表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はればれ  作者: 水谷なっぱ
text2
19/42

潜思

 夜空が図書室から去ったあと、わたしも帰宅した。こういう時は自宅マンションがやけに大きくそびえたつようで圧を感じる。それを無視して中に入り、自分の部屋のベッドに寝転がった。

 なんで、なんで、なんで。

 なんで夜空はあんな不快そうな顔をしたのか。

 わたしのなにがいけなかったのか。

 夜空は『なぜ友人と縁を切ったのか』『なぜ夜空と一緒にいるのか』を聞いてきた。なんで友人と縁を切ったのかなんて簡単だ。夜空と一緒にいることを友人が拒んだからだ。

 じゃあなんで友人と縁を切ってまでまで夜空と一緒にいることにしたのだろう。

 それは。

 なんでだろう?

 最初はただの興味本位だったけど、徐々に一人でいる夜空を放っておけなくなったんだ。一人で無表情で過ごす夜空を見たくなかったんだ。

 なんでかってそれは。

 そうか。

 きっと夜空のことが好きになったんだろうな。

 夜空と友達になりたいって思ったんだ。

 わたしは夜空と友人を天秤にかけて夜空を選んだんだ。

 最低。

 誰かと誰かを比べられるほど、わたしはできた人間ではないというのに。

 本当に最低だね。

 でも最低だとわかったところで、今更どちらとも仲良くするだなんてできない。夜空か友人かをわたしは決めなくてはいけない。あの二人の態度を見たら、両方を選べないことくらいわたしにだってわかっていた。

 だから今は、より好きな夜空を選ぼう。今まで意識していなかったけど、夜空と友達になろうとした時点で、それを友人が拒んだ時点で、わたしの気持ちは友人からは離れている。

 でもじゃあなぜ夜空を好きになって友達になろうと思ったのか。

 最初はただの興味本位だった。

 それが夜空のかわいいところとか、優しいところとか、言いたいことをちゃんと言えるかっこよさを好きになった。

 だから友達になりたいと思ったんだ。

 夜空が怒ったのはわたしが「楽」と言ったからだ。わたしが「楽だから友人よりも夜空の方を選んだ。楽な方に流れた」ように見えたんだ。そりゃあ夜空も怒るよね。そうじゃないことをきちんと言わなくては。わかってもらえるかはわからなくとも、わたしは自分で見つけた答えを夜空に伝える必要がある。だって夜空は連絡をちょうだいと言ってくれたじゃないか。

 ここまできて、またもや夜空の優しさに甘えてしまっているのはかっこ悪いけれど、ここで逃げちゃダメなんだ。

 なんて、もとより夜空から逃げる気なんてない。

 夜空はわたしの大事な友達なんだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ