脳~ブレイン~十話 【消し飛んだ頭】
投稿遅れました、すいません。
我々人間は、それぞれ優秀な脳を持っている。
だが、残念なことに我々は普段その10%しか活用していない。
ならもしそれを、100%まで活用。つまり覚醒させれば...
人知を超える力が手に入る。
「その結果できたのが特殊能力=脳を持つ君たちだ。」
アナウンスの男、基マスクの男が言った。
「さて、ここまでで質問はあるかい?」
『...』
誰も声を出さなかった。
いや、俺だって質問はある。有り余るほどある。
だからこそ質問が多すぎてどれから先に問うていいのかわからないのだ。
「えっと...」
俺は一度うつむいて考えた後、顔を上げた。
そこにはマスクの男の首から上がないものが見えた。
『!!』
覆面男の秘書とある一人を除いてその場の全員が目を見開いた。
机に脚を置いたそのある一人が話し出す。
「質問の前に、まずは本体が出なさいよ」
口を開いたのは鞭なんかを持たせたら絶対にあうだろう調教者の貫禄を持つ女性だった。
白い肌に包容力のある胸囲を持つかなり長身の美女。
このような場面でなければ見とれてしまうだろう。
だがその要旨よりも気になる言動を彼女は発した。
「本体?」
確かに不自然だ。
何かしらの能力を使ったであろうその水平的な首の切り口からは一滴も血が出ていなかったのだ。
「いやぁ、よくわかったじゃないか」
首から上を亡くしたそれが声を出しながら火にあぶられた蝋のように崩れ始める。
崩れたそれは徐々に床に吸い込まれ、水平なただの床へと変わった。
(コンクリート...擬態か)
子供が見たら大泣きするであろうその溶解が終わると
その中心から人型が上がってきた。
外見は先ほどと何ら変わらない。強いて言えばマスクについた筒のラインが縦に加え横にもひかれたところだろうか。
「さて、質問はあるかい?」
マスクの男は平然と話をつづけた。
Q 能力の詳しい情報は?
「脳は覚醒する度合いが高ければ影響する力も大きくなる。
20%の覚醒を【レベル1】として、10%ずつでレベルが上がると
表にまとめてこのようになっている」
レベル1(20%覚醒)=身体能力の飛躍的な向上、
レベル2(30%覚醒)=身体機能の突発的進化
レベル3(40%覚醒)=自己物質の物理、または性質変化
レベル4(50%覚醒)=物理法則の改変、他物質への影響
※レベル1(脳稼働率10%)は通常
「レベル5以降は人間の脳では処理しきれず、脳が爆散して死に至るか。
理性だけが無くなり死ぬまで暴れ狂うかだ」
おえ
「うっ...」
隣にいたロードルも気分が悪くなる。
いや、身のこなしから死線をたびたび超えてきたと思われるし、
生々しい想像ができるのだろうか。
「また制御できたとしてもレベル3以上の脳の稼働率は負担が大きい。
あまり長い間能力を使うと過度な頭痛や吐き気を催すだろう」
(そうか、だからあの時ロードルの様子がおかしかったのか。)
戦いの中できた、俺の中での疑問が一つ消え、次の質問が行われた。
Q お前は何者だ?
「私たちは脳について調べている。
それだけだ。」
いくら問いただしても、「呼び名が欲しいなら、ドクターと呼んでくれ」
としか言わなかった。それからは平然と「ほかに質問は?」というだけだった。
Q これだけの能力者を集めて何をする気だ?
「いい質問だ、君たちには。」
ドガァアァア”!!!
ドクターが最後の一単語を言う前に、建物が壊れる音がした。
砕けた瓦礫から飛び出してきたのは人間とは思えない躯体の巨人。
主に膝や肘などの関節部分に岩のような結石を持つ巨人だった。
そして次の瞬間。
「戦いに勝ってもらう。」
「なっ!!」
ロードルの頭が消し飛んだ。