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10話 学園長

 動きが少し鈍いのが気になる、だけど今は走らないと。

 一度先生が後ろを確認する。


「大丈夫か?」


 私は顔に出さないよう笑顔で答えた。


「大丈夫です!」


 足が重たい、ついて行けなさそうになる。

 それに気づいた先生が私の方に近づいてきた。


「仕方がない、よいしょっと、しっかりつかまっとけよ」


 ヴイちゃんを抱えつつ私をおぶった。


「あ、はい」


 先生は二人を抱えているのに関わらずスピードが落ちていない。


(すごい)


 私は担任が付いてきているか気になり背後を見ると、二人の影が見えた。

 どんどん影が近づいてきた。


「あれ、先生が来た、それと仮面の男も」


 先生は仮面の男に勝ち、意識を失わせ、抱えて走ってきていた。

 それに気づいて走りながら後ろを向く。


「ウルク、無事だったか」


 とうとう私たちに追いついた。


「当たり前だ、上には連絡済みだ、早くいくぞ」


(クラスでは憎たらしいというか愛想がないというか、生徒からはあんまり好かれないタイプの先生だと思ったけど、今思えば素敵な先生だ)


 そのまま門の前に着いた。

 私は背中から降り、ヴイちゃんは抱いたまま、通り抜ける。

 そこには見たことない人が立っていた。


「仮面、こんな時に」


 そう言いながら校舎に入っていく。

 私も先生の後についていく。


「ウィリデ、会議室だ」


 校舎に入って右奥に進むと、奥に誰かが立っている。


「来たか」


 会議室に入る、中には見たことのない先生が細長い机に座っている、その奥に周りの先生とは雰囲気が違う人が座っている。

 私はその先生に座るように言われる。


「どうぞ、座ってください」


 私は恐る恐る、席に着く、その横にヴイちゃんを寝かせて椅子に置く。

 担任は仮面の男を扉の前にいる警備の人に手渡し、私の横に座った、もう一人の先生は、ヴイちゃんの隣に座る。


 座ったのを確認すると奥に座ってる先生が話を始める。


「でわ、始めます、礼」


 誰が見てもわかる、あの人は学園のトップに近い存在の人だ。


「では、その時の状況を、教えてくれないか? ランス・イオリ」


 私は名前を呼ばれ、少し驚いたが、素早く説明する。


---


「失敗したのか」


 とても渋い声でいう。


「なさけない、スキを狙っても、目標を捕えられず、奴が捕まるなんて」


---


 その時の状況を頭で思い浮かべながら話す。


「突然、上空に歪みが出て来たんです。最初は気にしていなかったのですが、どんどん近づいて来てるのに気づき、二人で逃げるよう走りました」


 周りの先生は下を向き考え込んでいる、すると横に座っている担任が話を始める。


「恐らく、今回の件「反魔法軍」の仕業ですね」


 その言葉を聞いて奥の先生が答える。


「ふむ、仮面とやら、一度見たことがあると思ったが、やはり」


 話し終えると視線が私に向き、続きを話す。


「走ってる最中、上を見ると、歪みがもう手を伸ばせば届くくらいまで近づいていました。その瞬間、黒い煙が出てきて、一帯は黒い霧に包まれ、私とヴイちゃんははぐれました。ヴイちゃんが何処にいるか探してる時に、前から仮面を被った人に蹴られて転んでしまい、そこでヴイちゃんと合流でき、逃げようと走りました」


担任の斜め前に座っている先生が話し出す。


「黒い霧の正体は恐らく魔法ですね、対象とされてる人物には周りが黒く見え、それ以外の人には普通の景色が見える」


 その話を聞いて担任が話を始める。


「なるほど、一帯が黒い霧に包まれたなら、私たちや、近くにいた人は気づくはずですよね、学園長」


 何も言わずに頷いた、というか奥に座っている先生が学園長だと初めて知った。そんなすごい人と会議をしていると考えると、やはり、今回の件は大問題らしい。


「なるほど、それでどのようにしてその場を持ちこたえたのですか?」


 私はあの時の状況を言いたくはない、だけど、言わなければならない。


「黒い霧を駆け抜けて、ついたところは行き止まりでした。背後を見てみると、仮面の男がいて、その瞬間、霧がなくなったんです、霧がなくなると同時に、私は足が動かなくなりました」


 魔法の説明が入る。


「束縛系の魔法ですね」

「その間に敵がどんどん近づいて来て、為す術がない状態となりました。私は終わったと思いました、けれどもヴイちゃんは諦めず、立ち向かおうとしました、今日習った「(オール)」を発動して、敵との距離を置き、作戦を話し始めました」


 学園長は担任を見つめて、担任は目を合わさずこちらを見ている。


「その作戦内容は?」


「壁が破られた際、敵に火球を当てるという作戦です、私が火球を発動する役で、ヴイちゃんが私を隠すように前に立ちました」


 担任が話に入ってくる。


「その時に私たちは彼女のとこについて、二人の安全を確保しました」


 一通り説明を終えると、ヴイちゃんが起き上がる。


「......えっと?」


 どういう状況か分かっていない、少しヨロヨロするヴイちゃんの体を支える。


「イオリ、ありがと」


 話の全貌がわかり学園長が話を始める。


「なるほど、話はわかった、今後の対応はこちらで済まして置く、それと二人は少しの間、学園で過ごしてもらうことになる」

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