14話 人型の魔物と決着をつけ
(2017/11/07 後書きに一文追加。 →魔術詳細:ツリ目男:粉塵劫爆:「ただし点火の炎は地面や岩などの固形物からしか生み出せない。」)
(2017/11/07 ↓気の迷いでした。下記の削除を元に戻します。前のままでも矛盾せず、むしろ削除すると矛盾するため。
2017/11/07 後書きの一文を削除。作中の展開に矛盾するため。 →魔術詳細:ツリ目男:粉塵劫爆:「ちなみに燃焼方向は操作可能。」)
砂煙の上空に到達した俺は、砂煙の中にある二つの強大な魔力反応に狙いを定める。
そして、角度をつけて滑空していく。
……さあ、奇襲だ。
空中で隠密状態はやったことがないが、俺は攻撃の意識を散らし、気配を殺すことで、成功率を上げる。
そして感知を全開にして、砂煙の中にあるあいつらの姿を浮き彫りにする。
「まだ晴れねえのかよこの砂。ほんとダリいな」
ツリ目男の声を拾う。
滑空中の風切り音で、その言葉までは掴めないが、しかし位置は丸わかりだ。
もう目前まで迫っているが、依然として[意識感知]にあいつらからの反応はない。
砂煙が俺の姿を隠していることも、奇襲の成功率を上げているようだ。
思いがけない幸運に俺は目を細めると、そのままあいつらの間をすり抜ける。
足から着地。
このとき、落下の衝撃を浮遊岩に丸ごと移す。
結果、浮遊岩はあいつらの足元を離れ落下。あいつらは空中に放り出された。
「――!?」
二人の驚愕を感じつつ、その隙に俺は浮遊岩を蹴って優先順位の高い敵へと肉薄する。
それは長髭親父だ。
空中で岩を操作されれば、反撃や逃走を許してしまう。
現状、ツリ目男よりもこちらのほうがよほど厄介だ。
俺は長髭親父の胴体に足を添えると、肺を潰す勢いで蹴り飛ばす。
欲をいえば首をへし折りたいところだが、このあとツリ目男にも接近しなければならないことを考えると、足場にするなら胴体が適していた。
長髭親父が空中を吹き飛び、対照的に俺はツリ目男へと飛び出す。
「クソがぁッ!」
ツリ目男が吠える。
腕を突き出してくるが、しかし魔術発動の兆候はない。
[危険直感]も無反応だ。
俺はほくそ笑む。
空気を燃やせないことは知っている。
唯一、燃やせる岩は蹴り飛ばした。
切り札のために空に逃げたのは悪手だったな。
俺はツリ目男に密着すると、突き出されていた腕を足で払いのけて肩に乗る。
そして首をへし折る……のではなく、長髭親父の落下予測地点へと蹴り飛ばした。
……どうせ片方を生かしているのだから、焦って殺すこともないだろう。
俺は再度翼を広げると、滑空してあいつらのあとを追っていく。
砂煙はだいぶ晴れてきていた。
落下していく長髭親父がもがきもせずに動かないことから、気絶を確信。
ツリ目男はもがいて悪あがきをしているが、姿勢を制御できずに不利な体勢で落下していく。
しばらくして、あいつらは地面に到達した。
時間差はあるも、両者とも着地に失敗し、身体をバウンドさせて静止する。
俺はその近くへと姿勢を制御して減速し、着地する。
油断なく見れば、二人ともまだ息はあるが、死にそうな姿だった。
普通ならあの高さから落ちて即死だが、まったく、魔物とは頑丈らしい。
とはいえ手足は骨折し、出血多量。脈も呼吸も弱々しく、重態だ。
このまま放っておけば死ぬのかもしれないが……いや、見る間に出血が止まっていく。この状態からでも回復するらしい。
俺は二人の身体を見下ろし、まだ意識が戻っていないことを確認する。
そして生命反応の推移を見守りながら、肩の力を抜いた。
「……はぁ、しんど」
俺は翼を回して胸筋をほぐす。
酷使した胸筋がじわじわと伸びて心地よい。
……デジャヴを感じる。いや、鹿鷲のときだろう。
まったく、俺は空を飛べないってのに、毎度毎度滑空させられるのはどうしてだ。
羽も痛むからやめてほしい。
魔術を習得したら、対空手段を確立したいものだ。
俺は臨戦態勢を解くと、深々と溜息をついた。
「お見事だね」
しばらくして、狐少女がこちらに合流し、状況を一瞥してからの一言。
ちなみにウーリにはまだ空になってもらっているので、この場にはいない。
「ありがとう。きみの防御も素晴らしかった。あれがなければ撤退するしかなかったからな」
俺は倒れたまま気絶している二人組の男から目を離さずに、狐少女に返事をする。
俺の様子から状況を悟ったらしく、狐少女はホッとしたような声を出す。
「あれ? 殺してないんだ?」
「ああ、殺さずに無力化できたから。確認したいこともあって、まだ生かしている」
「そっか。確認したいことって?」
「人型の魔物を殺すことについて、魔界の法律、あるいはルールがある?」
「んー、そうだね……」
狐少女は少し時間をおいて続ける。
「いわゆる法律はないよ。でも理不尽に命を奪っていれば、周りから危険視されて潰されるね。
今回に関しては、ウーリトゥーリを倒そうとしていた彼らを返り討ちにした形だから、彼らを殺しても問題視されないと思うよ」
狐少女の声は感情のこもらない平坦なものだった。
発言の内容に何か思うところがあるのかもしれない。
「そうか、ありがとう。こいつらには聞きたいことがあるから、そのあとに殺すかは判断する。
……そろそろこいつら起きそうだが、俺に任せてもらっていい? もしこいつらが攻撃してきたら、きみは自分を守っていてくれ。俺は速攻でこいつらを片づけるから」
「うん、わかったよ」
狐少女は後ろに下がる。
間もなく、骨折が治って呼吸が安定したツリ目男が目を覚ます。
「あ、テメエ!」
ツリ目男は上半身だけ起こすと、俺のことを心底憎らしそうに睨んでくる。
しかし、攻撃の意識は飛んでこない。
その隣で長髭親父も目を覚まし、こちらの状況を確認して敵意を向けてくる。
とはいえこちらは様子見の意識が強いようだ。
「なぜオレらを殺さない?」
ツリ目男は睨みながら言ってくる。
「殺してほしいのか?」
「いや、そういうわけじゃねえが」
「おまえたちには聞きたいことがあるんだが、その前に一つ、言っておくことがある」
俺の言葉に、二人は身構える。
「俺たちに負けたわけだが、まだ最強を目指し、ウーリトゥーリを倒すつもりか?」
「ッ――」
ツリ目男は歯噛みすると、ふっと敵意を霧散させ、俺から意識を外してうつむく。
その隣で長髭親父は、困ったようにツリ目男を見つめる。
……もし、こいつらがまだウーリの敵であり続けると答えるのなら、そのときは。
しばらく待っていると、ツリ目男が顔を上げた。
しかしその瞳は揺れていて、虚ろだ。
「わかんねえ……。テメエの言うように、オレらは最強じゃねえ。だからウーリトゥーリを倒すのは諦める。どのみちオレらじゃ、挑んだところで死ぬだけだ。
けど、これからどうしたら……」
ツリ目男の隣で、長髭親父も同意するように頷いている。
俺はウーリの敵がいなくなったことに、内心ホッと息をついた。
「そうか。ウーリトゥーリの敵じゃないのなら、おまえたちを殺す必要はない。これからどうするかはゆっくりと考えればいい。
それで、聞きたいことがあるんだが……」
ツリ目男がこちらを向き、俺の言葉を待つ。
会話ができる状態にあることを確認して、俺は質問をする。
「ウーリトゥーリって何者?」
……瞬間、空気が凍った気がした。
幻聴がする。そんなことも知らずにウーリトゥーリを擁護したのか、と。
俺はすぐに咳ばらいを挟むと、言葉を続ける。
「いや、知らずに助けようとしたわけじゃなくて……どういうふうに周りから知られているのか、知りたくてな」
納得が得られたのか、空気が弛緩した。
ツリ目男が覇気のない声で答える。
「公魔ウーリトゥーリ。公魔最強候補。
能力は、植物を作れる生産系で、空間を弄れる空間系……らしいが、詳細は不明だ。
正体も不明で、これについては噂がいくつかある。恐怖をまき散らす不気味な魔物だとか、たくさんいる羊の一つだとか。中には、自称するガキが本人だとほざくヤツもいたが、それは論外だろうぜ。……知ってることは以上だ」
おい、最後。ちゃっかりウーリの姿が認知されているんだが。
相変わらず“ロード”という言葉はわからないが、それはあとで狐少女に尋ねよう。
それ以外の情報は、なんというか、大したことのないものばかりだ。夢界を歩けばわかる程度の浅いものしかない。
つまり、ウーリについてはほとんど知られていないとみるべきだろう。ただし……。
「正体不明なのに、なんで名前だけは知られてるんだ……?」
「……知らねえ。もしかしたら、名前も違うのかもしれねえな」
「……そうか」
結局、わからずじまいか。
まあ、噂なんてそんなものだろう。
「わかった。……最後に一つ、彼女に謝ってくれ。彼女を疑ったことについてだ」
元はといえば、狐少女がウーリトゥーリの情報を隠していると疑われてもめていたことが発端だ。
その決着はつけておくべきだろう。
ツリ目男はぼんやりとした目を狐少女に向けると、口を開く。
「悪かった。オレの勘違いだったようだ」
その隣では、長髭親父も頭を下げている。
……形だけのものではなく、きちんと気持ちがこもっているようだった。
天狗の鼻が折れて、まともになったのだろうか。そんなことを考えていると、背後で狐少女の固い声が発せられる。
「うん、いいよ」
それっきりで、沈黙が下りる。
謝罪を受け入れるにしては、態度が堅い。狐少女は許せなかったのだろうか。
……いや、何かしら事情があるのだろう。
なんにせよ、これで一件落着だ。
「じゃあ、俺たちは行く。
……やりたいことを探す旅というのも、悪くないんじゃないか?」
あまりにも弱々しい彼らの姿に、俺は一言付け足した。
そしてもう用もないので、俺は狐少女をともないその場を去ったのだった。
「……改めて、俺はイスハ。少女鳥だ」
俺と狐少女は歩いて移動しながら、とりあえず自己紹介を始めることにした。
というのも俺が言い出したためだが、狐少女のことを「きみ」としか呼べないのが不便だったのだ。
まずは俺からということで、最低限の情報を伝えたところ、狐少女は驚いたようにこちらを勢いよく振り返る。
「えっ、少女鳥!? 鳥人じゃないの!?」
鳥人とは確か、翼を持った人間だったか。
「鳥人じゃない。人鳥だ」
「なんで喋れるの!?」
「……まあ、特異個体ということで」
さすがにこの短い付き合いだけで、異界人であることを明かす気にはなれなかった。
「特異個体だからって……それに、少女鳥って最弱の人鳥じゃなかったっけ?」
「まあ、否定はできないが……温厚な種族だから」
そう、最弱人鳥というのも事実ではあった。
一般的な人鳥は、開けた場所で空を飛び、ときに人を襲う。
討伐難易度として見るとき、近づこうとしても空に逃げられる一般的な人鳥と、何もしなければ近距離まで近づける少女鳥、どちらが上かといえば当然ながら前者だ。
そもそも、弱肉強食に生きる一般的な人鳥と、人との共存を目指す少女鳥では、根本からして生存戦略が異なっている。
確かに、人鳥同士で戦えば最弱だろうが……あまりそういう目で少女鳥を見ないでやってほしいところだ。ほら、少女鳥は美少女かつ美翼で、美しさでは人鳥の中でも断トツだから。
「少女鳥なのに、魔物に勝つなんて……それも大魔相手に。すごすぎるよ……」
「その、“グレイト”ってのは何? 実は“ロード”ってのも、よくわかってなかったりするんだが」
せっかくなので説明を求めてみたところ、素直に説明が返ってくる。
「えっと、魔物のランクかな。もしくは階級だね。
下から順に、野魔、大魔、公魔、君魔って呼ばれてるよ。正式名称は後ろにカインズがつくんだけどね。
それで、大魔は下から二番目。たいてい人型の魔物で、野魔より強いんだ」
……なるほど。俺が戦った相手でいえば、鹿鷲が野魔で、あいつらが大魔か。強さからみても納得だ。
「公魔はさらに強い?」
「うん。大魔じゃ相手にならないって聞くよ。人数を集めても届かない、それだけの壁があるって」
「じゃあ、公魔最強っていうウーリトゥーリは……」
「うん。想像できないくらい強いと思うよ」
……あのウーリが。
いや、納得できる部分はある。
夢界において、ウーリにできないことはないだろう。つまりその気になれば、夢界で無双できるはず。
……なんて、考えても仕方ないな。あのウーリが好んで戦うとは思えない。
それに、公魔最強というのはあくまで噂だし。
「教えてくれてありがとう。そんなランク付けがあったとは思わなかった」
「うん、予想外だよね。そういえば、現界で金色扱いされる魔物は、野魔のことだよ」
「……なに?」
俺は思わず狐少女を見る。
現界での強さの最高評価が、魔界では最低ランクの野魔級? ……嘘だろ?
「わかるよ、その気持ち。ボクも最初は信じたくなかったからね。
でも、ちょっと想像してみて。仮に 野魔が現界に現れたとして……金色持ち以外に太刀打ちできると思う? 逆に、大魔が現界に現れたとして……現界の戦力で討伐できると思う?」
俺は想像してみた。
竜巻を自在に操る鹿鷲を相手に、金色持ち以外が立ち向かえばどうなるか。……何もできずに返り討ちに遭うだろう。
では、地面すら燃やす炎を使い、不慮の接近にも強烈なカウンターで対処でき、さらには知性まで備えているツリ目男を相手に、金色持ちが立ち向かえばどうなるか。……いや、どうなるんだろうな?
ただ、これだけは言える。野魔に対応するのがやっとの金色持ちであれば、大魔には敵わないだろう。
そう考えれば確かに、金色評価は大魔には不釣り合いだ。まさしく、野魔に対する評価だろう。
「納得した。そして魔界の異常さを理解した」
金色である野魔の上に大魔、大魔の上に公魔、そして公魔の上に君魔。
魔界は化け物の巣窟か。想像を絶する世界だな……。
そうして俺が驚き呆れていると、狐少女はこほんと咳ばらいをした。
「さてと、大魔の強さを認識してもらえたところで、ボクの驚きも理解してもらえたかな?
野魔より強い大魔に勝っちゃう少女鳥って、どういうこと?」
「……それは、きみの防御があったから」
「ボクが手を貸したのって、あの一度きりだよね? それ以外は全部、イスハの力だけど?」
いや、正確にはウーリの力も借りての勝利だが……。
しかし、そういう話ではないだろう。
俺は自己紹介の途中だったのもあり、自分の武器を明かすことにする。
「俺は、走術を使う。速さについては、その一環ともいえる。
勝てたのはそのおかげだろうな」
狐少女は狐耳をピクピクと動かし考える素振りをみせてから、口を開く。
「走術って……魔術を使った走りのことかな?」
「いや、魔術は使っていない。走術というのは、走りと感知の組合せだ。そもそも俺、魔術が使えないから」
「……え?」
狐少女は立ち止まった。俺も続いて立ち止まり、どうしたのだろうと彼女に向き直る。
狐少女はぽかんとしていたが、ふいに何かに思い至ったように理解の色を示すと、愛想笑いをした。
「あはは……冗談だよね。魔術を使っていないなんて。
ごめんね、深入りしちゃったかな。きっと走術のことは秘密にしているんだよね? 走術についてはもう聞かないようにするよ」
俺は狐少女の予想外の対応に、思わず眉根を寄せる。
それを見て、狐少女は慌てたように謝罪を重ねてくる。
「ごめんなさい。キミを不快にさせるつもりはなかったんだ」
「待ってくれ、違う、違うんだ。べつに怒っているわけじゃない」
「え? そうなの?」
「ああ、もちろんだ。その……なんというか、状況が掴めなくてな」
「……?」
俺は何がどう変なのかを考えた。
……しかし、うまく言い表すことができない。
結局事実だけを告げることにする。
「魔術を使っていないのは、本当なんだ。冗談というわけじゃない」
「……え?」
すると今度は、狐少女が眉根を寄せる。
同時に尻尾が緊張したように立ち、失望したような意識と警戒心が向けられてくる。
「ボクを騙すつもり、じゃないよね? 何か言えないことがあるのかな? ごまかさなくても、それならそうと言ってくれていいよ」
俺はここにきてようやく思い至る。
狐少女の常識では、俺の戦いは魔術なくしては成り立たないものなのだろうと。
「……そんなにか。いや、誇るべきなのかもしれないな。俺の走術は、魔術と同じレベルにあると」
「え?」
「まあ、見せてもいいんだが……誤解させたことをまずは謝ろう。俺は正真正銘、魔術を使っていないんだ」
俺が狐少女の青緑色の瞳を見つめ、真摯に告げると、狐少女は目を見開く。
そして、意識が揺れ、俺の言葉をどう判断するか迷いだした。
もう一押し必要だろうか。
そう考え、俺はここまで隠していた目的を明かすことにする。
「実は、きみを助けようとしたのは、ある目的があったからなんだが――」
狐少女は途端に警戒心を強めるが、俺は間を置かずに言葉を続ける。
「きみに、魔術の師を頼めないかと思ってのことなんだ」
「……え?」
「魔術を習う前に、魔界堕ちしてしまって困っていたんだ。だから、魔術の師を探していた。
俺が魔術を使えないのは事実だ」
「……冗談、だよね?」
狐少女の頬と狐耳がひくつき、尻尾が動揺を表すように忙しなく揺れ動く。
俺は真剣な表情のまま、言葉を繰り返す。
「俺が魔術を使えないのは、冗談じゃない。何度も言うように、事実だ」
ここに至ってようやく、俺の本気度が伝わったらしい。
狐少女はポニーテールになっていない横の髪ごと頭を抱えると、青緑色の瞳の焦点を失い、叫ぶのだった。
「えっ、えっ、えええええっ!? なんなのそれぇえええ!?」
ツリ目男と長髭親父のステータスを公開します。
~~
<ステータス>
「ツリ目男:ファラ」
種族:魔物(大魔)
特技:
【魔物】☆ [魔力感知][魔力吸収]
魔術:
【火精魔術】 [火炎操作]
【心象魔術:万物燃焼】 [不燃燃焼]
「長髭親父:グド」
種族:魔物(大魔)
特技:
【魔物】☆ [魔力感知][魔力吸収]
魔術:
【地精魔術】 [岩石操作][圧縮][金属操作]
【心象魔術:金属生成】 [金属生成]
~~
それから、技の紹介。
~~
<武術詳細>
「イスハ」
【体術】
・壱 [虚蹴]
虚をつき、相手の意識の外から蹴る。
【走術】
・壱 [縮地]
意識の強弱と遠近感のトリックにより、瞬間移動したように見せる走り。
・弐 [残影]
偽りの加速で残像を見せ、姿を見失わせる走り。
・参 ?
?。
・肆 [抜踏]
走り抜けざま、相手を足場にして踏み抜く走り。
<魔術詳細>
「ツリ目男:ファラ」
【火精魔術】+【心象魔術:万物燃焼】
・[劫火]
地面から火炎を生み出し、操作する。
・[瞬間劫火]
咄嗟に周囲の地面から火炎を生み出し、直径百メートル高さ二十メートルの広範囲を焼き尽くす。
・[粉塵劫爆]
砂煙を燃やし、爆発的な燃焼を引き起こす。ただし点火の炎は地面や岩などの固形物からしか生み出せない。ちなみに燃焼方向は操作可能。
「長髭親父:グド」
【地精魔術】+【心象魔術:金属生成】
・[混合破砕]
岩山の中に無数の微細な金属片を生成し、ひび割れを起こし、さらに岩山全体を圧縮して細かく砕く。
~~
ざっくりとですが紹介しました。
ちなみに火炎操作や岩石操作、金属操作などは、魔術の基本動作なので技ですらありません。
そういう意味では[劫火]も技とは言えないですが、まあ、ツリ目男が名付けているだけとお考えください。
長髭親父の技が少ないのは、基本的に岩石操作と金属生成と金属操作を単純に組み合わせて使っているだけだからです。
自分が乗った岩を操作して浮遊し、大岩や金属球を操作して振り回すことを基本戦術としています。まあ、本人があまり命名したがらないというのも理由ですが。