表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はればれ  作者: 水谷なっぱ
text1
7/42

悪化

 朝、いつもより早く登校してみたら予想どおりの事態が展開されていた。

 下駄箱にはゴミ。

 机には落書き。

 椅子はへし折れている。

 まあ、こんなところが限界だろう。先日の机脱走事件から一週間ほどたっているが、この手の嫌がらせは日々悪化している。

 とりあえず状況の写真を撮って、記録を残してから原状復帰に努める。ロッカーまではまだ手をつけられていないから、きっと明日あたり荒らされるだろう。机の落書きが彫刻に変わるのはいつになるやら。そろそろ早起きが面倒になってきたわたしです。

 でもたまになにもされていない時がある。そういうときは決まって夜空さんが下駄箱ではなく図書室の方から教室にやってくるのだ。

 なんだかんだでお人よしなのかもしれない。

 本人になにか言ったところでぷいっとそっぽを向かれてしまうだけだろうからなにも言わないけど。とりあえず今のところ人的被害が出ていない。そのことを喜ぶとしよう。

 犯人については明白だけど、これといってなにかをするつもりはない。

 わたしは喧嘩をする度胸や、説得をするだけの対話力、向き合おうとする根性を持ち合わせていない。ただ面倒にならないようにするだけである。

 ちなみに教師は当てにしない。

 中学校教師というのはえてして変な人が多いのだ。そりゃあもうびっくりするくらいに。竹刀を振り回して生徒を威嚇する美術教師とか、お気に入りの生徒に媚を売って他の生徒から総スカンを喰らっている英語教師なんてのはまだいい。なぜか俺様口調で男前で慕われるアタシを演出する理科教師など鬱陶しいことこの上ない。そういうわけで教師に相談などもっての他である。

 なんてことを総合すると放っておくのが一番いいんだ。消極的で投げやりな方法かもしれないけれど、犯人もそのうち飽きるだろうし、最悪学年が上がったらクラス替えあるし。

 ……まだ春が終わったばかりだから気の長い話ではあるけれど、そういうこともあるんだろう。とりあえず犯人の目的はわたしを夜空さんから遠ざけて、彼女を孤立させることである。夜空さんの孤立が犯人にとってなんのメリットがあるかは皆目見当がつかないけど。まあ、夜空さんの言うとおり『バカ』なんだろう。そろそろ目的と手段が入れ替わってきている感じあるし。

 なんてつらつら考えていたら片づけが終わった。

 さーー、もうすぐ他の生徒も登校してくるだろう。一限の英語の予習でもしていよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ