レン
サクラは旅支度を終えると教会を出てレンの家に向かった。
レンはサクラの幼馴染で兄妹のようにして育った。
レンは16歳の時に剣士となり今やボディーガードやモンスター討伐の依頼で生計をたてている。
今レンは長期休暇中で村に帰省していた。
サクラはレンの家の前に来ると扉をノックして大声で叫んだ。
サクラ:「レン!起きて!朝よ!」
ドンドンと何度もドアを叩きレンを呼ぶサクラ。
家の中からレンが呻きながら出てきた。
レン:「うるせぇぞ!サクラ!」
レンは今にも噛みつきそうな顔でサクラを睨みつける。
サクラはそんな事はおかまいなしにレンに腕輪を放り投げる。
サクラ:「ミッションよ。それをつけて私の旅に付き合ってよ。」
レン:「お前な~俺今休暇中だぞ!正気か?」
サクラ:「私『レクイエム』を歌うの。」
『レクイエム』と聞いてレンは真顔になった。
村の者なら『レクイエム』を歌うという事が何を意味しているか皆知っている。
レンは渡された腕輪を見つめて力強く握りしめる。
レン:「なんでお前なんだよ!何で・・・」
レンの手が腕輪の装飾物で傷つき血が流れる。
サクラはレンの手を取り回復魔法を唱える。
サクラの両手が光を帯びレンの手を包むとレンの傷がみるみると治っていく。
サクラは腕輪の血を拭い再びレンに差し出した。
サクラ:「お願い。力を貸して。レンだけが頼りなの。」
サクラは真剣な眼差しでレンをじっと見つめる。
サクラの意志の固さを感じレンはあきらめた。
腕輪を受け取ると左の腕に装着する。
腕輪が光輝きレンの腕にぴったりと吸い付いた。
レン:「これで一蓮托生か・・・」
サクラ:「ありがとう・・・準備はどのくらいかかる?」
レン:「一時間くれ。お茶をだすからあがって待っててくれ。」
そう言うとレンはサクラを家に入れるとお茶を出し、旅支度をはじめた。