箱入り娘
サクラ達は夕食を注文し、食事をしながらミーティングをしていた。
聞くところによるとケンは冒険者ギルドで寝泊まりをしていてミッションがいつあっても出発できるようにしているらしい。
いつでも出発できるガーディアンを二人獲得したサクラはもう一人のガーディアンについてレンとケンに相談した。
サクラ:「最後のガーディアンだけど魔法使いがいいよね?」
レン:「パーティーのバランス考えるとそうだな・・・サクラは白魔法使えるんだろ?」
ケン;「ほぉ~サクラちゃん僧侶なのね。どうりで癒されるわ~」
またデレデレしているケンを無視するようにサクラとレンは話を続ける。
サクラ:「一応回復魔法と解毒魔法は使えるわ。でも蘇生とかウルトラ難易度の魔法はまだムリ。」
レン:「まあ腕輪があれば俺達は不死身だし傷の治療と解毒、解呪とかできるなら問題ないさ。」
ケン:「俺のハートも癒してほしい♡」
サクラ:「それに戦闘中に魔法を唱えられるほどのレベルじゃないわ。やっぱり魔法のスペシャリストがほしいわね。」
レン:「白魔法も黒魔法もできる奴か?」
サクラ;「そそ。両方戦闘中にできる人ね。」
ケン:「サクラちゃんの好みが知りたいな~」
レン:「賢者クラスね・・・俺の同期の奴にはいないな・・・」
サクラ:「何よ!頼りないわね!」
レン;「うるせぇよ!賢者クラスなんてレアなんだよ!」
ケン:「俺の師匠の同期に賢者クラスいるぜ。」
その言葉を聞いてサクラとレンは同時にケンを見た。
サクラ:「ホント?」
レン:「マジか!」
ケン:「ただあの人は高いよ~」
サクラ:「一応交渉してみるわ。連絡とれる?」
ケン:「ちょっと待っててよ。ミッピーに聞いてくるよ。」
そう言うとケンは立ち上がりフラフラと受付に向かった。
ケンが受付に行っている間にサクラとレンは食事をすませる。
しばらくするとケンが戻って来た。
レン:「どうだった?」
ケン:「OKだ。今ギャザタウンの別荘にいるらしいからそこに直接行けってさ。」
サクラ:「わかったわ。じゃあ会計すませてくる。」
サクラは布袋を持ってレジに行くと会計をした。
会計は金貨一枚で十分足りた。
おつりに九万五千円程を紙幣でもらったがいれる財布がなかった。
サクラ:「この紙幣袋に入りきらない。レン、財布ある?私持ってないの。」
レン:「マジかよ・・・まさか宿代とかも金貨で払うつもりか?」
サクラ:「え?金貨だけじゃ足りないの?」
レン:「逆だよ逆!金貨で払ったら札束が何枚も貯まるぞ!」
サクラ:「そっか・・・じゃあどうしよう?」
レンはハーとため息をついて目を覆う。
レン:「いいよ。このお釣りは俺の財布に入れて今後の支払いとかはこっちから出す。金貨は賢者様用に持っとけ。」
ケン:「おーサクラちゃんお金持ちやね~」
サクラ:「ゴメンお金って使った事ないのよね。」
サクラはこれまで村の外に出る事がなかったので経済観念が全くなかった。
村の中では自給自足の生活がほとんどなので物々交換が主な取引となっていた事も影響していた。
教会での修行生活のせいで箱入り娘と化してしまうのも無理はなかった。
レン:「いいか?お金っていうのはだな・・・」
サクラ:「じゃあ行こうか!ケン案内して!」
ケン:「オウ!ついといでこっちだ!」
サクラは説教をはじめようとしたレンをスルーしてケンと共にギルドから出ていく。
レンは怒りの表情を浮かべてその後を追っていった。
そしてバーにはそんな三人の様子を見ていた男がいた。
バルカン:「金貨か・・・女の子から盗るのは忍びないが・・・」
そしてバルカンもサクラ達の後を追ってギルドを出て行った。