付けられた衝撃は勢いがあまり二段、三段と瓦礫を作りながら地面を転げまわっていった。


「腕が、再生された...?」

ニーナは一部始終を見ていたものとして、突如として生えた右腕に驚きが隠せていない様子だった。


「っと、」

血鴉は本体のダメージで崩れ、巨人も溶けるようにその形を維持しなくなった。

束縛から解放された俺は比較的瓦礫の少ない場所に着地した。




「......」

静かにロードルのほうを睨んだ。


「____...」

瓦礫に横たわるロードルはまだ生きている。

だが能力を使うほどの体力は残っていないだろう。

俺は黙ってロードルに近づく。



「......いや、予想はしていたが  ここまでとはな」

ボロボロの体から弱り切った、かすれた声でそう聞こえた。


「一つ、いいか」

戦い始めてからずっと抱いていた疑問を問う。


「なぜ俺を狙った。」


「......」

何も言わなかった。 いや、聞こえているのかすら怪しいが

俺はそのまま続ける。


「『みつけた』、とつぶやいて以降。お前は俺しか攻撃しなかった。ただの襲撃のつもりなら俺よりもはるかに強いニーナのほうを先に倒すほうが賢明だ。

 俺でもわかることを 襲撃を仕掛ける相手が考えないわけがない。

 俺だけを狙うのなら何か理由があるはずだ」



「......」

駄目か、 そう思った矢先、


「そうか」


ロードルの口が開いた。いや、正確には口はないため俺に声を発してきた。

のほうが正しいかもしれない。



「君はまだ、自分の能力に気づいていないのだな」


意味が分からなかった。


「どういうことだ?」

そのまま相手にまた問いをかける

「能力が目当てなら俺よりもいい能力だってあったはずだ。

 俺の能力はただの肉体強化でしかない。さっきのミーティングで表せば”レベル1”だ。」


そんな俺に、追われるほどの理由はない。

そう続けようとしたが 相手の様子が気になった。

弱ってはいるが体が無造作に揺れている。 笑っているのか?


「ククク...ハハハ、レベル1? どういうことと問いたいのはこちらのほうだな。

 君はこんなところで使われるべき存在じゃないんだ。

 君が言うレベルで表すとしたら、君はレベル∞《ムゲン》。可能性の塊のような能力者だよ。」


返答により余計にわからなくなった。

俺がレベル∞《ムゲン》?  戦闘経験もさほどない。ただの社畜だった俺が?

ますます意味が分からない。


その時、ロードルの体が痙攣し始めた。


「っと...そろそろ身体が限界のようだ。すぐに処置すれば問題はない。 頭は返しておくよ。」


「っ!」

首から上がなかったロードルの頭が首の先から徐々に再生する。


「それから最後に、君に伝言だ。」


「っ__まて!まだ気になることがたくさん」

言葉を遮るように彼は言った。



「君の能力名は無限...「無限(インフィニット)」だ」

それだけ告げると、徐々に再構築されていたロードルの頭が完全に戻った。

おそらく先の相手とは連絡は途切れただろう。


ロードルには悪いが、今彼の生還はあまり気にしていなかった。

俺は再生された右腕を見つめる。



「無限...無限(インフィニット)...___」



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