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はればれ  作者: 水谷なっぱ
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決意

 部屋に戻って、夜空に電話をする。出なかったのでメッセージだけを送っておいた。夜になってから『ずいぶん早いのね』と返信がくる。確かに早かったかもしれないけど、それはわたしの中で答えが決まりきっていたからだ。数日後に会う約束をして、その日は寝た。


 約束の日、近所のファストフード店で夜空と向き合う。

 そういえば学校以外で夜空と会うのは初めてだ。夜空は白いノースリーブのAラインのワンピースに黒のタイツ、白くつばの広い帽子と日傘というスタイルだった。

 どこをとっても育ちの良いお嬢さんである。

 一方わたしはスリムジーンズにTシャツだ。どこをとっても田舎の女子中学生です。場合によっては男子中学生にも間違われそうな勢いです。

 「で、どういう結論を出したのかしら」

 挨拶もそこそこに夜空が言う。でも口調は淡々としているのに顔が妙に緩んでいるのはどうしてだろう?なんていうか照れているような、嬉しいことを隠しているような顔だ。

 「わたしは夜空と友達でいたいよ」

 「それは楽だからかしら」

 「うん。けど楽な方に流れているわけじゃないよ。夜空と一緒にいるとちゃんと言いたいことを言える。感じたことをそのまま言える。そして夜空はそれが良くなかったら指摘してくれる。それが嬉しいって思うんだよ」

 夜空は一瞬泣きそうな顔をした。

 しかし声をかける前に彼女は口を開く。

 「もう一つ、お友達とはどうするのかしら」

 「もう友人じゃないよ。ちゃんと一緒にいるのは無理って伝えた。わたしが夜空の友達でいる以上、あの子とは友人じゃいられない。そして、わたしがわたしから夜空と友達でいることをやめたりしない。だからあの子とは一緒にはいられない」

 そう言うと夜空がわずかに赤くなった。

 どういうつもりなんだろう。また夜空を嫌な気持ちにさせてないといいんだけど。

 「あのね夜空。最初はただの興味本位だったんだよ。あの子最近一人だな、どうしたのかなって。けどさ、話してみたらすっごいいい子だったんだよ。だから好きになってずっと一緒にいたいなって、友達になりたいなって思ったんだ。そういう理由で夜空と一緒にいるんだけどダメかな」

 できるだけ落ち着いて話したつもりだけどどうだろう。

 夜空はうつむいてしまってなにも言わない。

 言い過ぎたかな。

 興味本位っていうのは余計だったかな。

 「あり、がとう」

 「え?」

 「だから、ありがとう皐月」

 「夜空?」

 小さい声がして、少ししてから夜空が顔を上げる。ちょっと目が赤くなっていた。

 「一緒にいると、友達になりたかったのだと言ってくれてありがとう。私も皐月と友達でいたいわ」

 ……。

 告白に成功した男子というのはこういう気持ちなのだろうか。得も言われぬ達成感でいっぱいだ。

 「こ、これからもよろしくお願いします」

 「なにを緊張しているのよ、らしくないわね」

 「夜空こそ、顔赤いけど」

 今度こそ夜空は顔を真っ赤にした。

 うん、やっぱり夜空はかわいい。

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