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2話 火よ私の手に集え

「ヴイちゃん! って呼ぶね、唐突だけど、どこに住んでるの?」


 ちゃん付けで呼ばれるのが慣れてなくて、少しぎこちない。

 そわそわしながら家の方面を指す。


「私はマルキアに住んでるよ!」


 すると私の手を握り、目を輝かせながら話し出した。


「え! うっそ! いいね、私なんて

「アサキド」だよ? マルキアとはお隣だけどね!」


 マルキアは大都市、アサキドはマルキアよりは衰えるけど、それなりに栄えている街だ。


「アサキドもいい街だと思うよ! 私そこよりだし!」


 何かの運なのか彼女はマルキアよりらしい。


「私マルキアよりだよ! 一歩前に進めばマルキアだよ!」


 すごい運だと改めて思った、それから私たちは会う予定をした、運良く家が近くて助かった。


「じゃあ、また後で!」

「またね! イオリちゃん」


 手を振りながら指摘を施した。


「イオリでいいよ!」


 走りながら家に帰るイオリを見送り家に向かう。


---


「ただいま!」


 すると驚いた様子でお母さんが出てきた。


「お、おかえり、ヴイ今日遅刻しなかった?」


 今朝、変な生徒に門まで送ってもらえたお陰で遅刻せずに済んだ! なんて言っても信じてもらえるはずが無い。

 普段の私なら言えるはずがない、だが今の私は少し違う。

 それはお母さんにも伝わっているだろう。


「今日ね、学校の生徒と道であって学校までおくっもらった!」

「あらそう、まあそれならいいわ、友達も出来たみたいだし」


 そう言って部屋の奥に入っていった、私はすぐに自分の部屋に行き、服を着替えて準備する。

 するとしたからお母さんの呼びかけが。


「ヴイ! 今日何時に帰ってくるの?」


 お母さんには出かけるとは伝えていないはず、なにもかもお見通しらしい。


「え、暗くなる前には帰るよ!」


 普段ならあり得ない、返しだ。

 私は準備が完了し急いで階段を降り玄関で靴を履く。

 お母さんも玄関まで来て私を見送る。


「お母さん、行ってくる!」

「はい、いってらっしゃい」


 まるで雪が積もって外に遊びに行く児童みたいに走って家を後にした。


「変わったよ、お父さん」


---


 約束場所はマルキアとアサキドの境界の目印となる、大きい杖の建物。

 私はそこに五分余りでついた、周りを見渡しイオリが来てないかを確認すると、どこからか声が聞こえる。


「おーい! ヴイちゃん」


 手を振りながらこちらに走ってくるイオリ、それに気づき私も走って向かう。


「イオリ!」


 私は友達と学校外で会える嬉しさを知ることができた。


---


「とりあえず私の家においで!」


 そう言われ手を引かれながら歩く。


「いいの?」


 家にお庭が付いているらしく、そこで練習することになった。


「いいよいいよ! 小さいけど庭あるから! 親からも許可出てる!」


 手を引かれながら家に向かうこと三分、とてもでかい家が前に建っている。


「えっと、ここ?」


 笑顔で頷き、庭がある方に走り出した。


「ヴイも早く早く!」


 あまりにもでかくて驚いた、家を見渡しながら庭に向かう。


「すごい庭もでかいね」


 そこで何かスポーツできるくらい広いお庭、私の家にも欲しいな。

 そう思っているとイオリがでかい石を引きずりながら運んでいる、それに気づき、私も手伝う。


「ありがと!」

「重たいね」


 その石には少し黒い部分がある。


(この石を使って練習しているのかイオリは)


 手を合わせて、普段やってる練習の説明を始める。


「私は、最初形さえ出来なかったから、形練習したけど、ヴイちゃんは?」


 私は火球を撃とうとするが、発動はしない。


「なるほどなるほど、形はできてるね!私よりも優秀だね!」


 初めて魔法に関して褒められて、とても嬉しい。


「えっ! ほんと!」


 何度も首を振り頷く。


「でもね、なんというか、焦ってる気がするんだよね」


 確かに私は、早くしないと手遅れになる! そう思いながら練習してる気がする。


「もうちょっと落ち着いて、火球を想像して!」


(想像か、教師の火球は流石に、ねえ?)


 想像するが自分が撃てる感じはしない。

 すると私を見てと言わんばかりに目立ち、なにかを発動させる。


「お願い! 火よ、私に力を!」


 小声でそう唱えると、手に火が付く。

 それを見て私は焦り、バケツを探す、それを見て爆笑するイオリ。


「あははは」


 私は戸惑いながらそれについて聞く。


「それは?」

「ヴイちゃんもできるよ! 形は完璧だし!」


 私はすぐに駆け寄る。


「近いよ!」

「あっごめん! ついつい」

「とりあえず、火球撃つ時、手に火がまとうでしょ?」


 私はメモを持ち何度も頷く。


「その状態をキープするの、詠唱? て言うのかな? あーいうにのは別に唱えなくていいんだけどね、気合いを入れると言うか、準備的な?」


 必死にメモを取る私を見て、少し驚いている。


「すごいね、メモとるなんて」

「そうかな? とりあえず、やってみる!」


 目を閉じて、声に出さず、心の中で唱える。

(火よ私の手に集え)


 少しいつもと違う気がする、焦った様子もない、なにかが違う。

 するとイオリが嬉しそうにこちらに駆け寄る。


「手手手、見て!」


 私はゆっくりと、手をみる。


「......! できてる!」


 今までキープできたことがない、それが今日一発で出来た、とても嬉しい、嬉しい! 嬉しい!


「すごいよ! ヴイちゃん!」

「そんなことないよ! イオリのおかげだよ!」


 何より嬉しいのは、他人のことなのにに私よりも喜んでくれて、本当の友達って感じがする。


「これなら今日中に火球撃てるようになるよ! だから頑張ろう!」


(嬉しい、初めてこんな気持ちになれた、本当に嬉しい)

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