表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/39

14話 可能性

 その言葉に驚いた、学園のトップである人が、嘘をついて裏で働いているなんて、ありえない、あるはずがないからだ。


「え、えっと、学園長がですか?」


 私は言葉を詰まらせながら話す、ヴイちゃんは、じっと動かず何かを考えている。


「ああ、あの学園は嘘にまみれている」


 嘘とは何かが一番気になる。


「えっと、嘘とは? 私達からすると、学園のトップの人が嘘をつくなんて思いませんけど、しかも、この寮、学園長から提案されましたし」


 この話も嘘なのか? と疑ったが、嘘ではないと私は思っている。

 だが、彼には学園そのものが嘘だと考えている。


「甘い言葉で惹きつけ、最後は突き放す野郎だ」


 するとずっと黙り込んでいた、ヴイちゃんが話を始める。


「私は学園長が嘘をついてるのは思いません、学園そのものが素敵だとも感じています」


 今日あった出来事、もし嘘にまみれていたら、あの時に私たちはどうなっていたのか?


「俺たちSSクラスの生徒もそう思っていた、だが、ある行動によって嘘だと確信した」


 一応周りを確認して話を始める。


「クラスの担任からは、旅行と言われ、当日集められた生徒は楽しみにしていた」


 旅行は楽しいものだから、集められた生徒はさぞかし嬉しかったのだろう。


「だが、たどり着いた場所は、周りになにもなく、建物は崩壊していて、周りに人が住んでいる気配もない、飛行機がなにもないところに着陸する」


 たしかに旅行なのになにもないところに着陸するのはおかしい。


「俺たちは窓から外の景色を見ていた、すると身体が動かなくなり、気づいたら飛行機の外にいて、俺たちが乗っていた飛行機は、上空に飛んでいた、その時に見た担任と学園長の顔が忘れられない」


 だが気になることがある、一部の生徒だけが集められ、旅行だなんておかしな話だ、普通ならクラス全体で行くべきだ。


「一部の生徒とは、どんな生徒なんですか?」


 手を思い切っり握りしめて、歯を食いしばり話す。


「クラスの順位、下位二十位、までの生徒」


 上位の生徒は集められていなかったらしい、それは単純に修行ではないのかとも思う。


「俺はクラスの順位は十四位だった、だから今回、駆り出された」


 少しの間なにも言わなかったヴイちゃんが話しをする。


「駆り出されたってどういうことですか?」


 それに関しては私も疑問に思った、駆り出されるって私からすると、あまりいいイメージじゃない。


「あの学園長は、上位の奴らにしか興味がない、下位の奴らは駒でしかない、生きてることさえ許さないという考えだ」


 私たちは黙って話を聞く。


「今回は下位の生徒だったが、恐らく、これから全生徒が巻き込まれることになるだろう」


 それはどうして? と聞く。


「あいつらはこの世界のことを隠している、お前らは「マルキア」「アサキド」「ムーン」「ランコサ」「キューレイ」「アムルサクルド」「ドーム」 これらの街を知っているな?」


 この国「アルマキア」の七都市だ、それがどうしたと首をかしげる。


「それら以外にも、「キュレル」「アーキ」「クアンテルク」「ドルドル」 と言った四都市があるんだ」


 そんな都市聞いたことも習ったこともない、横を見ると聞いたことがあるみたいな反応をしているヴイちゃん。


「なぜみんな知らないのかというと、簡単な話だ、このマルキアは一番栄えているところだ、特に魔法が栄えている、その名門の学園長とあれば、権力はすごい、それを利用して、それらの都市がなかったかのようにしているんだ」


 全く話の意味がわからない、たしかに名門の学園長だったらそれなりに、権力はあるはず、だが、国の政治を侵すまでの権力はあるのか不思議だ。

 ヴイちゃんが思ったことを話す。


「なるほど、本来ある場所がなかったかのように改ざんされてるのですね、今の話を聞いている限り、あなた達が旅行と言われ、連れていかれたのは、いま言った四都市のどれかですよね?」


 ヴイちゃんは頭がよく切れる、集団になると弱いが、少人数ならすごい。


「ああ、だが、そこがどこの都市なのかはわからない、だって、そんな都市があるなんて思ってもいなかったからだ」


 私は話がわからなくなってきて、頭がパンクしそうだ、ヴイちゃんの様子を見ると、やたらと汗の量がすごい。

 すると口パクで話す。


(どうしよ、話が難しい)


 どうやらヴイちゃんもあまり理解できていないようだ。

 それでもお構いなく、話を続ける。


「携帯など使って見たが、全く使い物にならなかった」


 そう言って携帯を見せてきた、液晶が割れていて使い物にならない。


「それでみんなで歩いて帰ろうとしたんだ、すると見たことのない、奴らが出てきて、いきなり攻撃を始めたんだ」


 荒れ果てた土地、おそらく奴らが荒らしたと考えられる。


「予想外の展開により、相手の攻撃に避けれず、直撃したものもいる」


 直撃したものは当然、死ぬということだ。


「俺たちは必死に逃げた、一度は離れ離れになったが、徐々に合流していき、八人と出会えた」


 私はその言葉に驚き、ついつい口から漏れた。


「と、いうことは?」

「ああ、十二人は帰らぬ人となった、俺たちは最初は疑ったさ、死んでいないと、だけど、あの血の量、明らか致死量だ」


 絞り出すように話をする、少しだけ学園のことがわかった気がする。


「そう、なんですか、あなたはここにいるということは生き残れたということですよね?」


 ヴイちゃんが話を始める。


「ああ、他の奴らを置いてな」


 その言葉に引っかかり、もう一度聞く。


「私の予想ですが、あなたの味方がこれらのことを伝えるように、ワープさせたんだと思いますよ?」


 全員死んだら、今の話を聞けなかった、それだけは避けたかったのだろう。


「だけど、なんで俺だけなんだ?」


 そんなこと私にはわからない。


「さあ私にはわかりませんが、あなたに可能性を感じたのでしょう」


 唇を噛み締めたまま少しの間動かなくなった、その間、イオリがこっちを見て口パクで何かを言っている。


(その敵? ってなんていう名前なのかな?)

(わからない!)


 落ち着いたのか話をまとめる。


「話が長くなったな、俺が言えるのは、学園は俺たちのことを「道具」としか思っていないというこだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ