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『こんにちわ!毎年、この慰霊祭を主催している会の代表、舞花高校2年の伊崎 千夏です。』
伊崎さん、以下7名の高校生は地元の高校に散り散りになってしまった旧6年3組の各高校の代表者だと言う。
私たちは渚海のことを守れませんでした。
だから、渚海の葬式の日に彼女のような死に方をする生徒がいなくなるように各高校の代表を決めて、困ったことを相談できる、居心地いい場所を率先して作ってきました。
私たちは来年の慰霊祭まで参加しようと約束しています。
それは、渚海が私たちが渚海の慰霊祭のために地元に残ることを望んでいないと思うから。
『毎年、渚海の生きられなかった分まで幸せに生きるって誓っているんです。』
それに、今年はタイムカプセルを掘ろうって決めてるんです。
みんなで、もちろん渚海の分もあります。
もしかしたら、こうなることがわかってて死の直前に『タイムカプセルの手紙を6歳になったユータ君に渡してほしい』と言っていたのかも。
『ユータ君?』
渚海の弟です。
渚海があんなことになったとき、まだ赤ん坊で、渚海のことを覚えてはいないでしょう。
でも、渡してほしいと頼まれたからには渡しますよ。
ユータ君には地元に残る子達が入学式の日に会おうって決めてるんです。
『生きたくても生きられない人もいる。
命を粗末に扱うクラスメイトの声にいつも怒ってた。』
こうなることがわかっていたから言った言葉なのかなぁ?
彼女はとても、私たちが敵わないぐらいに大人びてた。
口癖も11の子供が言うには大人すぎる。
渚海は何か私たちに隠していたのではないでしょうか?
『渚海さんの死因について、直接的なことを知りたいって言えば、手伝ってもらえるかな?』
着任した日に知ったこと、お寺に無縁仏として奉られている彼女のことを伝えた。
みんな、涙ぐんで渚海を引き取ってくれる親族を探すことと、渚海の直接的な死因を調べることを約束してくれた。
こうして、5年前の小学生不審死を調べることとなった。
『おばあちゃん、先生がね、生前のあたしの死因を調べてくれることになったよ!』
これでユータを助けられる。
ユータにはあたしの分まで生きてもらいたいの。
元気に言う彼女に、どうしてもこの時代の人間までこんなに無惨な死にかたをさせるのだろうか。
まだ、生きられる命なのに。
早く彼女の死因が特定されることを祈る。
彼女は死んでいい人間じゃなかった――――。




