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8話 シャル・ヴイ

 勢いでひっくり返ってしまった。


「ちょ! イオリってば!」


 心配してくれていたらしい。


「どうだった?」

「炎症起こしてるみたい」


 私の手を見つめる、とりあえず重たいからどいてほしい。


「ちょっとイオリ」


 気づいたイオリが立ち上がり、私の手を引っ張ってくれた。


「ありがと!」

「炎症って、やっぱりあの威力凄かったもんねー、身体が威力に負けちゃったのかな?」


 それよりも授業に入っているはずのイオリがなぜここにいるのかが気になった。


「イオリどうしてここにいるの?」


 イオリは首を傾げ、当たり前に言う。


「授業終わったからだよ! チャイム気づかなかった?」


 ここではチャイムがなっていない、おそらく鳴らないように設定されているのだ。


「鳴ってなかったから、イオリが入ってきた時、授業抜け出したのかと」


 私の肩を叩く。


「もお、私がそんなことするわけないでしょ!」


 チャイムが鳴ってから数分が立っている、二限がそろそろ始まる。


「二限目始まるね! 教室戻らなきゃ!」

「だね!」


 処置室を後にして、教室に戻る。


---


「お前のクラスが楽しみだな」


 お茶を飲んで落ち着きながら話す。


「そんなことない、落ちこぼれは落ちこぼれのままだ」


 何か知ってるかのような口ぶりに私は気になった。


「どうしてだ?」


 目を向けるとあからさまに避けて来る。


「いや、別にだな」


 私はウィリデとは同級生だ、おそらく一番の親友だ、付き合いが長いから、嘘をついたりするとすぐにわかる、逆に私が嘘をついてもバレる。


「ウィリデ」


 貫けないと思ったのか、あった事を話し出す。


「授業中に一階でお前のクラスの生徒が何かを探して歩いていたんだ」


 やっぱりと言わんばかりにため息をついた。


「それで、何を話した?」

「そんな大した話じゃない、処置室に連れていったのと、お前の話をだな」


 机を両手で叩く、ウィリデはとても驚いた様子だった。


「もしかして、あの話ししてないだろうな!」


 目を見るとわかる、半分話している。


「話してるな、あのことについては話してないだろうな?」


 もう一度目を見る、その目には嘘はなかった。

 一度ため息をつき、お茶を飲む。


「そう怒るな、あの話はしてないんだから、それとだな」


 何か気になることがあったのか、真剣に話を始める。


「あの子名前は?」

「シャル・ヴイ、お前にもわかるのか」


 目をいっぱいに開き少し声のボリュームが上がる。


「当たり前だ! それともう一人」


 心当たりあるのは一人しかいない。


「ランス・イオリ」


 少し黙り込んだ。


「それがどうした?」


 少し言いにくそうに声を絞り出した。


「シャル・ヴイのことなんだが、気をつけた方がいいぞ」


 今までにないくらい真剣な眼差しを向けて話す。


「ああ、わかってる、ランス・イオリも十分目をつけている」


 それがわかったら再び落ち着き、新しいお茶を入れに行く。


「ならいい、話を変えよう、今回結構見込みあるんじゃないか?」


 確かに今までの学年を見る限りではまだ優秀だ、だが無理に決まってる。

 私は鼻で笑い、二限目の準備をして、教室へ向かう。


「あいつらしくねえな」


---


 教室に入ると、クラスメイトが近づいてきた。


「ねえねえ、あなたの名前は?」

「すげえな、あの威力」

「Cじゃないだろ!」


(まただ、どうしよ、一応名前だけでも名乗ろう)


「あの威力はたまたまだよ、名前はシャル・ヴイ、気安くヴイって呼んでね」


 集団の中をかき分けて、最初に座っていた席に座る。

 座った直後にウルク先生が教室に入ってきた、集まってる集団もそれぞれ席に座る。


 私は処置室の教師から渡すよう言われた紙を渡しに行く。


「先生ありがとうございます」


 紙を渡し素早く席に座るとイオリが何をいったか聞いてくる。


「なんていったの?」

「紙です、って言ったんだよ!」

「嘘っぽいよ!」


 チャイムが鳴り、授業が始まる。


---


「ぐわー私ダメだ!」


 二限目は「(オール)」についての授業だった。

 たしかに授業内容はとっても難しかった、イオリは居眠りしていたせいで、先生から何度も当てられ、正解すればいいが、全て外したせいで、周りから笑われた。


「何度も起こしたのに」


 なんども肩を叩いたり机を揺らしたりして起こした、だが起きなかった。


「えーほんと?」


 何度も首を縦に降る。


「そっかー、次からは気をつけないとね」


 今日は二限で授業が終わるのでホームルームが始まる。


「明日、本格練習するから、汚れてもいい服持ってくるように、以上解散」


 それぞれ教室を後にする、私も準備できたがイオリが準備できるのを待っていると、教卓の方から先生に手招きされ、イオリに外に待つように言う。


「まってて!」


 教卓の前に着くと先生が席に座り話を始めた。


「手の調子はどうだ?」


 私は驚いた、なぜならウルク先生が心配するなんて思わなかったから。


「おかげさまで、大丈夫ですよ! これも先生のおかげですね」


 何をしたかったのかわからないが席を立ち上がった。


「それだけですか?」

「ああ、」


 会話はすぐに終わり先生が教室を出ると、イオリが教室に入ってきた。


「ヴイちゃん何話してたの?」


 下手なウインクに人差し指を口に当て答えた。


「秘密だよ、とりあえず帰ろうか!」


---


(私はどうするべきなのか、よく考えないとな)


 自分の教室に入るとウィリデがいた、少し焦っている様子だった。


「おい、ウルク!」

「お、え、なんだ?」


 すごい汗が流れている。


「シャル・ヴイはどこにいるんだ? あとランス・イオリ」


 二人は一緒に帰ったと伝えた。

 帽子を手に取り焦った口調で言った。

「くそ、お前もこい!」

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