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ヨルダンはザルだった。エール位いくらでもと思っていたが終わりがない。理玖は奢りなんだから少しは遠慮しろって言いたかった。


「あの、ギルドって聞きましたがヨルダンさんは冒険者ギルドの方ですか?」


「そうだ。俺を知らないってことは君はまだこの街に来たばかりだな。その格好から冒険者らしい事はわかるが、防具は新品だな。新人なのか?」


 理玖を上から下まで見てヨルダンは言う。


「はい、今日来ました。新人ってわかりますか?」


「見るからにな。それもあって絡まれたんだ。リューリに頼まれて覗いて正解だったな」


「絶対に絡まれると思って、ヨルダンさんに来てもらったんだ。お姉ちゃん綺麗だし、弱そうだから」


 リューリは冒険者に詳しいから、この綺麗な理玖が絶対に問題を起こすと思ってヨルダンに頼んでいたのだ。

 理玖は弱そうと言われてちょっとばかりショックを受けた。でもまあ仕方ない。おそらく外見もさることながら、新しい防具もいかにも新人って感じで弱く見せているのだろう。

 せめて男の姿だったら違ったのだろうか?


「明日、登録しに来るのか?」


「その予定です」


「だったら昼頃に来い。朝は立て込んでるからな。また絡まれても困るだろう」


 確かに絡まれるのは困るが、いつまでもこのままって訳にはいかないだろう。早めにどの位魔法が使えるのか確認しておかないとやばい気がする。


「わかりました。明日はよろしくお願いします」




 ヨルダンに付き合って飲みすぎたのか理玖は部屋に帰るとベッドに横になった。風呂に入る気にもならない。風呂に入るには服を脱がなければならない。現実を直視するのを遅らせてる。わかっているが耐えれない。この異様に大きな胸も、男としては見たい気持ちがないとは言えないが、それ自分の胸だと思うと......。


「どうしたものか....」


 何かの間違いかもしれない。朝が来たら男に戻ってるかもしれない。


(そうだ。このまま寝てしまおう。朝が来てから考えよう)


 理玖は魔法を確認する事も忘れて布団に潜った。明かりもどうすれば灯せるのかわからないので何もする気にならなかったのだ。


(明日だ。とにかく朝が来てから考えよう)










 

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