プロローグ
暗闇。
何も見えない、感じれない、完全に視野など皆無の状態に今俺は佇んでいる。いや、佇んでいることすらも怪しい。どこか、夢の中にいるような不思議な感じだ。
どうしてこんなとこにいるのか、ここはどこなのか、俺は何をしていたのか、驚くことに今日の夕飯を食べ終わった辺りから今までの記憶がない。
なんだ?俺は今何をしている?どうやってこんなところに来た?いや、来たのか?誰かに放り出されたんじゃないのか?そもそもここは現実なのか?夢なのか?俺は生きているのか?死んでいるのか?
どう考えたって何一つ分からない。分からない。
「あれは・・・・・・」
そうやって四苦八苦している俺の顔に、ある一寸ほどの光が射した。出口か何かと思いその光の方に目を向けると、その光の先にはA5ノートくらいの小さな長方形の枠があった。いや、もう少し大きいか。
怪しさと恐怖心、好奇心、そして視野に光が射したことによる安堵感が織り交ざった複雑な気持ちでその枠に近づいてみる。
そしておそるおそるその穴に顔を近づけ、その光の先を覗いてみる。
「ここって・・・俺の部屋・・・・・・?」
そう、そこには夜なのか電気もついておらず、床の上に転がっている懐中電灯にみに照らされているよく馴染んだ自分の部屋だった。
そして何よりも気になり、俺の目を惹いたのは、
「なッ・・・・・・なんだよ・・・こ・・・れ・・・・・・」
死体。
俺の目の先には床の上に仰向けになり転がった、見るのも無残に血塗れになった死体があった。
左の胸部、つまり心臓の部分。そこにはぽっかりと開いた大きな風穴があり、それが致命傷だったというのがすぐに分かった。
なんだこれ?何がどうなっている?俺の部屋に?死体が?おかしくないか?俺が?俺が殺ったのか?違う違う違う違う!!!意味が分からない意味が分からない!!!俺じゃない俺じゃない俺じゃない!!!!
混乱し、何が何だか分からず、ショックのあまり平静を保てない俺はその死体の顔を見た。見てしまった。
白目を剥き、口内からも涎を垂れ流し、普通なら誰か分かるはずもない。
しかし俺にはよく分かった。ほとんど毎日見たくなくても見なくてはいけない顔。
よく馴染んでいる、どれだけ異型になっても見間違えようがない。
だってその顔は――――――――――――――――――。