僕と彼女
お久しぶりです。
完結いたしました。宜しければ感想や評価など頂けましたら幸いです。
その日の僕は落ち着かずそわそわしていたと思う。その日僕は放課後信子さんをデートに誘っていた。その時に自分は男で貴女の右腕の乱丸ですって告白するつもりだった。
それなのにどうしてなんだろう涙が止まらない。ぼくが側に居ればこんな事にはならなかったのに...
その日の僕は信子さんに本当の事を告白する為信子さんとデートの約束を交わしていた。僕は待ち合わせ場所で待っていた。待ち合わせ時間になっも信子さんが来ない。1時間待っても来ない。不安になった僕は何かあったのではないかと秀に電話した。
「もしもし秀」
「欄か大変だ。親方様が。親方様が」
慌てる秀をなだめ僕は何がどうなっているのかを話させた。
「信子さんが?何故どうして僕を呼ばなかった」
僕は叫んでいた。秀は普段から僕に連絡するのを忘れる事が多い僕はその僕を忘れる癖を治してくれと散々いっていた。
「お前なんでこんな時に僕を忘れるんだよ。いつも言っているじゃないかこの馬鹿野郎」
僕は泣き叫び言った。
「待ってくれ流石に今回は俺だってお前の存在は忘れてなかったよ」
「だったら何故」
「親方様の命令だ。お前デートだろだからたまにはデートぐらいさせてやれって親方様に欄は呼ぶなって言われたんだ」
デートの相手は信子さんなのに何を言って・・・
クッソこういう事なら早く言えばよかった。
僕は秀に信子さんの入院先を聞くとすぐにその場所に向かった。
病院に着くとすぐに秀から聞いた104号室に向かった。
「欄ごめんこんな事になったから連絡が遅れた」
病室には仲間が大勢居た。その中に埋もれる様にしていた秀が僕に声をかけるがそんな物は僕の耳に入らなかった。
「信子さん…」
病室のベットには変わり果てた信子さんの姿があった。ベットに眠る信子さんは全身を包帯でぐるぐると包まれていて肌などは一切見えない。腕や手足は酷く腫れ上がっており、包帯で全身隠されている所為あってか本当に信子さんか疑いたい気持ちにさせられる。が、間違いなく信子さん本人らしい。
医者曰く、かろうじて生きているみたいだったがそれもいつまでも持つか分からない状態らしい。このまま目を覚まさずに死んでしまう可能性が大きいと医者は言いにくそうに言ったらしい。
らしい、らしい、らしい。
全部秀が医者に聞いたらしい。
そんな物は僕は信じない絶対にだ。
僕は信子さんをこんな目に遭わした人物に復讐する事を心に決めその人物が誰なのか秀に聞いた。
「秀、誰が信子さんをこんな目に遭わせた」
「明智だよ」
僕は正直耳を疑った。明智、明智と言えば明智光。信子さんの親友じゃないか何故そんな事に。僕がそう聞く前に秀は話を続けた。
「あいつは裏切った親方様を裏切ったんだ。本能寺工場知っているか?あそこに親方様を呼び出し明智の取り巻き数人とリンチ親方様は数十人までは半殺しにしていたみたいだが、そんなの無理に決まっているよな多勢に無勢だ親方様は負けたんだ・俺が工場に着いた時には親方様ごと工場は燃えていた」
「信子さんももしかして自ら燃やして」
僕は驚きを隠せず呟いた。
「ああ、恐らくそうだろう。敵もまとめて燃えていたからな。俺が親方様を助け出した時にはもう見ていられない状況だったよ。幸い火傷は免れたみたいだが怪我が酷すぎる。病院に駆け込んだ時には医者にはもう持たないだろうと匙を投げられたよ」
秀は心底悔しそうにし歯を食いしばる。
「秀、明智は何処だ」
「分かっている。俺達は早速明智を打ちに行くが、お前は来なくていい」
「何故だ!僕も信子さんの敵を」
僕は怒りのあまり秀を突き飛ばした。
「お前は親方様の側にいろ。お前は気づいていなかったが親方様はお前の事を...クッソなんでも無いとにかくお前は親方様の側にいろ」
秀はそう吐き捨てると病室に居た大勢の仲間達とともに出て行った。
僕は着いて行きたかったが信子さんが目を覚ました時に誰もいないのは信子さんに申し訳なく僕は信子さんの側に居る事にした。
「信子さんは僕が守るから」
1週間、信子さんは目が覚めない。1週間経つ頃には信子さんの包帯は外れていたが包帯のしたの肌は痣が黒く変色していて痛々しかった。
その頃に秀は明智を捕らえたらしいが痛ぶる真似はしなかったらしい。意識を失う前に信子さんが光は親友だったから何もしないで町から追い出すだけで良いと言ったらしいだから取り巻きは気が済むまでボコボコにしたけど明智は何もしなかったらしい。
でもそんな事は僕にはどうでも良かった僕はただ信子さんの目が覚めればそれで良かった。
2週間、3週間過ぎたけど信子さんはやっぱり目が覚めなくて、信子さんの腫れが引き姿も前と同じくらいまで戻ったのに何故なんだよ。
僕のそんな心の叫びにも信子さんは答えてくれない規則正しい寝息が聞こえるだけだった。
____
信子さんが目覚めなくなってから2ヶ月が過ぎた頃にそれは唐突にやってきた。
僕はいつもの様に信子さんのお見舞いに行きいつもの様に学校で何が起こったのかとか秀が信子さんの代わりに統一したよとかそんなたわいもない話をしていた時だった。
「それで逆上した先生が…」
僕は今日の一番面白かった出来事を話している時だった。
_ピピピピピピ_
携帯の着信音がなり一旦話は中断、僕は病室を出て携帯使用可のフロアまで行き電話に出た。内容はたいした事無く秀の自慢話だ。僕はうんざりして話を早々に切り上げ電話を切り病室に戻った。
「えっと僕は何処まで話したっけ?」
「逆上した先生からですよ」
奇麗な声が僕に答えた。
「そうそう約定した先生が…えっ?」
僕は自分の耳を疑った。
「おはようございます。ここは何処ですか?それと私は誰ですか?」
目が覚めた信子さんは記憶を失っていた。
1週間検査入院を終えて学校に登校してきた信子さんは別人だった。学校の授業は全て出席し、成績も優秀以前の様に男言葉は一切使わず普通の女生徒だった。
いや、普通ではない美しい女生徒だった。
僕は仲間たちと話し合って信子さんはこのまま普通の女生徒に戻って安全に過ごしてもらう事に決めた。信子さんは恨みを沢山買っていたため、信子さんに復讐しようとする輩大勢居た。それは僕が全て退けた。
昔の僕では考えられ無いこの強さも信子さんを守る為に身につけた力。今では誰も僕の事を女だなんて言わなくなった。
僕が信子さんに気づかれない様に陰ながら信子さんを守る僕はそれだけで満足だった。
それなのにこの状況は一体なんなのだろうか。
「森君、好きですつき合ってください」
下駄箱に入っていた差出人不明のラブレター僕の心は信子さんの物だったから断ろうと呼び出しに応じた。待ち合わせ場所の体育館裏で待っていたのは信子さんで、
突然の信子さんからの告白。
「何故...」
僕はこれは夢なのではないかと疑ってつい口に出てしまった。
「私、夢を見るんです。夢での私は女なのに男と偽って女の子とつき合うんです」
唐突に意味の分からない方向に話は飛んで行ったが僕は信子さんの話に耳を傾ける。
「最初はその娘の事はそんなに恋愛対象として見ていなかったんです。でもあまりにも必死な姿に本気で好きになってしまったんです。おかしいですよねお互い女なのに。駄目だと思いつつもつき合ってたんですけどしばらくつき合っているとその娘と似た男が私の側に現れるんですよ。その似た人と一緒に居るうちにその人がその娘だと気づいちゃって更に愛おしくてたまらなくなっちゃたんです」
信子さんは僕をまっすぐ見て言った。
「信子さん…記憶がもどって?てかいつから気づいて…」
「さあどっちかな。でも守ってくれるんでしょ乱丸?」
そう照れくさそうに言う信子さんに
「はい!一生守ります」
僕は泣きながらそう答えた。