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はればれ  作者: 水谷なっぱ
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手紙

 今日も今日とて嫌がらせの証拠隠滅のため早めに登校したら、今日はなにもなかった。夜空さんが片付けておいてくれたのだろう。あのお人好しさんめ。

 しかしいつもと違うことがあった。

 クラス全員の机の上に封筒が置かれている。

 真っ白で宛名も差出人の名前も書いていない謎封筒。

 開けて大丈夫かなあ。と、一瞬考えつつも開けてみた。

 中には一枚の便箋。

 『知っている』

 とだけ、中央に印字されていた。

 「?」

 なにを知っているというのだろう。

 嫌がらせをしている犯人?

 そんなものわたしだって知っている。

 嫌がらせを受けているということ?

 それを主張するメリットがない。わからない、わからないけど面白い手かもしれない。この封筒は全員の机の上にある。なにが書いてあるかどうかはそのうち登校してくるクラスメイトの様子を見ればわかるだろう。もし、全員同じことが書いてあった場合、各自はなにを感じるか。やましいことがあればあるほど、なにかを思うのではないか。余程の馬鹿でなければ警戒や注意を払うようになるのではないか。

 うん。わたしがそれを利用しない手はないのだ。昼休みに夜空さんに封筒の中身を聞いてみよう。

 しばらくするとぽつりぽつりとクラスメイトが登校し始めた。最初は驚き、続いて疑問、そして疑惑。そんな感じで教室内がざわめき始める。

 とはいえ教師が現れると同時に静まり返る。

 そういうものだ。

 多感な中学生が教師のような無神経な大人に面白いこと、複雑なことを話したりはしないし、教師の方でも対応なんかしない。わかっているのだ。互いに。

 あとは昼休みに夜空さんに封筒の中身を聞いてみよう。

 そうしたら確信が持てる。

 他のクラスメイトとは最近会話をしていない。巻き込んだら嫌だし。面倒だなと思うのもある。

 結局わたしは集団行動に向いていなかったのだろう。

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