表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はればれ  作者: 水谷なっぱ
text3
25/42

旅立

 修学旅行当日である。皐月は予定よりも早起きをして待ち合わせ場所である学校の最寄り駅に向かった。

 そこでは既に夜空がいて、本を読んでいる。

 「おはよう夜空。早いね」

 「皐月も早いわよ。まだ待ち合わせの20分前じゃない」

 「張り切っちゃって。恵奈、まだかな」

 「そんなに早めに来るタイプじゃないでしょ」

 夜空の言うとおり、恵奈がやってきたのは待ち合わせを数分すぎてからのことであった。恵奈はのんびり歩いてきて、二人を見つけると大きく手を振る。

 ここ最近、恵奈は昼食や休み時間はずっと皐月と夜空と一緒にいる。べたべたした付き合いが面倒な二人は若干違和感を感じていた。

 「おっはよう!」

 「「遅い」」

 「遅くないし! 時間通りでしょ」

 「アウトかな」

 「アウトよ」

 「そうかなあ」

 そう言いつつも待ち合わせの時間自体を早めに設定していたため、三人は遅れることなく予定の電車に乗り込む。まずは新幹線停車駅まで移動して、そこで学年全体で集合する。新幹線で移動した先では自由行動だ。

 「つうか二人が早いんだよ。学校でも早いしさ」

 「5分前行動が鉄則だから」

 「時間を守らない人に人生の何が守れるというのかしら」

 「わー、まじめ」

 茶化しつつも「気をつける」と小さく言う恵奈は悪い子じゃないんだろうなと皐月は思う。夜空もそこまで深く追求せず、車窓を見送っている。新幹線停車駅は通勤中のサラリーマンや通学中の学生でごった返しており三人はもみくちゃになりつつも、なんとか集合場所までたどり着いた。

 新幹線内では三人並んでの席であり、学年で複数の車両を貸し切っているためくつろいで移動できる。

 「ついたらぶどう狩りだよね」

 「そだよ。修学旅行のテーマは"食育"。ということで食べ物関連の施設を回るからね」

 「私、そんなに食は太くないのだけれど」

 「だいじょぶ! あたしが食べる」

 「あー。恵奈めっちゃ食べるから」

 「でもそんなに太ってないでしょ。努力の証」

 三人は女子中学生らしい雑談をしながらお菓子を食べたり窓の外を眺めたりのんびりと過ごす。外の天気はよく、これからの旅行が楽しみになる光景だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ