表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はればれ  作者: 水谷なっぱ
text1
2/42

関心

 わたしと夜空さんのファーストコンタクトは微妙な感じで終わった。友達からは夜空さんに関わらない方がいいと言われた。たぶん夜空さんがクラス内のグループからハブられていることとか、その理由とか知っていたんだろう。

 「皐月は鈍いから」

 そんなふうに言われてなにも教えてはもらえなかったけど。

 確かに鈍いなと自己嫌悪する。繊細な問題なのだからもっと慎重に行動すべきだったのだ。だというのに、わたしはそもそも繊細な問題であるという認識すらなかった。

 まったく、自分が情けないっていうか、恥ずかしい。

 それでもなにもしないでいられなくて、夜空さんをぽつんと一人にしておきたくなくて、今日もわたしは彼女に声をかけるのだ。

 「お昼、一緒にいい?」

 「いいけど」

 昨日と同じやり取り。

 迷惑ではなかろうかと昨日は思わなかったことを思ったりもするけれど、ここで引くのは悔しいし、夜空さんに失礼な気がした。

 「今日はいい天気だね」

 「そうね」

 「昨日も一昨日も明日も明後日もいい天気だね」

 「所感が雑すぎるわ」

 なんて軽口を言いあいながら昼食をとる。お母さんの作ったお弁当はやっぱりおいしくて、でもそのことを言えないほどには壁を感じていた。

 夜空さんからはわたしに話しかけてこない。なにか働きかけることもない。それはつまりまだ距離とか壁とかそういうものがあるってことだ。溝でないのがまだありがたいってところかな。

 どうやったらそういうものを少なくしていけるのだろうか。

 あまり意識して何とかしたことがないからよくわからない。

 「夜空さんは何色が好き?」

 「濃紺」

 「夜空だけに?」

 「そんなところ」

 ……ああ、会話が終わってしまった。

 ここは『皐月さんは何色が好きなの?』って聞き返してほしかったなあ! でもそういうことを強制するのもなんか違う。

 「わたしはオレンジとか黄色が好きだよ」

 「そうなの。緑系じゃないのね」

 「皐月だけに?」

 「皐月だけにね」

 おお、ちょっと盛り上がった。なんだ、夜空さんもかわいいところあるじゃない。

 こうやってちょっとずつ、ちょーーーっとずつでいいから仲良くなって、そのうち友達になれたらいいなあ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ